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12月2日は原子炉の日

1942年、アメリカにて初めて原子炉が誕生したと言われています。核融合や核分裂が、エネルギーとして使用できるようになったわけですね。

ここからわずか数年で原子爆弾が作られ、原子が生み出すエネルギーの大きさが全世界に知れ渡ります。原子爆弾が戦時中の日本に投下された関係もあって、核の恐ろしさはよく学ぶ機会があることでしょう。

確かに核は恐ろしいです。が、恐ろしいだけではありません。当たり前の事ですが、使い方次第という事です。

原子力発電は、火力発電や風力発電とは比べ物にならないほど取り出せるエネルギーが大きく、発電の際に二酸化炭素を排出しないため、環境にも良いという非常に優れた発電方法です。発電機構が壊れてしまった際のリスクが計り知れないために現在はあまり印象の良くない発電方法ではありますが、科学の発展により状況が好転する可能性も十分にあるでしょう。

エネルギーというのは、人類にとって大事な要素です。殊更大きなエネルギー抽出を期待出来る原子にまつわるこの記念日は、少し意識を高く持ちたいところですね。

さて、原子が大きな舞台装置として活躍する漫画を紹介します。

手塚治虫御大の代表作「火の鳥」の二章目に数えられる「未来編」は、お手本のようなディストピアと終末世界が描かれた退廃と再生の物語として、現代でも非常に高い評価だと言われています。

地上を捨てた未来人は地下に移住し、五つの大きな都市に身を固めます。五つの都市はいずれも人格を持った巨大なコンピューターが支配しており、AIに支配されるかたちで人類が管理されます。

そしてあるとき、五つの都市は一瞬にして消滅します。AIの指示により戦争が起こり、核爆弾によって全ての都市が攻撃されてしまうのです。

かくして生き残ったのは、火の鳥から永遠の生命を与えられた男ただ一人。放射能が渦巻き生物全てが死滅した世界の終末感は、まさに必見です。

幾度も繰り返される生物の進化と文明の発達と繁栄、そして滅び。世界そのものが輪廻転生を繰り返すという壮大な物語なのですが、個人的に肝なのは、それが一人の男の目線で語られ続ける事。孤独という観点から、永遠の生命の恐ろしさがひしひしと伝わってくるのです。

世界が滅びたばかりの頃、主人公は生き残りの人類を求めて旅をします。そしてその果てに一つの箱を見つけるのです。中にはコールドスリープで核の冬を逃れようと試みた人間が入っているという張り紙がしてあり、彼はそれに希望を見出します。

孤独でなくなる時を夢見て何百年も箱のある場所に通いつめる主人公ですが、一向に開かない箱に疑問を覚え、ある時強引に箱を開けてしまいます。けれど中の人間は原型を留めておらず……きっとコールドスリープに失敗したのでしょう。ほんのわずかな希望が潰えるその無情さが、手塚治虫作品っぽくて大好きなエピソードでした。

そういうわけで、明日は原子炉の日。原子力の偉大さを知りましょう。

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