10月13日は引っ越しの日
1868年、明治天皇が京都から現在の皇居がある江戸城に引っ越した事が由来で、毎年10月13日は引っ越しの日だそうです。
引っ越しといえば、葛飾北斎。「富嶽三十六景」で有名な江戸時代の浮世絵師ですね。
さてこの北斎先生、生涯で93回も引っ越しをしているという逸話があります。多い時で一日三回と、常識ではちょっと考えられない頻度です。
家電が必須な現代とは違い、生活に必要な家具自体が少なかったとはいえ、引っ越しは大変な労力を費やす作業です。極端な話、家全体の模様替えですからね。私も引っ越し経験がありますが、あの面倒な作業は二度と経験したくないものです。ミニマリストの由来って、案外こういうところにあるものなのでしょうか。いや、よく知らないで物を言っていますが。
さて、引っ越しと言われて思いついたゲームを紹介します。
「ポケモンシリーズ」の主人公は、物語の最初に別の地方から引っ越してくるパターンがやけに多い印象です。
「ルビー・サファイア」、「X・Y」、「サン・ムーン」の三世代がそれにあたります。
「ルビー・サファイア」は元々主人公の父親がホウエン地方でジムリーダーをやっており、それを追うかたちで引っ越してきます。とはいえご近所の博士がフレンドリーなので、あまりそういう感覚はありません。普通にプレイしている限りでは、単純に物語の導入に使われたという程度の設定に感じます。
一説によると、冒頭の引っ越しはゲームボーイ版である「金・銀」とは明確に世代を別ったバージョンである事の暗喩だそうですが……いずれにしても新しい風を感じられる、良い設定だと思います。
「X、Y」では主人公が別の地方からやってきた事により、友人関係に特徴が表れています。このバージョンでは従来の「ライバル」キャラの他に、「ブラック・ホワイト」におけるベルのような「お友達」ポジションの人物が、なんと3人も登場します。主人公含めて5人の旅になるというわけです。
主人公は引っ越してきたばかりなので、当然他の4人の事を知りませんが、反対に他の4人はゲーム開始時点から顔見知りで、プレイヤーは主人公と同じく彼らに対する情報がゼロからスタートになります。物語開始時点での主人公への共感性と、旅を通じて少しずつ彼らと仲良くなるジュブナイル感が混ざり合った良い設定だと思います。
最後に「サン・ムーン」。「島巡り」なる独自の風習が存在するアローラ地方において、別の地方から来た主人公とともに新要素盛りだくさんの舞台を闊歩できます。アローラ地方は次回作である「剣・盾」と比べても非常に癖が強く、本当に独特なので、だからこそプレイヤーが必要以上に置いてけぼりにならないよう、主人公もよそから来た人という設定なのでしょう。
そして最新作の「剣・盾」も、明言こそされていませんが、主人公は物語開始時点からごく最近の間にガラル地方に引っ越してきたらしい描写がそこかしこにあります。お隣さんのホップの兄であるダンデと主人公が、物語開始時点まで面識が無かったのが最も顕著な例でしょう。一見十年来の幼馴染のような距離感で接してくるライバルのホップですが、割と短い付き合いなのだと思うと印象も違って見えます。こういう部分でキャラクター同士の関係性を妄想するのは、結構楽しいです。
一世代ごとに新要素を引っ提げて消費者の下に届けられるポケモンシリーズ。その主人公に引っ越しキャラが多いのは、新要素を前に主人公と心を一つにして欲しいという、製作者からのメッセージなのかもしれませんね。
そういうわけで、明日は引っ越しの日。引っ越しをしましょうとは言いませんが、検討してみるくらいなら気軽にやってみましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?