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はじめに

子どもたちや多世代が心温まる食事を共に楽しむ場所、
それが教会こども食堂です。
この場所では、食事を通じて笑顔や支え合いが生まれ、困難な状況を共に乗り越える力が育まれています。
今回は、松山市三津にある「教会こども食堂」の概要や歴史、課題、そしてこの活動の原動力について、代表の森分さんにお話を伺って来ました。
これから子ども食堂を始めたい方や興味をお持ちの皆さんに向けて、その魅力と挑戦を発信していきます。

教会こども食堂の概要

団体名:教会こども食堂
実施場所:愛媛県松山市祓川2丁目1−5(三津教会)
代表:森分 望
スタッフ・ボランティア数:30人~50人

教会こども食堂は、地域のコミュニティの一翼を担う貴重な場所です。
毎月最終週の金曜日に開催され、多くの子どもたちが集まります。そこでは食事をするだけでなく、準備や後片付けをみんなで分担して協力し合っています。
この教会こども食堂では、毎週水・金曜日にフードパントリーやお弁当の配布も行われ、たくさんの人に利用されています。
また、教会こども食堂は単なる給食施設にとどまらず、松山東雲女子大学・短期大学聖歌隊によるコーラスと演奏会や彫刻ライブなど、地域のニーズに応じた柔軟な活動を展開しており、子どもたちが集い笑顔で食事を楽しむだけでなく、地域の人々の交流を通じて、支え合い、助け合う場所として機能しています。

教会こども食堂の沿革

教会こども食堂は松山市祓川にある三津教会で2019年の1月に始まりました。
その後、フードバンクとしての活動も始まり、2021年には正式なフードバンクとしての位置づけがなされました。
これにより、食品の供給や子ども食堂の運営がより効果的に行われるようになりました。地域の支援やフード提供を通じて、数多くの子どもたちや家族に支えられ、現在に至ります。

運営していく上での課題

教会こども食堂の運営において、いくつかの課題が浮かび上がっています。その一つは、孤食や貧困といった、困っている人々のニーズを的確に把握し、支援を提供することです。時に、困っているにも関わらず、その状況を打ち明けられない人々がいることがあります。このような状況では、本当に支援が必要な人々を見極めることが難しくなります。

また、活動を続ける上での資金調達やボランティアの調整など、組織運営に関わる問題もあります。特に、コロナ禍においては判断が求められる状況が増え、活動の安定的な継続が難しくなっています。その他にも、運営に携わるボランティアやスタッフの疲労や負担増も、課題の一つと言えるでしょう。

活動を続ける原動力

教会こども食堂を続ける原動力についてお聞きしました。
「とにかく食べさせたい!」
「お腹がすいたという声が聞こえたら、食べろ食べろって食べさせたい!」
代表の森分さんはそう答えてくださいました。

森分さんのこの原動力には、この活動が困っている子どもたちの食事を支えるという責任感と共に、森分さん自身の過去の経験が重要な要素となっています。
森分さんの父親も牧師で、森分さんが子どもの頃からたくさんの人々が集まって一緒に食事をしていたという経験があります。お米など食材を十分に用意できなくなってしまう時もあったそうです。しかし、その時も、困難な状況にある人々が助け合い、支え合って生活していた様子が森分さんの中で深く根付いています。

この経験が、森分さんの行動を促し、困っている子どもたちに食事を提供するという使命感を育んでいます。森分さんは、自分自身が支えられたように、他の人々を支え、一緒に食事をすることで心を温めたいと考えています。その想いが、子どもたちが食べていないと聞くと、ますます森分さんの心を動かし、食べさせたいという気持ちを強くしています。

これから子ども食堂事業を始める・始めたい人へアドバイス

厳しい現実と活動の喜びの両方を見据えることが大切です。最初から完璧を求める必要はありません。助け合いの場を提供することで人々を支える喜びは大きいですが、同時に現実的な問題や困難も避けられないでしょう。

例えば、困っていないのに大量の食料を持ち帰ろうとする人が現れてしまうなど、現実的な課題も起こり得ます。
「ほっとする居場所になるってことはうれしいことが起こると同時に、お困りごとも集まってくる。」と森分さんはおっしゃいました。するとスタッフにも疲れが蓄積してしまうことがあります。
そんなときは、みんなで話し合って、息抜きする機会を設けます。
「自分たちだけで抱えこまずに、ふわっと受け止めるというか、あまり突っ込んでいかず、ふわっと受け止める。そうやって話せるといいかなと思います。」

だから、困難な状況が生じたときには、集まる場所を提供するだけでなく、参加者たちが共に困難を分かち合い、笑顔や支え合いを感じられるように心がけることが大事なことのようです。
困難な出来事も共有し、受け入れ、解決していく姿勢が重要です。そのためには、コミュニケーションを大切にし、柔軟かつ包括的なサポート体制を築くことが鍵となるのではないでしょうか。

まとめ

最も重要なのは、継続的な支援の提供です。困難な局面やしんどい状況が訪れても、その場を守り続けることが必要です。時には休むことも大切ですが、その活動を支える心の原動力を忘れず、子どもたちや困っている地域の人々と共に笑い合える場を提供し続けることが、子ども食堂の本質ではないでしょうか。


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