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麻痺側上肢の使用頻度

タイトル
急性期脳卒中片麻痺患者の日常生活における麻痺側上肢の使用頻度に影響を及ぼす要因

著者名
佐々木洋子、高橋香代子、佐々木祥太郎、宮内貴之、榊原陽太郎

雑誌名
作業療法

公開年月日
2019年12月

研究の問いや目的

本研究の目的は、急性期脳卒中片麻痺患者の日常生活における麻痺側上肢の使用頻度に影響を及ぼす要因を、患者の基本特性、身体機能、麻痺側上肢の使用方法に対する理解度の観点から明らかにすることです。

研究や実験の方法と結果

方法
対象は、2015年6月から2018年8月までに脳卒中と診断された急性期脳卒中患者56名(発症から1週間以内)です。評価項目は、患者の基本特性、麻痺側上肢の使用頻度(Motor Activity LogのAmount of Useスコア)、身体機能(Fugl-Meyer Assessment、表在感覚、深部感覚、麻痺側握力、関節可動域)、および麻痺側上肢の使用方法に対する理解度です。

結果
対象者の基本特性として、平均年齢は67.5歳、男性42名、女性14名、右片麻痺33名、左片麻痺23名であり、全例右利きでした。
日常生活における麻痺側上肢の使用頻度の平均は2.59点、Fugl-Meyer Assessmentスコアの平均は62.0点でした。
多変量ロジスティック回帰分析により、麻痺側上肢の使用頻度には上肢麻痺の程度(FMAスコア)と使用方法に対する理解度が有意に影響することが示されました。具体的には、FMAスコアが高いほど、また理解度が高いほど、麻痺側上肢の使用頻度が高くなる傾向がありました。

研究や実験の結果から得られる影響

本研究の結果から、急性期脳卒中片麻痺患者の日常生活における麻痺側上肢の使用頻度を向上させるためには、麻痺側上肢の機能改善に加え、患者が麻痺側上肢の使用方法を理解し、その理解度を高めるための介入が重要であることが示唆されました。特に、発症から1週間以内の急性期から積極的に麻痺側上肢を使用するよう促すことが、機能回復と日常生活での自立に繋がる可能性があります。

この論文の結論

急性期脳卒中片麻痺患者の日常生活における麻痺側上肢の使用頻度には、上肢麻痺の程度(FMAスコア)と麻痺側上肢の使用方法に対する理解度が大きく影響することが明らかになりました。したがって、急性期の作業療法においては、これらの要因を重視し、麻痺側上肢の機能改善と使用方法の理解度向上を目指した介入が必要であると結論づけられました。

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