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姫ちゃんからのお誕生日プレゼント

ゴールデンウィークの旅立ちから一昨日帰って来て、昨日から指導を再開している。
家庭生活も好きであるが、やはり仕事ほど楽しいものもなく(どっちやねん!?と言われようとも?)、勝手知ったる仕事にホッとしているのかもしれない、とも思いながら、やはり自分の生活のペースを取り戻すということは嬉しい。

昨日は軽く助走レベルの指導をして、今日からはちょっと本格的に指導があった。
そんな折、何人目かに入ってきた、ニックネーム姫ちゃんが、右手にソフトクリーム、左手にクリーム・ブリュレ・クレープを持っている。左手をはい!と差し出されて、意味がわかった。
5月1日の私のお誕生日のプレゼントである。

大学受験の日本史の指導をしていた私は、時間をもらって、クレープをいただいて、明日はその生徒さんには少し早めに来てもらうことにした。

こんな年で、おめでたくもないかもしれないけれど、本当に嬉しいなあ。でも、私、みんなに元気だって言われるのよー!と言っていたら、その生徒はウンウン、と頷いていた。
みんなでそう言ってるの?と訊くと、
いや、僕らでも夜中は・・・、と言ってくれて、先日の夜車を走らせた件のことを言ってくれているようだった。

数年前、初の金沢でのセミナーに参加したとき、お土産を買ってきた。理由は忘れたけれど、お母さまへのお礼を兼ねていたのか、姫ちゃんにこけしか何かのシャープペンシルを買ってきた。気に入らなかったのか、彼女が使っているのを見たことがなくて、思わず聞いてしまった。

あのシャーペン、気に入らなかったの?

そしたら、姫ちゃんは、

壊れたら嫌やから、とっとく。 

と答えてくれた。

正直嬉しかった。そういう気持ちのある、心あるお嬢さんなんだな、と思った。もちろん、物は使ってこその値打ちだけれど、くれた人とのことを思って、大切にする気持ちはわかる。

昔、おばあちゃんが、嫁である母の前で、母がくれたものを使っているのを見せて、

これなあ、あんたくれなあったん、よう使わんとしもうてあるから、きれいなまんまやねんけど。

と言いながら、うちに来る時には必ず持って来ていた。同居していたときも、なかなか仲良さそうにしていたけど、祖父母は、思いやりのある、優しい人たちだったと思う。嫁の母にとっては、家付き娘の祖母は、幾分きつい面もあったのだろうけれど。

あなたを大事に思ってる、という気持ちの表し方は、いろいろある。大事だから使うところを見せる。

大事過ぎて、しまっておく。

どちらも愛しさの表れである。

いつも、生徒さんの想いを間違えて受け止めていないか、誤解していないか気をつけている。

あげた物のことなど、本当に些細なことであるけれど、それよりも、思いや気持ちなど、間違ってうけとめないように気をつけている。気をつけていても、間違えもすれば誤解もあるのが人間だけれども、それでも、安心して表現できる場でありたい。

他で、緊張もあるだろうから、安心できる場にしていたいと思う。

巣立っていってくれる日を夢見はするけれど、ここにいる間は、安心していてほしい、と願っている。

それにしても、私のことを思いながら、クレープを頼んでいる、今年から高校の制服を着ている彼女の様子を思い、その瞬間、間違いなく私のことを思ってくれていたのだなあ、と胸が熱くなる。


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