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6分間歩行試験の意義と応用


はじめに

6分間歩行試験(6MWT)は、運動耐容能の評価手法として医療現場で広く活用されています。この試験は、1963年にBalkeによって提唱された一定時間内の歩行距離を測定する方法から発展し、1982年にButlandらにより現在の形態の6MWTが報告されました¹⁾。その後、2002年に米国胸部学会(ATS)からガイドラインが発表され、試験の標準化が図られました ¹⁾。2014年には、欧州呼吸器学会(ERS)とATSが共同でシステマティック・レビューおよびテクニカル・スタンダードを発表し、試験の信頼性と再現性がさらに高まりました ¹⁾。
6MWTは、特別な機器を必要とせず、患者が自分のペースで歩行することで評価が可能なため、心肺機能や全身の持久力を反映する指標として非常に有用です。特に、呼吸器疾患、心血管疾患、脳卒中後のリハビリテーションなど、多岐にわたる臨床領域で広く応用されています。この記事では、6MWTの基本的な意義と、具体的な疾患における応用例について詳述します。

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