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天職の見つけ方

単純な人間なのだと思う。

生まれてはじめて、自分が一冊イラストを手掛けた本を書店で見かけた時のことは忘れない。

デビュー作で、カバーから中身まで本をまるごと一冊分イラストを描き、著者として扱ってもらえたのは、幸運だったとしか言えない。

その上、東京駅の八重洲ブックセンターの目立つ場所に何十冊も平積みになっているのを見た時には、うれしいなどという感情を通り越して、頭の奥がキーンと痛んだ。貧血を起こした時のように、ふわふわと現実感のない雲の上を歩いているようだった。

ずっと夢見ていたイラストレーターになれた、もうそれだけで、自分は天職に就いたのだと思い込んだ。それも無理はない。

それまで様々な職種を経験してきたけれど、自分に向いていると思えた仕事なんて何もなかったからだ。

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本を出すたび変わる天職

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