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感想「ドラゴンボール超 12巻」

※再掲載記事です。

4月初頭に発売された「ドラゴンボール超」の最新刊の感想を語ります。

以下、ネタバレ注意!

前半は地球での盗賊団との戦いです。クリリン、ピッコロ、御飯の戦いですね。パワーインフレにすっかり置いていかれた三人ですが、定期的に戦闘の機会を与えられるあたり、結構優遇されているようです。

しかし敵、本当に強いですね。この三人は決して弱くないはずです。

クリリンは……まあ仕方が無いところはあります。かつてナッパやベジータとの戦いで機転と技で何とか生き残り、その後ナメック星においても重要な役割を果たした彼は、その時点で既に宇宙でも指折りの実力者だったと言っても過言ではありません。ですがそれも昔の話……セル編以降戦いから離れてしまったクリリンのブランクは大きいので、戦いについていけなくても仕方がありません。

ですがピッコロはどうでしょう。彼はこれまで修行を怠けていたという事実は欠片も描写されていません。セル編においては超サイヤ人を声、その後さらに精神と時の部屋で修業し、それからさらにゆうに十年以上の歳月を生きてきて、ずっと修行を続けているというのに、あんまりな活躍です。

そして御飯。かつては悟空やベジータでさえも上回る力を持っていたにも拘わらず、「超」における戦績はひどいものです。ケフラと相打ちになったのがピークでしたか。しかしそのくらいの実力があるのですから、「修行をサボって衰えた」という言い訳は通じません。

今回の敵が強いのです。見た目が弱そうなので分かりづらいですが、地球最大の危機と言っても過言ではなさそうです。

とはいえ自力は地球人側の方が上のようです。

「戦闘力が高けりゃ勝てるってモンじゃないんだぜ」

という敵のセリフが全てですね。

今回のモロ編はまさにそんな感じの物語です。戦闘力以外の特殊な技を使う敵を相手に、こちらも戦闘力以外の手段が必要なのです。

悪く言うとドラゴンボールらしくありませんが、良く言うと新鮮で飽きない物語構成だと思います。

後半は主にベジータと悟空の場面です。

ベジータは随分パワーアップしたようです。もはや描写からでは判断がつかないのが難しいところです。敵もほとんどザーボンですし、パワーアップしなくとも勝てたような気がしますが……

とはいえこのパワーアップはおまけのようなものでしょう。問題はこの後、ベジータがモロに対抗するだけの能力を得られるかどうかにかかっているのですから。

代わって悟空。メルスと修行をして「身勝手の極意」を習得しようとしています。現在まだこの形態の戦い方が全て明らかになったわけではありませんが、少なくともこれまでの描写を見る限り、今回モロと闘うにあたって有効な戦法かと問われると……首を横に振らざるを得ません。

どう考えても努力の方向が間違っています。今後のためのパワーアップには繋がるでしょうが、モロには通じないと思います。

おそらくそこで、ベジータの新しい能力が生きてくるのではないでしょうか。ベジータの能力でモロの動きを制限して、悟空が倒す……と、こういうコンビネーションを打ってくると、わたしは予想します。今回ばかりは初めから共闘が前提の戦いになるでしょうし、期待です。

メルスですが、天使見習いでしたね。驚きました。確かに言われてみるとメルスの外見は他の天使にそっくりで、むしろ何故気が付かなかったのかと反省した気持ちでいっぱいです。しかし今回のエピソードにおける天使同士の会話を見ていると、天使という概念に疑問が浮かびます。これまでウイスが大神官に対して「お父様」と呼んでいたので、天使という存在は皆血縁関係にあると思っていましたが、メルスの様子を見るとそう単純な話でもないようです。

この話から「血縁説」が否定されたわけでは無いのですが、彼らに共通の母親がいるとは到底思えないし、現実世界の常識で括られた親子ではないと考えるべきでしょう。おそらく大神官を父と呼ぶ天使達の感覚は、「人類みな兄弟、母なる大地と父なる神」といった風なのではないでしょうか。何一つ事実が発覚していない以上、百パーセント推論でしかないのですが。

しかしそうなると、全王やその付き人は異質ですね。彼らは一体何なのでしょう。この謎が明かされる日は来るのでしょうか。不可侵の存在が侵される展開というのは、いつも楽しみです。

メルス、良いキャラですね。ここに来て一気に好感度が上がりました。天使にもこういう側面がある……というかきちんと個性があるというのがよく伝わって、良いエピソードでした。

さて、次巻はついにモロとの最終決戦でしょうか。こういうバトル漫画では勝って終わるのが当然と言えば当然なのですが、未来トランクス編の前例があるだけに、どう動くか楽しみです。

12巻の満足度:50/100

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