スピネルの話

(2023年8月のアメブロ記事をリライトしています)

8月の誕生石といえば、オニキスの他には近年あらたに仲間入りしたペリドットとスピネルがあります。

生い茂る若葉のようなペリドットの爽やかグリーンも素敵ですが……
どうも一般向けの市場ではスピネルをあまりお見かけしない気がする。
個人的には推してる石の方で、ご紹介をしていきたいと思います。

スピネルの強烈なキャラ被り問題

（スピネル、って何色の石なの……？）
と思われた方もいるかもしれません。無理もない。
スピネルはルビーやサファイアの鉱床から、副産物として出てくる石。
採掘の歴史自体は紀元前からあり、世界各地の王家で所有されています。

でも、成分や結晶構造の違いから「スピネル」と判別できるようになったのは18世紀以降の話。
ルビーとレッドスピネル、サファイアとコバルトブルースピネルは、長～～～～～い間ずっと混同されてきたのです。

英国王室が所有する王冠の中央についた赤い石。
通称「黒太子のルビー」は、実はスピネルです。

最近だと、エリザベス女王の葬儀でも登場しました

加えて、赤や青以外にもカラーバリエーションを持っているスピネル。
きっと宝石オタクに対して
「スピネルと言えば何色？」
と聞いてみても、答えはバラバラだと思います。
「スピネル」というのは鉱物グループの名前でもあるからです。

鉱物グループの名前がそのまま通称になっているところは「ガーネット」に似ているかもしれませんね。
(似ている点の多さに、書いていてなんかかわいそうになってきました……)

ニッチな需要に応えてくれる、それがスピネル

私が推したいスピネルの色は、こんな感じのヴァイオレット系 or グレー系タイプ。

この絶妙にブルーやパープルが混じった感じが、個人的にツボ。
グレーのスピネルはヨーロッパで人気だそうで、
日本の市場では赤や青のスピネルが比較的手に入りやすいのだとか。

宝石の良さは「かわいい」だけじゃないんだな……
「かっこいい」もまた正義。

「かわいい色は苦手だけど、ブルーやグリーンはなんか違う」
そんな、モノトーンを愛用する皆さまにおすすめしたい。

ルビーやサファイアの硬度9にはかないませんが、スピネルの硬度は8。
ジュエリーとしては十分実用に耐えうるポテンシャルを持っています。
特にメンズジュエリーにしたら、絶対かっこいいだろうな～～

まとめ

混同されてきた歴史があまりに長すぎて、スピネルの目ぼしい伝承は見当たりませんが……

先の「黒太子のルビー」と呼ばれたスピネルは、中世イギリスの百年戦争において王様の兜の装飾に使われていました。
戦場で敵に頭を狙われても、何度も命の危機から守ったのだそうです。
安全祈願のお守りよりずっとすごくないですか……？！

もしかしたら、全ての人の厄除けとして活躍できるのかもしれませんね。
来年厄年の私もちょっと欲しくなってしまい、この記事を最初に書いた次の日に買っちゃいました……！！
（それがカバー画像のグレイッシュ・パープルなスピネルです♡）

いずれこの子で自分だけの厄除けピアスを作るのを楽しみに、しばらくは手元で眺めるのを楽しみたいと思います。

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