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6年の時を越えて~私が辞めた理由~

2014年9月、ある事件をきっかけにして私は日本プロ麻雀連盟を退会した。
※在籍期間:2001年~2014年、2007年までは関西本部(当時の船場支部)、
そこから東京本部に移籍し2014年まで在籍。
プロテストを受験したのは17歳の時だったから、
そこから考えると15年間麻雀プロとして過ごしたことになる。
今まで私個人の口から詳細を語る事はなかったのだが、
今回ある人物からの勧めで「かとちゃんの口から語った方が良い」というアドバイスを受け、自分の人生を改めて整理する意味でも真面目に書いてみるかと思い、今書き始めている。
前提として最初に断っておくが、今から書く内容は私個人の目線から見た内容であり、もしかしたら事実と異なる点があるかもしれない。もちろん断定出来ない話はそのように表現するが、どうしても自分目線から見た書き方になってしまうので、その点を考慮しつつ読んでいただけたら幸いです。

きっかけ(ヒサト軍入団オーディション優勝)

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2014年4月、こちらの企画で私は優勝した。
対戦相手は羽山さん、大和君、中村君、解説は寿人、MCは古橋さんだった。半荘1回勝負の番組だったから、正直これで誰が強いかどうか?というのは分からず、名前を売る為に自ら活躍の場を求めて出演希望を出した、という事だったと思う。
当時の事だから麻雀の内容はうろ覚えだが、確か私は南場の親を迎えた時点で断ラスで連荘が必須条件、ドラの中をノータイムで自摸切りし、それを北家の中村君にポンされ(その時点でポンテンの58万か47万)、私も同様に萬子聴牌(確か高め一盃口の47万?だったかな)になり即リーチ、一発で安めを自摸って2000オール、次局変則サンメンチャン(36ピン、2ソーだったかな)のリーチヅモタンヤオ裏1で2ソー自摸って4000オール、さらにその次局、北と何かのシャンポン待ちを北家の中村君のトイツ落としを一発で捕らえて12000、と色々あがって優勝した記憶がある。
※今思い出したが、確か1本場が1500点だった。

さて閑話休題。
こちらの大会は参加費が無料だった(交通費は自己負担)
当時全くと言っていいほど金がなかった私にはそれも助かる内容だった。
確かこの大会はその後、滝沢軍のオーディションも実施され、そこで優勝した1名とタッキー、ヒサト、有名女流プロ、大御所プロなどを集めて本大会を開く、というものだったと記憶している。

私が優勝してから数週間が経過した後、一通のメールが飛んできた。
差出人はこの企画の立案者であり、
連盟チャンネルの運営を行っている古橋崇志さんからだった。
そこにはこう書いてあった。
「勝ち上がった人から5000円又は10000円徴収します」と。

理由は本大会から出場する人達にゲスト料を支払わなければならないから、というものだった。私はどうしても腑に落ちなかった。どう考えたって後出しの理由付けだ。このような対応をするなら、一番最初の予選の段階で説明すべき事由だろう。最初からその事実がわかっていればそもそも参加していない。私は悩んだ末、本大会への参加を辞退した。しかしこれが全ての始まりだった・・・

堀内正人との繋がり、そして・・・

ホーリーとの繋がりは確か2007年第3期特別昇級リーグ(以下、特昇)が最初だったと思う。決勝のメンバーがヒサト、三浦さん、刀川さん、私で、ヒサトが優勝した時だったと記憶しているが、当時はそこまで強い打ち手ではなかった。
当時の特昇は対局者がレポートを書くという形式がとられており、それを運営責任者の藤原さんから任せられていたホーリーが書いていたように思う。確か途中段階でヒサトが独走態勢に入った時に「独走させないでくれよ」と声をかけた記憶がある。本当にその当時は全くと言っていいほど強さを感じる存在ではなかった。もう連盟を辞められたが、当時は峠さんの方がよっぽど強敵だと感じていた。ヒサトの印象は決断が早く爆発力のある打ち手だという印象で、ヒサトが断ラスで迎えたオーラスに四暗刻一発でマルAにされた時はかなりのダメージを受けた印象が残っている。

その後ホーリーは勤めていた東南戦のメンバーを辞め、一時は蕎麦屋を開くから連盟を辞めるという話も聞いておりびっくりしていたが、結局歌舞伎町の東風戦で働く、という選択肢に至り連盟は辞めなかった。そこからだ、ホーリーが変わったのは。急激に強くなった、驚くほどに。麻雀の内容もさることながら卓に着いた時のオーラが以前のそれとはまるで違う。仕掛けの切れ味も抜群に良くなったと思う。当時、2年連続で十段戦の決勝に残った大場篤という打ち手がおり、彼もまた歌舞伎町の東風戦で働いていたので、私もまた本格的に雀力を磨く為には東風戦をやらなければ成長出来ないのかもしれない、と考え始めるようになった。
※風の噂で大場篤が東京にいる、という話を最近聞いた。
もし会う事が出来たら、久しぶりに話を聞いてみたいと思っている。
元気だったらそれでいい、麻雀はいつでも出来る。

話が脱線してしまったが、私がヒサト軍オーディションで優勝した当時、ホーリーは例の十段戦事件で謹慎処分を言い渡されていた。十段位を取ったにも関わらず、翌年の決勝戦で三味線疑惑をかけられ、最後まで打つことなく全ての権利を失った一件だ。
※この件についての私の考えは長くなるので、また別の機会にnoteに書こうと思います。 
※端的に言うと、連盟、ホーリーどちらかが一方的に正しいとは思っていません。責任の大小はあるかと思いますが、100:0ではないと考えています。

私はこのヒサト軍オーディションの一件をホーリーに話した。
理由は以下だ。
・同じ連盟員であること
・十段戦の決勝に残るも優勝できなかった自分と優勝したホーリー、自分の敗れた前原さんに勝利し優勝を手にしたホーリーをリスペクトしていたこと
・謹慎処分になった彼を不憫に思っていたこと
・麻雀に対する情熱はとても熱く、彼に復活して欲しいと思っていたこと

他にも上げればキリがないが、兎にも角にも信頼出来る相手だった。
この話をホーリーにしてしまった事が、結果的に二人を退会へと導く事となる・・・この時の二人はそんな事になろうとは考えもしなかった。

伏線

実はホーリーに私が電話でこの事実(ヒサト軍オーディションの一件)を伝える数日前の事、四谷の道場に競技ルールを打つ目的で顔を出した。
※実際にはドアを開けず、そのまま立ち去った
※時間は道場オープンの13時になる少し前で偶然にも会社が休みの日だった

私がドアを開けようとしたところ、中からこんなやり取りが聞こえてきた。
藤原さん「加藤が参加費取る件で偉そうに辞退してきたらしい」
「生意気な奴だ」
太田優介「へ~、勿体無いですね」

私はそっとドアを閉じ、静かにその場を立ち去った。
※その時は2人しかその場におらず、私が来たとは思ってもみないだろう。

その時の私の感情はこうだ。
「暫く干されるかもしれないな」
「自分で決めたことだから仕方ない」と割り切ってそのまま自宅に帰った。
その夜、私はホーリーに先述した今回の一件を話した。
※昼間起きた出来事(伏線)については一切喋っていない

事件発生、話は急展開を迎える

数日後、仕事から帰ってきた私は休んでいたところ、携帯が鳴った。
電話の主は古橋さんだ、嫌な予感がした。
電話の内容は以下だ。

古橋「今回の件を堀内に話したか?」
私「いいえ(実際には話している)」
古橋「話しているとほかの人から聞いてるけど、どうなのか?」
私「話してません(実際には話している)」
私「が、話してはいけない理由もわかりません。同じ連盟員ですよ?」
古橋「滝沢さんや山井さんに相談するのはまだいい」
「が、謹慎中の堀内に話すのはよくない」

と、いった感じで暫く押し問答が続き、結局最後に言われた言葉は、
古橋「今回の件を今後一切口外しないという誓約書を書いてください」
というものだった。

また別角度からの話も私は切り出した。

私「そもそも予選の時点で参加費を徴収していないのに、
本大会をやる時点になって優勝者から参加費を徴収するのはおかしい」
古橋「森山さんが決めたことです」
私「どう考えてもそんな理不尽なことを森山さんがいうわけがない」
「森山さんに直接確認しますよ?」
古橋「・・・・・・」
「私が事前に賞金を手配するのを忘れておりました」
「申し訳ございません」

その時なぜ彼が森山さんの話を持ち出して、
私を言い包めようとしたのか、真意は聞いていないので何とも言えないが、恐らく自分の身の保身をしたかったのではないかと思う。
或いは森山さんの名前を出せば、私が黙ると思ったのだろう。 
※この辺はただ古橋さんが言わされている可能性もあるので、
あえて断定した表現は使わない。
ただ私としてはそういう印象を持った、という話だ。

話を戻そう。
私は電話口で古橋さんに嘘を付いた。理由は以下だ。

・その時まだ連盟に未練があった
・高校在学中から夢見ていた麻雀プロを15年間続けてきており、
退会の決断を瞬時に出来なかった
・私が話したという事を伝えると、
ホーリーに迷惑がかかるかもしれないと危惧した
・自分自身が可愛かった(身の保身)

※私も古橋さんと同じく、自分が一番大事だったし、
何より今まで麻雀プロとして費やしてきた膨大な時間と金を、
こんな些細な事で捨てていいのか?という迷いがあった。

私は古橋さんに電話口でこう言った。
「暫く考えさせてください」

即座にホーリーに電話をかける。

堀内「お疲れ様、どうしたの?」
私「例の件、誰かに喋った?」
「いま古橋さんからその事で電話がかかってきた」
堀内「うん、1人だけ喋ったよ」
私「誰?」
堀内「太田優介」

その瞬間、私の中で全てが1つに繋がった。
そして全てが崩れ去った瞬間だった。

私はその後、今回の件についてホーリーにやり取りの内容を全て話した。
※伏線の件もこの時初めて共有した。

また連盟を退会する意向もその時に伝えた。
その瞬間、ホーリーが電話口で固まった。

「じゃあ、俺も辞めるよ」

糸が切れたように発せられたその言葉は今でもよく覚えている。
言葉では上手く表現できないが、
自分達が今まで信じてきたもの、信頼してきたものが一気に崩れ去った気がした。そして全てが敵に見えた。涙が止まらなかった・・・

ホーリーとの電話直後に古橋さんに電話をかけ、
退会する意向と誓約書には署名しない旨を伝えた。
さすがにその事には古橋さんも動揺したのか、本当に辞めるんですか?
勿体ないですよ、と考え直すように諭されたが、
全てが敵に見えてしまっている私には、その言葉は届かなかった。

次の日の朝

朝目覚めると猛烈に頭が痛かった。
自分の個人的な事情で会社に迷惑をかけるわけにはいかないと思ったので、
会社に出社した。会社について熱を測ると40度近くの高熱が出ていた。
※原因は不明だが、恐らく精神的なものからきていると思った。

出社して直ぐに自分の席にディレクター、プロデューサーが集まってきた。
当時はゲーム会社に勤めていたのだが、みんな私が異常なまでに麻雀に情熱を注いでいることは知っており、仕事そっちのけで心配してくれた。
確かFacebookで辞める話を書いたので気付いたのだろう。
「大丈夫か?」「無理せず帰った方がいいんじゃないか?」など本当に多くの方に心配して頂いた。私は「大丈夫ですよ」と言って無理矢理にでもその事実を忘れようと一生懸命仕事をした。これから何を自分の生きる糧として生きていったらいいんだろう?その事だけを延々と心の中で考えていた・・・

退会届提出

長引かせてもよくないと思い、その週に四谷道場に退会届を提出しに行った。道場には藤原さんはおらず、斎藤さんに渡したと記憶している。
※ホーリーは仕事の都合で、その翌週に出したと認識している

ともかく、これで私の麻雀プロ人生は終わったのだ。
そう確信した瞬間だった。

その後、私は麻雀に対する思いが捨てきれず、麻雀ゲームを開発・運用する会社に転職するのだが、その話は長くなるのでまたの機会に書こう。
そして退会して暫くして福地誠と出会うことになり、私の人生はまた急激に変化していく・・・
※福地さんとは沢山喧嘩もして今があるので、
こちらもまた書きたいと思います。
※そんなに一筋縄で上手く話が進んだわけではありません。


振り返って・・・そしていま思う事

さて、長々と経緯を書いてきたが、私が今思っていることを書こう。

・当時の事をどうこう言うつもりはない
それぞれの立場でそれぞれに思う事があって、
結果的にこうなってしまったのだろう。
それにもう6年前の事だ、正直拘りはまるでない。

・黒木さんや森山さんとは直接この件についてやり取りしていない
よく勘違いしている方がおられるので書いておくが、
私は黒木さんや森山さんとは一切会話していない。
だから正直言ってプラスの感情もマイナスの感情も持っていない。
ニュートラルな状態だ。
が、当時全てが敵に見えてしまっている私にとっては、
当然そういった判断(誓約書云々)を下した人物がいる団体の頂点に立って
いる人物だから敵としてみなしてしまった、という表現が正しい。
だから今もし会ったら、当時はすいませんでした、と謝るだろう。
古橋さんや太田君も同様だ。
最近古橋さんは結婚したらしい、会ったらおめでとう!と伝えたい。

・麻雀プロに戻る気は今のところない
これもよく聞かれるので答えておくと、
これだけ世間や業界を騒がしておいて、「ごめんなさい戻りたいです」
とかいうのは自分自身が許せないし、みっともないのでさすがにないな、
と考えている。
この文章を書くように勧めてくれた友人には、
「ごめんなさいして、戻ってきちゃってもいいんだよ」と言われたし、
その気持ちは胸が痛くなるほど嬉しいが今の自分にはその選択肢はない。
また麻雀プロをそんな気軽に出来るほど、この道は甘くないと考えている
ので、尚更だ。

辞めてから麻雀に対する見方もだいぶ変わった。
麻雀プロじゃなくても麻雀を楽しむ事が出来る、麻雀プロ時代には見えて
なかった部分が今は見えている。
 
例えばホーリーの存在だ。
彼は自分一人でyoutubeを配信し、かなりの収益を得ている。
この間会った時には1ヶ月100万円近い収益という話だったから、
もはや一流の麻雀youtuberだ。
セルフプロデュース能力がずば抜けて高い、他の麻雀プロも見習ってほし
いくらいだ。団体に所属せずとも個人の力だけでこれだけやれる、
という事を証明してくれた。自分も見習わねばと素直にそう思う。
福地さんもnoterとして全体の上位3%に入ってると仰っていたので、
それも相当凄いことだ。

私自身も何らかの形で麻雀に関わって生きていけたらと思うが、
今のところ具体的にどうこう、というのはない。
探している途中だ。

Mリーグはほぼ毎日見ているし、
ABEMAの各団体の麻雀番組もほとんど目を通している、
という事はやっぱり私は麻雀が大好きなんだろう。
過去を振り返っても戻ってくるわけではないのだから、
とりあえず今を一生懸命生きるしかないのかな、と考えながら
毎日を過ごしている。

長々とお読みいただき、ありがとうございました。

※登場人物と事件の相関関係をもっと詳しく書いてくれないと、
肝心な所がはっきりしないのでよくわからないです、
とのご意見を頂きましたので、その点について加筆します。
↓↓↓
■登場人物
・古橋さん、太田さん、藤原さん、ホーリー、加藤

■時系列:
①古橋さん→加藤に費用がかかる旨の連絡アリ
②加藤→古橋さんに辞退する旨を連絡※古橋さん以外には話していない
③藤原さん→太田さんに情報共有※偶然加藤が聞いてしまった
④加藤→ホーリーに情報共有※③の事実は伝えていない
⑤ホーリー→太田さんに情報共有
⑥???→古橋さんに情報共有※この「???」が誰かが不明だった
⑦古橋さん→加藤に「誰か」から聞いた、と事情聴取アリ
⑧加藤→ホーリーに確認※太田さんだと判明

つまり、
・私からは古橋さんとホーリーにしか話していない。
・ホーリーは太田さんにしか話していない。
・太田さんは事前に私が古橋さんにしか話していないことを、
藤原さんから聞いて知っている
・③と⑤から推察するに古橋さんに伝えたのは、
太田さんである可能性が極めて高い
※⑤だけでも十分なのだが、更に③の情報がプラスされることにより、
人物の特定がしやすかったという話です。
※文中の「全てが1つに繋がった」というのはそういう意味です。
 
↓第二話、続きはこちら


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