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【超ショートショート】(105)~フレー!フレー!チャートルビ!~☆Chageアルバム『hurray』☆

2021年9月18日土曜日。
東京は江東区、ゆりかもめ新豊洲駅近くにある
豊洲PIT。

今年の正月、
今年の運勢を占う占い師が
今年の日本についてこんなことを話した。

「全体的に良い年とは言いづらいですが、
夏の終わりから秋の始まりの頃に、
東京ですと海の近くで、
珍しい現象が現れると出ています。
具体的に何なのかは、僕にもわからないのですが、
でも、占いが示す言葉がありまして、
それは・・・
西の空から
大変強力なエネルギーを放つ気団が襲来。
だが、その気団を蹴散らすように
ある救世主軍団が現れる。
彼らは音楽を得意とし、
彼らが奏でる音色が
東の空に虹を浮かび上がらせる。
その虹の中の光の彩帯(リボン)には、
チャンスの到来を示す
幻灯(スライド)が写し出され、
それに人々が魅了されているうちに、
強力な気団は一気に勢力を失い、
蜘蛛の子を散らすように消えて無くなるだろう。
そして、人々が目にした幻灯は、
その救世主軍団が奏でる新しい音色に導かれ、
冬には幸福が到来するだろう。」


それから半年が過ぎた夏のはじめ。
彼らは、自分たちが救世主だと思ってもいないが、
各々こんな出来事に遭遇していた。

強一は、日本で言えば太鼓、
英語で言えばドラムを得意とし、
幼き時から腕を磨いてきた。
そんな強一が、散歩中、
偶然通った神社でおみくじを引いてみた。
するとそこには、こう書いてあった。

「何事も心を正直に強く持ち
物事に怠屈(たいくつ)せず信心怠らず
勉めれば 時到りて後には
おおいに仕合せよくなります」

進は、ギター演奏を得意。
また楽曲制作にも積極的に務めていた。
そんな進が、
愛犬の散歩中の早朝、
道路に昔の新聞の切れ端を見つけた。
その新聞には、こう書いてあった。

「スクープ!
ノストラダムスの予言には続きがあった!
1999年人類滅亡とあったあの予言から数十年後、
未知の病に人々は苦しめられるが、
ある救世主が現れ、次第に病が消え去るだろう。
そして人々は人類滅亡の危機を脱し、
次なる困難に備えるだろうと記された書籍が、
フランスの片田舎の小さな病院から発見された。」

直子は、野球のベースではなく、
楽器のベースの音色に魅了され、
年の離れた兄の友達にベースの弾き方を教わり、
今では、
男女を問わず憧れるカッコいいベーシストになった。
そんな直子が、
ベースの手入れをしようと、
楽器屋に道具を買いに来た時、
仲良しの店員からこんな話を聞いた。

「ねぇねぇ直子さん!知ってます!
海外からまもなくうちに入荷するベース。
なんだか謎めいているんです。
誰もが弾けるベースではないと。
もし直子さんが弾けたら、
そのベースはその人とご縁があるからと、
推定約1億円もするベースを
弾けた方にプレゼントするそうです。」

理江は、物心つく頃には、
ピアノの教室に通い、
大人になる今までピアノを弾かない日は
一日もなかったほど、
ピアノの愛し技術を磨いてきた。
そんな理江が、
知り合いの女の子にピアノを教えている時、
女の子がこんなことを言った。

「ねぇ理江先生!
きのうね、理江先生が夢に出てきてね。
先生がピアノマンに変身してね。
私が川で溺れているのを助けてくれたの。
理江先生!助けてくれてありがとうね。」

YUKOは、産まれた時の産声から、
歌を歌うほど歌うことが大好きだった。
YUKOが歌うと、場の空気が変わり、
歌い終わる頃には、笑顔が溢れているような、
そんな人々の変化を見てYUKO自身と
もっと歌うことが好きになった。
そんなYUKOが、
喉に良いと言われる頂き物のカリンの実を
包丁で半分に切った時、
中からカリンの妖精という小さい人が、
こう話した。

「旅は道連れ世は情け、
歌は人を癒す音波の内服薬。
誰にでも出来ることじゃないんだよ!
音波の内服薬を出せるのは、
癒しの歌声を持つ人だけなんだ!」

チャモリは、
陽気な一家のかしまし娘のような姉妹の末っ子として
唯一産まれた男児!
父ちゃんがやっと産まれた男児に、
たいそう喜び、自作の歌を作っては、
チャモリが3ヶ月になるまで、
毎日町の人に歌つきで自慢の男児を披露したという。
そんな父ちゃんの影響を受けて、
どんなことにも歌って返す陽気さが、
本来人見知りを隠し持っているチャモリを助けた。
そんなチャモリが、
大好きなスムージーを朝作った時、
自慢の自作のスムージーを一口飲んだ。
「ジャリ!」という音が口からしたので、
歯が取れたと思い、その音がしたモノを出してみると、
透明鏡(レンズ)だった。
その透明鏡をのぞくと、
お告げのような言葉が聞こえていた。

「チャモリ!言いかね、君はこれから
仲間を集め歌を歌う!そして、
君に天使から与えられるハンマーというマイクを
大切にしなさい。
そのマイクには魔法がかけられている。
遠くの海を渡り、国境を越え、
直接には会うことが叶わない、
直接には言葉が通じない人でも、
君の歌を届けることができる。
いや届けてしまうのだ。」

そして夏の終わりから秋の始まりの頃に、
チャモリをキャプテンとする
チャートルビを結成し、
あの豊洲PITにピットインを果たす。

リハーサルは迫る台風の中行われ、
天使から届けられたマイク入りの箱に、
こんな手紙が添えられていた。

「チャートルビ!
わたくしからこんな言葉を授けたい。
それは人生には3つの袋がありまして?!
ではなく・・・、
人々というものは、すべてequalで繋がれている。
等しく同じということだ。
チャートルビのように得意分野を発揮し、
歌の中に人生の光となる羅針盤を見せてあげたり、
ロマンを楽しむ喜びを教えたり、
チャモリのトークで巧みな話芸で笑顔をプレゼントしたり。
わたくしから言えることは、これだけだ!
チャートルビ!フレー!フレー!
ではファイティン✌️」

彼らチャートルビは、
襲来した気団となる台風を
蜘蛛の子を散らすように消し去った。
そして、
夜空に虹をかけた。
それはそれは綺麗な虹だったという。

やがて都市伝説として語られるエピソードとなり、
その語り部たちは皆さん、
チャートルビのことを、
〈フレー!フレー!救世主〉と呼んだのである。


(制作日 2021.9.16(木))
※この物語はフィクションです。

今日は、
2015年9月16日発売
Chageアルバム『hurray』
発売から今日で「6周年」になります。
それを記念して、お話を書きました。

またお話の設定が未来になっていますが、
同じ日付で会場で、
本当にChageさんの配信ライブがあります。
チケットぴあのライブ配信を利用し、
世界39ヵ国で視聴可能となっています。

また登場人物は、
バンドメンバーさんの下のお名前を使用。
人となりの部分はフィクションです。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にしたアルバム
Chage
『hurray』
(2015.9.16発売)
☆収録曲☆
01.Hurray Hurray
作詞作曲 Chage/編曲 滝本成吾
02.天使がくれたハンマー
作詞 松井五郎/作曲 Chage/編曲 渡辺等
03.幻灯綺談
作詞 松井五郎/作曲 Chage/編曲 渡辺等
04.equal
作詞 松井五郎/作曲 Chage/編曲 渡辺等
05.ロマンシング ヤード 2015
作詞 秋谷銀四郎/作曲 Chage/編曲 西川進
06.光の羅針盤 2015
作詞 Chage/作曲 Chage・Tom Watts
編曲 力石理江

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