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#小説

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【恋愛小説】「大気の状態が不安定」

【恋愛小説】「大気の状態が不安定」



鎌倉初夏の鶴岡八幡宮の太鼓橋の前には、行楽客がごった返していた。目に刺さる若葉と、色彩豊かな人々の服装が、時速三十キロの速度で目の前をかすめ去って行く。
赤、青、黄色、緑、白、白、白、白、白。
人混みをすり抜けるとき、人々が海の白波に見えることがある。慶之(よしゆき)の背中に摑まりながら枝理は、遠い昔、叔父のバイクの後ろに乗って、さとうきび畑の間を抜けたあの道を思い出す。
晴れた初夏の朝。

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