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2月9日は漫画の日

漫画の神様、手塚治虫御大の没日に由来してこの日は漫画の日です。

せっかくの機会なので、わたしが好きな手塚先生の著作をいくつか語ります。

・ブラックジャック

おそらく一番有名なのは「ブラックジャック」でしょう。無免許の天才外科医がアウトローな活躍をするという、王道なお話です。

元々怪奇漫画としてスタートしたという経緯から、割とSF色が強かったりします。医学的に証明されていない人体の不思議や架空の病気、果ては呪いや宇宙人、超能力者の患者まで現れて、一話一話並べてみると結構収集がつかないレベルで色彩豊かな不思議に溢れています。

そもそも助手のピノコ自体、成り立ちからオカルト染みた子ですしね。お腹の中にいた頃の超能力や毅然とした喋り方は一体どこに行ってしまったのやら。

特にオススメしたいお話は「ちぢむ!!」です。治療方法も原因も分からない、身体が小さくなって死に至るという謎の奇病と戦うお話です。

非常にSF色の強いお話で、奇妙さと緊迫感に溢れた作中の不穏な雰囲気、そして生命や医者という人間の在り方そのものに問いかけるようなラストは間違いなく名作と言えるものだと思います。

是非とも読んでみてほしいです。

・三つ目がとおる

同じく有名な「三つ目がとおる」はオーパーツや古代文明をテーマにした、非常に魅力的なSFモノです。ストーリーの奥深さはもちろん、普段どうしようもなく間抜けな凡人の主人公が第三の目を開眼する事で性格が変わり、超能力や超科学を駆使する超人になるという基本設定が少年漫画として子ども心をくすぐります。

科学で解明されていない謎を題材にしているため、不気味な回が多い印象です。が、主人公やヒロインが中学生という事もあり、何も無い時の作中の雰囲気は明るくコミカルで楽しく読めます。孤独な主人公の心情描写の深さがエモーショナルな感情を呼び込む事もあり、青春モノとしても面白いです。

個人的にこの漫画、SFモノの一つの究極形だと思っています。

そんなこの漫画のオススメ回は「神々の食糧」です。うろ覚えなのでサブタイちょっと間違ってるかもしれませんが……

消息を絶ったペンフレンドの行方を求めて、とある廃校を調査しに行くお話です。物語全体を通して見ても類を見ないほどに不気味で全容が見えない恐怖がそこかしこに広がっています。この漫画はたくさんの不思議に対して超自然的な解釈を唱えていますが……そんな主人公にさえ理解の及ばない範疇の何かがいる……という壮大で奇妙なお話。オススメです。

・上を下へのジレッタ

空腹時にのみ絶世の美女に変貌するブサイクな女性と、自身の妄想を他人に伝達する能力に目覚めた男性の数奇な短編です。

主人公はそんな彼らを利用するだけの小悪党ですが、そんな第三者目線だからこそ、彼らの危うさが傍観出来て面白い作品です。

「ジレッタ」と呼ばれる男性の能力は次第に強力になり、妄想に巻き込んだ人間を発狂させるほどになります。たった一人の人間の、それも単なる空想世界が他者に影響を及ぼすようになるという恐怖を、我々読者は絵とセリフを通して段々と確認させられます。そして最後には……

ちょっとアダルトな雰囲気の漫画なので、前二つのような作品とはまるで毛並みが違うのですが、作品の質は非常に高いと思います。ぜひとも読んでみてほしい逸品です。

・人間ども集まれ!

「ジレッタ」と同様にアダルトな雰囲気の漫画ですが、あちらはアダルトさが単なる物語のスパイスだったのに対し、こちらはアダルト風味ならではのストーリーです。

お人よしなだけの凡庸な主人公が、偶然にも性を持たない全く新しい人類を生み出す遺伝子の持ち主であったがために、新人類を巡る利権と世界情勢に巻き込まれる奇妙な短編。

少年誌にしろ青年誌にしろ、セックスを前提としたストーリーというのはあまり見かけないと思います。LGBTに配慮したご時世柄、「第三の性を持つ人間が非人道的な扱いを強いられる」という風な描写は後追いがしにくい部類でしょうし、そういう意味ではかなり稀少な作品です。背徳感溢れる世界観、大好きです。

・火の鳥

手塚御大の作品を語る上で、「火の鳥」だけは外せません。

生を司り永遠の生命を与え、時に宇宙とさえ同一視される超常的な生物、火の鳥。そんな不思議な生き物を巡って行われる人類の営みを大きな視点から俯瞰するお話です。

わたしが好きなのは「異形編」です。

時は戦国、どんな怪我でも治す事が出来る不思議な力の持ち主「八尾比丘尼」を殺しに行った女武将の皮肉な運命を描いたお話です。火の鳥そのものの登場は非常に少なく、閉じた世界での物語展開となります。ストーリーは単純明快で、しかし非常に奥深いです。その結末は、是非とも本編を読んで確かめたほしいところです。

以上、5選です。一つくらい気になったのがあったら、読んでみて下さい。漫画が好きなら、まず損はしないでしょう。

そういうわけで、明日は漫画の日。手塚先生を敬愛しましょう。

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