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夫のこと

夫と出会ったのは定かではないが
多分私が24~5で、夫が27~8の時。
同じ職場だったが、その時はあまり印象がなくて
何年後かに私の異動で一緒に仕事をする機会が増えた。

真面目で仕事以外の話はしない、
あまり人に心を開いていないような感じだった。

会社の飲み会にも基本来なかったが、
たまに現れた時に「珍しいですね」と言うと
「付き合い悪いって言われたんで。」と一言。

え、なにこの人…こわ。
と強烈な印象を植え付けてきた。


一緒に仕事をするようになってだんだんと打ち解けてきたのか、ある日突然、
「夢ってありますか?」と私に聞いてきた。

私は毎日の仕事をするだけで
その時の趣味は読書とちょろっとピアノを習ってたくらいで、
夢という夢なんて考えたこともなかった。
なんとなく大学を出て、なんとなく就職しただけだった。

「僕は夢ありますよ。沖縄でお店持ちたいんです」

と。
あの堅苦しくて仕事以外なにもして無さそうな(印象)人が…
夢?
沖縄?
お店?
意外な会話の流れに「?」が止まらなかった。


その後、実は就職する前に世界一周をしたことがあると話してくれた。

旅をしてたくさんの友達ができていろんな世界を見たと。
実際、結婚してから知ったが夫には友達が全国各地にいるほど多かった。

だからまたいろんな人と関わりを持ったり、
話を聞いたり触れ合ったりできるような
そんな生活がしたいんだと。


意外な一面を知り、
なんとなく生きてきて、
これからもなんとなく生きようとしてた自分を
少し省みた記憶があった。


それから何年かして付き合い始めた時に
この話をしたところ
「全く覚えてない。俺普通の人生がいい」
と言われて肩透かしをくらった。

夫はそういう人だった。
言ったことすぐ忘れて、その時々の感情で生きているような。

子供が産まれてからは、
「子供になにかひとつでも自慢できることもってたいよな」
としょっちゅう言ってた。
私が彼の自慢させてあげられるとしたら世界一周したことになるのかな。
夫は何を自慢したかったのかな。


夫は私が人生を見つめ直すきっかけをくれる。
私に生きる意味を見つけようとさせてくれる。
そのために出会ったのかもしれない。
亡くなった時は、私と出会わなければ死ぬことは無かったかもしれないと責めていたけれど、
今はこう思って、夫の人生にも、私の人生にも、意味を見つけていきたい

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