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55 未来世紀ブラジル

これは…うん、すごいものを観たなと思います。
完全に悪夢の世界。
私は悪夢を見るのが得意なんだけど、これは私の見る悪夢より不条理で理不尽で、まさに悪夢の中の悪夢。(何言ってるんだろう)

カフカの『城』みたいに登場人物は怪しいし、主人公もどっかおかしい。
いつまでたっても城にたどり着かない、入れない、話が通じない、そんな不条理さをこの作品に感じました。

映画を観た後は必ずレビュー読んでからこれを書くんだけど、今回はまあ見事に真っ二つ。
めくるめく夢の世界、監督はストーリーよりこの世界観を書きたかったのかなとも思うし、合わない人はそりゃいますよね。
私だって大好きとは言い難い…

だけどあそこまで悪夢の要素をばらまいて、あの世界に引き込んでくれて楽しかった。
ところどころシュールなギャグのようなシーンがあって笑えるところもありました。
サムはいちいちいろんなものにぶつかって引っかかってるし。
爆弾テロが起きているのに、レストランでそのまま食事を続けて本当にシュール…
あの食事、完全にディストピア飯だし。
そうだね、ディストピアだったんだろうね。
窮屈で不自由で、ダクトだらけの家の中。
あのダクトは何の象徴だったんだろう。
情報省の天井は綺麗なもので、サムの家も普段は隠されていたけど、バトル氏の家はダクトだらけ。
富とか権威があるとダクトが減っていくってことなのかな。
管理社会も度が行き過ぎれば笑えてくる。
ケロロ軍曹で、ケロロが役所の係にたらい回しにされる回を思い出しました。

絶望的なバッドエンドだったせいで、ハッピーエンドに編集された版もあるんですね。
その他のバージョンもあるとか。
私が観たのは140分ぐらいだったけどどれだったのかわからない。
私だってハッピーエンドを好む人間だけど、これはバッドエンドでもいいじゃない…
悪夢はひどい終わり方をするものですよ。
ラストが近くなってもどんな終わり方をするのかわからず、行き着く先が全くわからない映画はいいもんだと思いました。

あの鎧武者やお面をつけた化け物、本当に夢に出てきそうで今夜が怖いです。

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