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【無名人インタビュー】宇宙一敷居の低い朗読会を目指す演技者

「無名人インタビュー」マガジンで過去インタビューも読めますよ!

今回ご参加いただいたのは 嬉読屋しおん(きどくやしおん) さんです!
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 stand.fm 紫朗読会(むらさきろうどくかい)

▷イントロ

人見知りの幼少期から朗読会を開催するまでの道のりや、妄想する未来の夢とは?
嬉読屋しおんさんの回をお楽しみください。

1、嬉読屋しおん としての活動

有島:今回お申し込みいただいたきっかけといいますか、そういうところからお話を伺ってよろしいですか。

しおん:私、嬉読屋しおんということで、朗読会やイベントを自分で主催することが普段多いものですから。誰かに聞いたりとかそういうことはあるんですけど、普段、聞かれるっていうことがあまりないんですよね。なので、インタビューをされるっていうのが良いなと思って、受けてみたいなと今回申し込みました。

有島:ありがとうございます。普段はどちらかというと、聞くお立場になることが多い?

しおん:朗読会にゲストで来ていただいた方に、少しお話を聞いたりとかですね。

有島:なるほど。朗読会は、どちらでやっていらっしゃいますか。

しおん:毎月、札幌のカフェで行っています
今はコロナの関係でお客様を呼びづらいので、実は去年の2月、3月ぐらいから、毎月Youtubeでオンライン配信をしています。

有島:何人ぐらいで?

しおん:メンバーは一応9名いますけど、仕事とかコロナのこともあるので、最近は4名から5名ぐらいしか参加してないです。もう5年ぐらい続けていますかね

2、お芝居 〜演劇から朗読へ〜

有島:朗読会をはじめたきっかけというのは、どういったことなんでしょう。

しおん:もともと20代のころは、アマチュア劇団でお芝居をしていたんですけど、30代になって結婚して子どもが生まれたのもあって劇団をやめました。その後2009年ぐらいから、カフェなどで朗読劇っぽい活動をはじめて。それを何年かやってたんですけど、2015年に自分で「紫朗読会」っていう会を発足しまして、ずっとやっています。朗読は、お芝居からはじまった感じですね。

有島:演劇はどういったものを題材にやってらっしゃったんですか。

しおん:もともと存在する脚本をやってたんです。みなさんご存知のものだと「アンネの日記」という作品を舞台化したものとか「赤毛のアン」とか。あとは、あんまり有名な方のはないんですけど、日本の戯曲を書く方の作品をやったり。ストレートプレイって言いますか、ミュージカルとかではなく。歌ったり踊ったりちょっと入っていたりはしますけど、基本、普通のお芝居ですね。

有島:みなさんで定期的に集まって練習していたのですか。

しおん:仕事をしながら、夜に集まって練習して。年に1回か2回、土日で公演しました。

有島:そのとき、メンバーの方はどれくらいいらっしゃったんですか。

しおん:私が入ったころは、劇団自体も10人くらい。多少増減はあるんですけど、全部で10人から15人ぐらいでやってました。けっこう年齢の幅が広くて、代表の方がもう、当時で50代の人でした。私たちが20代なので、親子でやってるようなそんな雰囲気で、実年齢に合わせた役もできました。

有島:しおんさんは、たとえば「アンネの日記」ですと、どんな役をなさったんですか。

しおん:私が入った年に「アンネの日記」を上演したんですけど、そのときはアンネのお父さんの会社に勤めているミープさんっていう社員さんがいて、その人の役をやらせてもらいましたね。それが、すごく良い役だったんですけど。

有島:そうだったんですね。

しおん:セリフは多くないですけど、とても重要な役割をする女性の役でした。入ったその年から役をいただけて、ラッキーだったんです。

有島:お芝居を辞めたあとに、朗読劇をなさっていたということですが。

しおん:ピアノの生演奏が付いているような朗読劇ですね。今やってるところとは別のカフェで、毎月公演していました。楽しかったですね。

有島:そういう形式もあるのですね。そのあとは?

しおん:2015年になって、自分で朗読会を主催するようになりました。

有島:どういった作品を朗読するのですか。

しおん:朗読会なので、基本、あまり長い作品は読めないです。短い作品を古本屋さんへ行って、とにかくひたすら探して。ジャンルというよりは、尺の長さで選ぶというか。

有島:そうなんですね。

しおん:当時の朗読会では古い作品ではなくて、現代の短い作品を選んでいました。昔の作品は言葉遣いが難しかったりするので敬遠して、ずっと現代の作品ばっかり探して読んでたんですよね。
もちろん、出演者はお金をいただきませんので、著作権も考慮していました。

営利を目的としない上演等(著作権法第38条)
営利を目的とせず、観客から料金をとらない場合は、著作物の上演・演奏・上映・口述(朗読)などができる。ただし、出演者などは無報酬である必要がある。

しおん:stand.fmではそれがオンラインになっちゃうので、著作権あるとできなくて。そちらでは、著作権フリーの作品を読んでます。

stand.fmのルールについては、こちらです。

有島:その朗読劇では、現代のどういう作品をやってらっしゃったんですか。

しおん:たとえば、角田光代さんの短編とか。ショートショートと言えば星新一さん出てきますけど、星新一さんの作品ってSFが多いので、私はあまり得意じゃなくて。

有島:なるほど。

しおん:現代のリアルな、恋愛ものもありますし、友情を描いた作品とか、ちょっと推理ものとかが好きで。ジャンルはあんまり固定してないんですけど、いろいろと読んでます。

有島:お芝居をもう一回やろうって思わず朗読のほうへ行った理由は?

しおん:大きな理由が2つあって。まず1つは、純粋に、お芝居ってセリフを覚えるのが大変なんですよ。あと、お芝居って練習の時間、拘束時間がすごく取られるんですよ。それがおっきいですね。夜、うちを空けないといけないとか、本番近くなったら毎日練習があって、土日も朝から夜までとか、そういうのが普通なので。やっぱり子どもが小さいうちは、なかなかそれができないので、その2つがおっきかったですね。

有島:なるほど。

しおん:お芝居やりたいなっていう気持ちはあったので、実は、声掛けていただいたところに客演っていうか、劇団にお手伝いで出演したりっていうのが2、3回あったんです。でもやっぱり、ちっちゃい子ども連れて練習行ったりとかしてたので、そのときはなかなか大変でした。
朗読は、そのあたり、やっぱり自分1人で家でも練習できるので、そっちに行きましたね

有島:たとえば、今後、朗読をしながら、もっと自分の時間ができてきたら、お芝居をやりたいと思われますか。

しおん:やっぱりセリフを覚えるのが大変っていうのが、今は一番おっきいですね。時間ができて声がかかっても、たぶんやらないかな。お芝居に出る可能性は低いかもしれないです。

有島:セリフを覚える大変さがなかったとしたら、実はお芝居をやりたい?

しおん:お芝居は、やっぱりすごい魅力的なもので、好きですね

有島:演じるほうの魅力っていうのは、しおんさんにとってはどういったところなんですか。

しおん:これはやっぱり、自分ではない人間になれるっていうのが一番おっきいですね

有島:ご自身じゃない人になることが、すごく魅力?

しおん:たとえば「アンネの日記」とかもそうですけど、その舞台の上だけでも、日本にいながら外国の場所に行けたり。非現実的な世界にいられるっていうのが、すごい楽しいですね

有島:朗読のほうも同様の魅力が?

しおん:朗読は奥が深いです。お芝居っていうのは何人もいろんな方々と一緒に作るんですけど、朗読って基本、全部1人。1人で何役も読んだりとか、演出っていうか、こういうふうに読むとか全部自分で決めて作れる。そういう意味では自由だし、どうとでもできるというか、自由っていうのがすごく楽しいですね

有島:なるほど。

しおん:自由っていう分、客観的に聞いてもらう機会がないままお客様の前で読むので、これで良いのかなっていうのは常にありますけどね。

有島:じゃあ今は、自由を一番重要なことにして?

しおん:朗読を楽しく。

3、演技 〜お遊戯会からヅカファンまで〜

有島:お子さんのころから、そういうお芝居に興味があったというか、好きだったんですか。

しおん:好きでしたね。一番最初に演技したのは幼稚園のお遊戯会のときです。

有島:何の役だったんですか。

しおん:未だに忘れられないんですけど「七匹の子ヤギ」ってありますよね。体が大きかったので、お母さんの役だったんです。私はお母さんの役が嫌で、子ヤギが良いって文句を言ったらしいんですけど、変わらなかったという悲しい話がありまして。(笑)

有島:でも、つとめられたんですね。

しおん:やったみたいですね。実は自分でどんなんだったか、そこまでの記憶はないんですけど。昔、母が言ってました。

有島:それが最初のお芝居ですか。

しおん:私の記憶の中にある限りでは、幼稚園のときが最初だったと思うんです。そのあとも小学校の学芸会では、低学年のときは必ずお芝居をやりました。お芝居をするグループと、音楽を演奏するグループに分かれてやってたんですよね。

有島:なるほど。

しおん:娘の学校とか見てみたら、今はお芝居をやって横で器楽隊が演奏するっていう形がポピュラーみたいなんですけどね。昔は分かれてて、私はちっちゃいときはお芝居やってましたね。

有島:高学年になると、変わってくるんですか。

しおん:高学年になったら器楽隊のほうに魅力を感じて、ピアニカとか演奏してましたね。

有島:へえー。

しおん:学校では器楽隊だったんですけど、プライベートで面白いことをしていて。高学年のころ少女漫画が好きで読んでたんですけどね。仲の良い友だちと一緒に、その少女漫画のセリフをみんなで声に出して読み合いっこをして遊んでいました

有島:何人ぐらいで読んでたんですか。

しおん:そのときは3、4人でやってましたね。誰かの家に集まって、カセットテープに録音して。今でもそれは残ってるんですよ。
あとでBGM付けたりとか、そんなこともしてました

有島:へえー。

しおん:音楽はもう普通に、既成の何かの歌を使ったりとかですけどね。

有島:そのとき好きな歌をBGMに?

しおん:あと、映画のサウンドトラックとかですね。昔のアニメのサウンドトラックから、何曲か使ったりとか。そんなことをしてました。

有島:アニメの音楽って、どんな作品の音楽を使われてたんですか。

しおん:今思い出したのは「超人ロック」っていう少年漫画で、当時、それのサウンドトラックを買って持ってたんですよね。これを使ったりとかしてました。あとは、私、昔アニメ好きだったので「六神合体ゴッドマーズ」とか。

有島:しおんさんがその当時興味があったのは、アニメ?

しおん:アニメは一番好きでしたね。

有島:小学生ぐらいのころですか。

しおん:アニメは小学校の高学年ぐらいですね。あと宝塚(宝塚歌劇団)です。
(stand.fmで)「スタエフ宝塚歌劇部」を立ち上げまして、配信しようかと思って企んでるんです。
札幌に住んでるので、生の舞台って小学生のころは見たことなかったんですけど、昔NHKで、たまに劇場中継っていう形でやってたんですよ。それを見て好きになって。

有島:「ベルばら」とか。「エリザベート」はもうちょっとあとですかね。

しおん:「エリザベート」は初演が1995年かな? 最近でもないけど、もう30年ぐらい前なんですね。でも「ベルばら」はもっと前ですもんね。

有島:それをご覧になって。宝塚は今でもお好きという。

しおん:でも結婚してからは、ほとんど行けてなくて。

有島:その前は、宝塚にも足を運んでいらっしゃった?

しおん:20代のころは、働いたお金、全部宝塚に遣ってましたね

有島:もうかなり頻繁に現地に?

しおん:紫苑ゆうさんというスターさんがいまして、その方のファンでした。宝塚へ見に行って、東京の宝塚劇場へも行ったりとかして。

有島:へえー。

しおん:それでも3年ぐらいですかね。

有島:未だにヅカファンでいらっしゃる

しおん:宝塚は良いですね、本当に。夢の世界。ダンスも衣装も綺麗で、非現実ですね。やっぱり現実逃避をするのに最適っていうか。現実世界が、いろいろと厳しいじゃないですか。子どものころはそうでもないですけど、大人になってくると大変なことが多いから、やっぱり夢の世界に行きたくなります。

有島:実は、少女漫画じゃないんですけど、中学生ぐらいのときに自分で、想像のラジオ番組を作って、空想の「こういうお便りがきました」みたいなはがきを作って、自分でカセットテープに録音してラジオ番組を作ってたっていう人を、先日インタビューしたんです。意外とやってる方、多いなって。

しおん:私もやりましたよ。ラジオ番組みたいなものを録音して、ちゃんと音楽かけて遊んでましたよ

有島:いくつぐらいのころですか。

しおん:それは中学校ですね。

有島:みなさん、中学校のころってそういうところに行くんですかね。

しおん:私たちのころって、深夜ラジオを聞くっていうのがけっこう流行ってて、「オールナイトニッポン」とかもそうですけど。10時過ぎぐらいからのラジオ、中学生のときによく聞いてましたね。

有島:私も中学時代から、試験前に深夜ラジオを聞いていました。

しおん:ですよね? 「オールナイトニッポン」聞きながら、夜中に勉強したり。昔は、みんな通る道だったんですね。今はどうかわからないけど。

有島:テープ録音して自分でしゃべるっていうのを、子どものころにやってる人が多いっていうのは、ちょっとびっくりです。インタビューは、しおんさんが4人目なんですよ。そのうちの2人がやってたっていうことは、けっこう衝撃の事実だなって思いました。(笑)

しおん:(笑)自己満足ですけど、聞いてて楽しかったです。みんな子どものときって、そういう時代ですよね。

有島:うんうん。

しおん:そういう人たちが今、stand.fmハマってるんじゃないかと思うんです。私、編集しなくて良いっていうのがびっくりしました。BGM選択するだけで音楽付けてくれるなんて、最初びっくりしませんでした?

有島:これ無料? みたいな。

しおん:まず、誰でもっていうのがすごいなって思いましたけど、良い時代になりましたよね。もう本当にstand.fmに足向けて寝られないというか、作ってくださった方にお礼を言うしかないみたいな感じです。(笑)

有島:そのころは、まだ本格的に演劇はされてなかったんですか。

しおん:中学校の1年生の後半から演劇部に入りました。中学校と高校は、ずっと演劇部で

有島:演じる側、役者さん側が多かったですか。

しおん:演じるの好きっていうか。今考えたらですけど、私、人見知りっていうか、ちょっと変わった子どもだったので、自己表現ができなかったんです。特に小学校高学年ぐらいから友だち付き合いも苦手になりました。

有島:そうなんですか。

しおん:友だちと一緒に漫画読み合わせして遊んでたって言ってましたけど、そういうことがないと、逆にどう遊んで良いかわからないタイプだったんですよね。普通に遊ぶっていうのは苦手だったので

有島:なるほど。

しおん:たぶんそれで、お芝居のほうに行ったのかなって思うんですよね。自分を唯一表現できるもの、自分の表現方法としてお芝居を選んだというか。体だけじゃなくって、声を使って何かを表現するのが好きだったのかなと思うんです。

有島:人見知りでもポジティブな方だと、そういう方向に行くんですね。

しおん:でも私、教室ではひとりぼっちでした。だから、中学校の1年生、本当、友だちいなくて、休み時間も寝たふりしてましたよ。早く授業がはじまらないかっていう感じ。

有島:なるほど。

しおん:休み時間つらいですよね、話す相手いなくて。それは私も本当にそうでした。だから放課後は演劇部あったので、楽しかったですね。

有島:演劇部のほうでは、クラブの中のみなさんと楽しく過ごせたんですか。

しおん:楽しく過ごしてたのかな? お芝居をやっているとき以外どういう過ごし方をしてたのかって、私は嘘のようにすっぱり記憶がなくなっているので、もしかしたら辛かったのかもしれないですね。あんまりうまく交流できてなかった可能性はあります。

有島:お芝居は楽しかった?

しおん:舞台に立っているときは、やりとりできてたと思うんです。高校ぐらいのときまでは、それ以外難しかったんですかね。短大...そうですね、学生のころはずっと友達は少なかったです。大人になって、劇団に入ってから急に社交的になったっていいますか。

有島:その変化のきっかけって覚えていらっしゃいます?

しおん:たぶん、舞台に立つようになって自信がついたんだと思うんですよね。学生のころの演劇部っていうのは、まだ中途半端な感じだと思うんです。やっぱりたくさんのお客様の前で、自分が役を演じてみんなが喜んでくれるっていうのが、自信につながっていったと思うんですよ。それで少しずつポジティブになって、自分から何かをやっていけるようになったっていうか。

有島:なるほど。

しおん:それまでは、自分で朗読会を主催するとか、全然考えたことがないぐらいの人間だったけど、今は本当に知らない人に声掛けます。それこそ、今日もこんなインタビューしていただくなんて、全然知らない方にでも、昔の私だったら考えられないんです。

有島:今や、朗読会の主催をされてますし。

しおん:そうですね、びっくりですね。急にコロっとは変わらないですけど、やっぱりちょっとずつ、人と付き合うのがうまくというか、慣れていったのかなっていう感じはしますね。やりたいことはやったほうが良いって、自分で思ったのかもしれないんですけど。

有島:なるほど。

しおん:自分がやりたいなって思ったときに、誰かがやっているところに乗っかったほうが絶対楽なんです。周りになかなかいなかったりとか、いたとしても自分の好きなやり方でやってない場合は、じゃあ自分でやったほうがいいやって思うようになったっていう。そこはやっぱり、個性的というか、独特な考え方かもしれないです。自分ではじめちゃうと大変なんですけどね。

有島:読むこと以外のいろんな調整とか、それ以外のところがいっぱい出てきますよね。

しおん:事務的なこととか、メンバーを集めるっていうことは気も遣いますしね。

有島:そういうこともありつつ、朗読会では、しおんさんの表現で、お客様をにっこりさせたり、ほっこりさせたりしてらっしゃるんですね。

しおん:笑いをとったらなんぼって感じで、なんとか笑わせようとするんです。やっぱり笑顔って良いですよね。大好物ですね。普段笑わない人が笑うと、余計素敵に見えますよね。なんとか笑ってもらおうと、それに命をかけるときがあります

4、嬉読(きどく)を広げたい

有島:今後、どういったことをしていきたいっていうのは、具体的におありになるんでしょうか。

しおん:朗読っていっても、私が「紫朗読会」をやっているポリシーとして、宇宙一、敷居の低い朗読会っていうことでやってるんですよ。なので誰でも朗読してくれっていう。カフェでやっていたときは、読む人は基本的に決まってるんですけど、お客様で来てくれた方でも、もし読みたくなったら言ってくださいって、そういう時間帯を設けてやってたんですよね。飛び入り参加コーナーをつくって、そこで読んでくださった方もいました

有島:なるほど。

しおん:朗読は難しいっていうイメージをなんとか取っ払って、みんなに読んでほしいなって思ってて。嬉読(きどく)って私が考えたのもそこです。嬉読は、読んで嬉しくなるっていう思いを込めてつけた名前なんですけどね。その作品を、まず自分で読んで楽しんで、楽しく読んでるのを聞いてくださった方も楽しんでもらえたらハッピーだなっていう気持ちでやってるので。

有島:うんうん。

しおん:嬉読というものを、みなさんにちょっとでも知っていただくっていうのが、これからやっていきたいことでもありますし。「紫朗読会」も、可能な限りは続けていきたいなとも思ってます。「嬉読をしていただく」という活動を、これからも続けていけたらと思ってますね。

有島:もう少し先、未来はこういうふうに発展させたいなあとか、こういうものをやってみたいなあとか、そんな夢はございますか。

しおん:夢の1つでは、私、宝塚歌劇が好きなので、宝塚の劇場の近くで毎月1回朗読会したいっていう夢はありますね。もしかしたら、タカラジェンヌの人が聞きに来てくれるかもしれないって妄想したりとか。すごい妄想家です。

有島:宝塚で朗読会。

しおん:実際にやってる方もいらっしゃるし、難しいことではないと思うんです。ただ、札幌にいながらっていうことを考えると、なかなか今すぐにはね。コロナがなくても、お金の問題とか現実的にはけっこう難しい部分はありますし。

有島:なるほど。

しおん:もう1つの夢。最初は宝塚にマンションを借りて、毎月行くときにそこに泊まってって思ってたんです。でも、去年、宝塚ホテルが新しくなって、本当に劇場の並びに移転したんで、月に一回、宝塚ホテルを定宿にしたいですね。朗読会をホテルでできるかどうかは別なんですけど

有島:へえー。

しおん:もちろん観劇もして、それが夢ですね。札幌が好きなので、札幌に住みながら毎月宝塚に行くっていうのが、今の最高の夢です

有島:宝塚でやってる方と、リモートで一緒に朗読会をやってみたり、それを続けていって、コロナが収まったら宝塚で初めてできますね、とか。逆に、札幌に来てみませんかって。東京にも宝塚劇場ありますし、東京も誰か引っ張って。みんなでコラボして、いつか動けるようになったら、それぞれの場所でやるぞって。強引に持っていきましたけど。

しおん:なんか今、すごい一気に広がりましたね。

有島:以前だったら、そういうの、なかなか言いづらかったですけど、今って基本リモートですから、やってみませんかって声掛けやすいと思って。個人的に、そんなに無茶苦茶遠くないような気がするんです。

しおん:本当だ。私が今、計画してるの、ちょっと見透かされたような気がするんですけど。(笑)

有島:へえー。

しおん:言うつもりなかったんですけど。実は、宝塚に限らず、朗読のオープンマイクっていうのをstand.fmでやろうと思ってて。ライブでコラボできるじゃないですか。宝塚に住んでる人じゃなくても、全国のいろんなところに住んでる人で、読みたい人いたら上がってくださいって言ってコラボしてもらって朗読してもらうっていうの、近々やろうと思ってるんですよ。たぶん、読みたいっていう方はいらっしゃると思うんですよね。今仰ったことにつながるよなと思って。

有島:まずはstand.fmからで、いずれは月に一回宝塚ホテルに泊まって、近くで朗読会やって。

しおん:あとはね、物理的にお金をなんとか捻出できれば行けますね。今のうちにがんばって。

有島:最後に、言い残したことってございますか。

しおん:じゃあ1つ。私が嬉読をやるときに一番大切にしているものがあって、うまく読もうとかそういう気持ちじゃなく、こういう思いを持って読んでますっていう気持ちをお伝えすることを第一に読んでいます。だからセリフを言うときは、セリフとしてうまく聞こえるようにじゃなくて、その物語に出ている人の気持ちを考えて、それが聞いてる人に伝わるように、思いを伝えられるように読んでいるっていうところなので。それを聞いて、どう受けとめていただけるかっていうのは、私が一番大事にしてるところです。うまく伝わるんだろうか。言葉で伝えるの難しいですよね。

有島:ストーリーテラーではなくって、登場人物のほうにフォーカスして。

しおん:そうですね。

有島:やっぱり、別の人になるということでしょうか。

しおん:自分の中では、作品の中にいる人に近い部分を自分の中から引きずり出すっていう感覚なんです。セリフを言っているうちに自分の中から出てくるものがあって。その役の気持ちとリンクするんですよね。だから途中で、演技って感覚じゃなくて、自分と役がわかんなくなっちゃうときがあって。実際に読んでて、急にこう、ひゅって入っちゃうときがあるんですよ。

有島:へえー。

しおん:今、嬉読をしていて、それが楽しいんですよね。あれ? 今、しおんさん変わったかもしれないって思っていただいたとしたら、その瞬間がもしかしたら、ひゅっと入っちゃった瞬間みたいな、そんな感じですね。本当にたまにあるんです、読んでて、面白いんですよ。これたぶん、慣れればどなたでもできると思うんですけど。中に入っちゃうっていう。降りてくるっていうか、気持ち良いんですよ。

有島:そういう意味では、役者さんのほうの方なのかなって思ったんです。ただ聞いてもらうというよりも、登場人物の気持ちをみつけてもらうみたいな感じですか。

しおん:うまい朗読する方よりも、思いが伝わってくるほうが、聞いてて面白いんじゃないかと私は思っちゃうんです。ただ、好みがあるので、あまり感情を入れられても聞いてるほうが引いてしまうとか、やっぱりそこは好き好きあるんですよね。逆に私、淡々と読んでる朗読は、つまんないって思って聞けないんですよ。(笑)本当、さまざまですよね。

有島:なるほど。

しおん:嬉読が一人でも多くの方に聞いていただいて、やっていただいてね

5、演じてインタビュー(構想)

しおん:今日は楽しかったです。

有島:ありがとうございます。

しおん:この話を読んでくださって、楽しいんだろうかって思うんですけど。

有島:しおんさんも、素敵な声だし、インタビューが向いてそうな気がしますけど。あ、でもインタビューは別人にはなれないんですよね。

しおん:別人。

有島:非日常かって言われたら。

しおん:自分は自分ですよね。でも、台本があれば。(笑)
今日は、この人になってインタビューとかっていうのはできますよ

有島:面白いかもしれないですね。音声で、今日私は、この物語のこの人としてインタビューしますって。

しおん:それ良いですよね。ある意味演じるっていうか。いろんな人になってインタビューするの、面白いかもしれませんね

有島:今日は、本当にありがとうございました。

▷アウトロ

嬉読(きどく)」という言葉を創作し、広めていきたいというしおんさん。
演じることが大好きで、ご自身と折り合いをつけていく中で朗読へたどり着いた今、朗読との未来に素敵な夢を持っておられました。
最後は「演じてインタビュー」という案まで出てきましたが、はたして実現するでしょうか。(笑)

インタビューしながら、昔の友人とおしゃべりしているような楽しい気持ちになりました。
ありがとうございました。

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