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改正愛護法のその後①悪質事業者の排除

みなさんご存知のように、「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月19日法律第39号)」(以下、改正愛護法)が昨年成立。1年の猶予を経て、今年6月から段階的に施行が始まりました。

殺傷や虐待の厳罰化が始まった
殺傷・虐待・遺棄を厳罰化する条項によって、愛護動物(ペット)の殺傷に対する罰則は、「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」に引き上げられました。

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虐待や遺棄には従来からの「100万円以下の罰金」に加えて、「1年以下の懲役」の可能性を追加。獣医師には、虐待と思われる事例を関係機関に遅滞なく通報することが義務になりました。

2021年施行の「飼養管理基準」
来年6月には、出生後8週を経過しない犬・猫の販売を禁止する「8週齢規制」が施行されます(*一部の例外あり)。現在、この8週齢規制と同時に施行される「飼養(= 飼育)管理基準」の策定が行われています。(詳細は以下のリンク参照↓)

飼養管理基準を定める7項目
犬と猫が不適切な環境下で飼育されるのを防止するための、最低限の基準を明確化しようとする取り組みです。以下の7項目の中で、特に繁殖施設などにおける生活スペースのサイズには、これまでに様々な議論がありました。

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繁殖業者などのペット業界事業者と、超党派議連「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」などとの間で、そのスタンスが大きく異なっています。(詳細は以下のリンク参照↓)

「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」での提案
そんな中、7月10日に環境省主催の「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会(第6回)」が開催され、この飼養管理基準の具体案が同省・自然環境局から説明されました。ケージサイズや繁殖施設の従業員数、繁殖回数などが中心に話し合われました。

犬・猫の繁殖屋における飼育スペース案

3_飼育スペースの基準案

以前にペット業界関連団体が提案したと言われている、「ケージの長さが体長の1.1倍」という案に比べれば、かなり動物の側に立った印象を受けました。もちろん、まだ議論は必要でしょうけど、議員さんや愛犬家・愛猫家のみなさんの声が届いた結果だと思います。(詳細は以下のリンク参照↓)

目的は悪質な業者の排除&閉じ込め型飼育の防止
環境省が最も注意したというポイントを「ひめりんご&平蔵」なりにまとめると、1)悪質な事業者を排除するために、2)各自治体がチェックしやすい統一的な基準を、3)動物愛護の精神に則り、設定するということのようだ。事前には、動物の幸せよりも業界寄りの基準になるかも…といった意見もありましたが、基本的には犬・猫の福祉向上という視点に立った提案だと感じます。(詳細は以下のリンク参照↓)

説明の途中には、「閉じ込め型の飼養を防ぐ」と環境省・鳥居敏男局長の言葉もありました。具体的には、上に貼った緑の画像にある「飼育スペースの基準案」です。「ひめりんご&平蔵」で試してみた写真が以下の記事↓にありますので、ご参考まで。「ふたり」の場合はだいたい一畳分くらいです。

従業員数に関する提案
もう1つ大きなテーマになったのが、犬・猫の世話をする従業員の人数でした。今回の提案では、従業員一人に対して繁殖犬15頭・猫25匹、ペットショップなどの場合は犬20頭・猫30匹とされています。

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これに関しては、今後、大いに議論がありそうな印象を受けました。でも、その他に健康管理、休憩や身体の手入れなどに加え、「人とのかかわりを学ぶ」ための機会などにもついても話し合われていたのは良い印象を受けました。繁殖犬たちが引退後、家庭で暮らすためには必要な経験ですよね。(詳細は以下のリンク参照↓)

繁殖と遺伝的疾患について
この場で話し合われた内容でもう一つ大きな話題は繁殖に関することでした。これについては、「ひめりんご&平蔵」としては言いたいことがとっても多いので、別の機会にご紹介させていただきます。

今回示された提案、良い意味で予想を裏切るものだったと言えるんじゃないかな。まだ議論すべきポイントはあると思うけど、できるだけ動物の立場に立って検討を行った、その姿勢は感じました。議員や団体さん、個人の方々の様々な努力が政治・役所を動かしたんだと思います。一方で…物事には優先順位があり、法や政治の世界にはそれぞれの事情もあり、愛犬家にも色々な価値観があり…世の中が本当に様々なのは理解してますが…。現在、遺伝的疾患については全く無視!法律には「…遺伝性疾患等の問題を生じさせるおそれのある組み合わせによって繁殖をさせないこと」って明記されてます。次回は、この辺を是非、知って頂きたいと思います。