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すぐ言葉にしたほうがいいもの、すぐには出さないほうがいいもの【地方学生の美大進学日記】

 逃げられない。逃げてはいけない。言葉に出した後、そう思う出来事があった。

 願望はあまり口に出してはいけないと思っていた。他の人に避難された瞬間、モチベーションが著しく下がるから。

 大学でやりたいことがある。親にはまだ話していない。けれども、親の協力、そして先生のご教授が必要なことである。お金もかかるし。そこで英語の外国人講師に話してみた。そう、私のやりたいことのひとつは、海外留学である。(まだ色々考え中。大学は経済的理由により国内の美大志望。しかしながら、短期でもいいので一度は留学を経験したい。早く海外渡航できるようになるといいな・・・。)

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 これはとくに関係のない画像。ヒナギクの花。自宅にて。

 英語の学術資格合格のための、文章添削練習。そのついでに、短い手紙を書いた。留学について考えていること。会話、文章、両方の観点で、英語をもっと使えるひとになりたいということ。正直ライティング問題を解くより時間がかかった。手紙には相手がいて、手紙の始まり、結びにも日本語と異なるルールがあって、そして自分が今まで誰にも言わなかったことを告白するのだから、当然ではある。先生からの返信の内容は、あえてここでは書かないでおく。ここだけは自分の内だけで秘めておきたい。

 言ってしまった、ついに。そういう思いがまず出た。逃げ道を自分で塞いだかのような。けれどもこの比喩が持つのは、ネガティブな意味だけではない。

 自分の願望──他の人の協力が必要なもの──それを言うのは力が要る。そして言ったあとに初めて、目の前、その向こうに、自分に必要なものがはっきり見えるようになる。そういえば親に美術系志望だと言ったときも、こういう感覚を覚えたな、と数年ぶりに思い出す。

 物理的援助が必要な願望は、はやめに口に出した方がいいと思う。では逆に、すぐに言わない方がいいのは?完全に個人の意見だけれども、それは「アイディア」だと思う。形になっていない状態の案(絵とか小説とかの)は、具体性が少なく、非難されやすいように思う。案だけだとだんだん形も変わっていく。簡易的に案を形にしたのち、他の人に見せる方法を私は採っている。もちろんこの方法が使えるかどうかは人それぞれだ。私の周囲の人には、アイディアを先に出してから制作にとりかかる人もいる。

 言葉に出すことで、はっきりと形をもつようになる思いもあるということだ。