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【超ショートショート】(112)~壊れたピンヒールの秘密~☆CHAGE&ASKA『HANG UP THE PHONE』☆

自慢のピンヒールが壊れた。
取れたヒール、

「うん?」

隠し扉のような小さな扉を開く。
マイクロSDカードがあった。

自慢のピンヒールは、
2日前に買ったばかりの新品。

「そういえば?」

ピンヒールを買った靴屋。
女(ひと)とぶつかった。

「あっ!すみません!」

同じデパートの紙袋。
違いは・・・
持ち手に付けられたリボンのカラー。

「私はピンク。」

スマホに写真を見つける。

「あっ!?ブルー?!」

紙袋の取り違いに気づく頃、
再び同じ靴屋でヒールを購入。

「さて?」

壊れたヒールに隠されていたマイクロSDカード。
データを見るため、
近くのホテルの一室に籠(こも)った。

「トントントン」

玄関のドアをたたく音。

「フロントの者です。」

疑いもなく玄関の扉を開けると、
ウェルカムドリンクのサービス。

「ありがとう」

オートロックがしまる音。

データを確認、コピー。
今度は電話が鳴った。

「あのフロントですが、
先ほど、お部屋にお届けするのを
忘れてしまいました。
今から伺ってもよろしいですか?」

「はい、あなたのお名前は?」

「はい、田中と言います。」

電話を切ると、
再び受話器を持ち、
プッシュダイヤルを押した。

「あっ、もしもし?フロントですか?」

「はい、こちらフロントの酒出でございます。」

「あのフロントに田中さんという方は、
今日お勤めですか?」

「えっ、はい、わたくしどものホテルには、
田中というフロントマンも職員もおりません。」

急いで受話器を置いた。

「トントントン」

玄関の扉をたたく音。

「先ほど電話したフロントの田中です」

急いでホテル10階の窓から逃げる。

「しまった!」

男たちが数人、玄関を蹴り壊し部屋へ。
風でカーテンが揺れる窓を見つけて

「くそっ!逃げられたか!」

男たちはホテルの中や周辺を探す。

「どうやら巻けたようね!(笑)」

マイクロSDカードを急いで警察に持って行く。

「あの、捜査一課は?」

警察の受付中、一人の刑事という男(ひと)が

「どうかしましたか?」

マイクロSDカードについて話すと、

「では、こちらに」

部屋へ案内するという。

エレベーターに乗った。

「大人しくしろ!そのマイクロSDカードを渡せば、
なにもせずに逃がしてやる!」

抵抗せず、マイクロSDカードを男(ひと)に渡し、
3階で下ろされた。

「よし!急ごう!」

3階フロアにある特命係に入ると、

「あの、これ見てほしいんですけど。」

特命係の2人の刑事がSDカードの映像を見ると、
ある殺人事件の証拠と、
事件の原因になった汚職の証拠のデータがあった。

「あの一つよろしいですか?
このSDカードはどちらで?」

「買ったばかりのピンヒールのヒールの中に」

ここに来る前のホテルで、
複数の男たちに襲われそうになったこと。
そして、警察署内のエレベーターで、
男(ひと)に襲われ、
コピーのSDカードを渡したことを話した。


「ところであなたは?」

「あっ!私は・・・」

アパレルのブランドに勤める如月と自己紹介。

「如月さん、アパレルにお勤めなんですよね?」

「はい。」

「それにしてもあなたのコーディネートは、
いかがなものでしょうか?」

「へぇ?」

「お気づきになっていないんですか?」

「何を?」

「服ですよ!あなたの服、
ブランドがめちゃくちゃですよ!
一流のブランドなら、そんなことさせませんよね。
あなた・・・本当は何者ですか?」

捜査一課の刑事たちが捜査から戻って来て、
如月と一人の刑事の目が合う。

「あっ!」

捜査一課の刑事たちが
一斉に特命係の部屋になだれ込む。

「確保!来生一郎を確保!」

羽交い締めされた来生一郎に、

「あなた男だったんですね!
すっかり騙されてしまいました。」

来生一郎は、
女になりすまし、
ピンヒールに隠されたマイクロSDカードを奪い、
自身の殺人と、
秘書として社長を守るために
同僚の五十嵐がやった事件を
捏造しようとしたと自供。

靴屋で紙袋を取り違えられた女性が、
特命係にやって来て来生一郎に一言。

「お疲れ様!」

「へぇ!」

そもそも警察に、元データの映像と証拠が
匿名で届いていた。
そして、
今回秘書の来生が偽物のデータを作り、
犯人が五十嵐になるように警察に駆け込むと、
詳細な流れを書いていた手紙があった。

つまり、来生一郎が出会ったすべての人間は、
潜入捜査の刑事たちだった。

「来生一郎さん、あなたまだ気づきませんか?
私はあなたに今日、先ほど会っているんですよ!」

「へぇ?!」

「ホテルのフロントを思い出してください。
そしてあなたがかけ直した電話。
あれすべて僕なんですよ!」

「へっ!へーぇ!」

来生はふと思った。

「じゃあエレベーターの男(ひと)は?」

捜査一課の刑事がこう言った。

「そんな役どころは誰もいないはずだ!」

「へぇ?!」

「あなた、
他にも何か秘密があるんじゃないですか?(笑)」

「ハッ!(汗)」


(制作日 2021.9.23(木・祝))
※この物語はフィクションです。

今日は、
CHAGE&ASKA『HANG UP THE PHONE』
を参考にしてみました。

よくスパイ映画に靴底にSDカードを隠しているな、
そんな思いつきから、
壊れたヒールでお話をはじめてみました。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲
CHAGE&ASKA
『HANG UP THE PHONE』
作詞作曲 飛鳥涼
編曲 Jess Bailey・飛鳥涼
☆収録アルバム
『GUYS』
(1992.11.7発売)

YouTube
【CHAGEandASKA Official Channel】
『HANG UP THE PHONE』ライブ映像
https://m.youtube.com/watch?v=TIjLPM7xbiY

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