見出し画像

2023年5月18日開催「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(その3)

こんちわ、Saryuの干物です。

今回の診療報酬・介護報酬の同時改定(さらに障害福祉サービス等報酬の改定も加わり、トリプル改定となる)が行われることから、医療・介護等の課題を解決する為に中医協・介護給付費分科会の意見交換という形で全3回開催されています。2024年診療報酬改定の備忘録&資料作成時の注目ポイントメモ、その第3弾になります。

主な9項目の議題
1、地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携
2、リハビリテーション・口腔・栄養
3、要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療
4、高齢者施設・障害者施設等における医療
5、認知症
6、人生の最終段階における医療・介護
7、訪問看護
8、薬剤管理
9、その他

今回は6~9のお話。


24時間・365日対応の推進、スタッフの精神的・身体的負担の解消が重要課題

訪問看護については、医療保険・介護保険の双方に跨るサービス類型。
2025年度に向けて、医療・介護ニーズが急速高まります。地域包括ケアシステムの中では、医療・介護の両面から給付を行う訪問看護が「要の1つ」になるとされてます。

その中で、訪問看護ステーションの整備が進んでいて…

訪問看護ステーションの増加が顕著に表れている
大規模な訪問看護ステーションも増加の一途
機能強化型1の訪問看護ステーションも増加している

2022年4月時点
・医療保険給付を行う事業所は1万3866か所
・介護保険給付を行う事業所は1万2498か所
2021年7月時点
・5人以上の大規模事業所(24時間・365日対応のハードルが低くなる)が45.2%
・機能強化型1事業所(規模が大きく、重度者対応実績多い)が400か所が増加などが明らかにされた。

その上で、訪問看護の課題として…
 ① さらなる高齢化を見据える
   ⇒ 質の担保と向上、管理者のマネージメント能力向上、
     住まいの多様化に対応する訪問看護提供
     D to P with Nの推進(オンライン診療)
 ② 地域の医療・介護ニーズによりしっかりと応える
    
 スタッフの多くをリハビリ専門職が占め、日中に軽度者を中心
     に訪問によりリハビリテーションを行う訪問看護ステーション
     に関しては以前より問題であると指摘されていること
     「24時間・365日対応」「医療ニーズの高い利用者への対応」を
     行っている事業所には、看護職員の精神的・身体的負担大である
     夜間・休日対応できる看護職員が限られているため負担が偏る
     などが指摘されている(要は他医療機関や施設などとの連携強化
     を推進している)

事実、24時間・365日対応にはスタッフ負担大であることも示されている
代休取得などが難しい状況が、24時間・365日対応の大きな障害に

 ③ 医療保険・介護保険のいずれの給付を行うのか、対象者をより明確に
   
訪問看護は医療保険・介護保険の双方に跨るサービスです。
   ですが、自由に両方のサービスを使えるわけではなく、次のような
   ルールが設けられています。
   すなわち、「重度者には頻回な訪問看護サービスを可能としている」
   ということになります。
   〇 要介護高齢者は介護保険の訪問看護を利用
   (要介護状態に応じた支給限度基準額内でケアプランの利用回数を
    決定、上限なし)
  〇上記以外の場合は医療保険の訪問看護を利用(原則週3日以内)
   ・末期がん患者など(別表7)
   ・在宅で人工呼吸器等を使用する者(別表8)
   ・気管カニューレ使用者など、医師による特別訪問看護指示書が
    出されている者
   (医療保険の訪問看護の利用制限なし)
   
   ・末期がん患者など(いわゆる別表7)
   ・気管カニューレ使用者など、医師による特別訪問看護指示書が
    出されている者などでは、要介護者であっても医療保険の訪問看護
    利用可能

医療保険と介護保険の切り分けのイメージ図

ここで挙げられた論点として
「医療技術進歩などで新たに在宅医療が可能となった利用者が、必要な訪問看護受け、出来る限り在宅療養を継続できるよう、訪問看護の介護保険と医療保険の対象者をどう考えるべきか」(眞鍋医療課長)が掲示。

これに対して、医療保険・介護保険の区分けルール・境界は安易に見直しせず、別表7・8の対象拡大や末期がん以外でも医療保険の訪問看護を利用しやすくするなどの工夫が必要であるという意見が出ていました。

④ 医療保険・介護保険の制度上の対応を明確化
 
制度上の問題点
  ・同じ趣旨の評価であるにも関わらず、診療報酬(訪問看護療養費)と
   介護報酬とで施設基準、算定の要件や評価の範囲などが異なる
  ・本来「共して評価すべき」ものが、どちらかの保険でしか評価してい  
   ない

営利法人による訪問看護ステーションが増加

上記のような同時改定時の解消可能な論点として浮上しています。
委員からは
・ターミナル期の評価について報酬上の差異があり、2024年度の同時改定で
 解消すべき
・本来は、在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院が訪問看護ステーション
 を併設などし、在宅療養と入院をセットで提供(ときどき入院、ほぼ在
 宅)しながら看取り対応までする姿が求められる。主治医と訪問看護ステ
 ーションとの連携が非常に重要
・営利企業による訪問看護ステーションが増加しているが、サービスの質に
 問題がないかなどを検証すべき

などの意見が出ており、今後どのような局面になるのか注目です。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?