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【人外の詩】 借り物の言葉について

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僕が僕の世界について語らなければならないときに
僕の台本は いつも真っ白だ

でも本当は いつだってそうだ
僕の台本に台詞を書き込むときがあれば
それはさながら だれかの言葉だもの
そんな夜には暖めてほしい
僕の冷えたつま先

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自己の世界は立体的で
しかも動いているのに
渡されたのは四角いキャンバス
OK
この枠で勝負しろってか
制限時間は非表示で
リスクもリターンも非表示か
OK
ピカソのキュビズム召喚
見えない所も描いていいのか
見えない心も触っていいのか
OK
ヒエログリフで流れを表現
コマで割って決め台詞をどん!
伏線張って天丼挟んでオチをどん!

言語回路が生んだシンギュラリティ
画像処理が生んだシン技術的特異点
身体と精神と行動パターンは学習を積み
きゃあ!ステキ!抱いて!
じゃあ、とりま、あったまろうか。
身体と精神と行動パターンは変容していく

知恵と生命の果てにどん!
絶対と運命のその先にどん!
堕落と破滅のその先にもどん!

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増え続けたメトロノーム
一つずつ目覚めの視界に溶け
やがて一つだけ残り
いつしか動かなくなる

不死鳥は夜飛ぶ
肌寒い風で生まれたての星を撫でながら
拡散と収束の旅の果てに
全ての愚かな宝石に
忘れられることを望みながら

トノサマバッタがいる
昼下がりのスクランブル交差点で
明日には乗り換える惑星に
如才なく目星をつけている

先程一粒だけの雨が降った訳だが
奇しくもそれは僕の鼻先を掠めたのだが
一秒後には忘れる運命にあるだろうし
何よりも僕は
この身に起こる不幸を許しはじめている

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凶相・教祖・今日も嘘
コソコソ・窮鼠・急なクソ
今日も始まる仮物競争

 書かれた紙には
「ショートカットのおんなのこ」
 通りすがりのベリーショートにひざまづき
 間に合わせのゴールテープに切り込んで
 居合わせたバスに飛び乗り
 さしあたりの街で降りては
 なんとなくの店に吸われて
 とりあえずのメニューを頼む

 これが、なんと!
 並んだ料理がぜんぶ美味い
 通いたくなるよな丁度いい内装
 窓の外の和んだ街並み
 目の前の美女に惚れ惚れとする

 やがて
 借りた金も返し終え
 借りた言葉も全て尽き
 借りた身体もほど枯れる

 絶品・絶景・空前絶後
 今度は何処に降りようか?
 今度は何を借りようか?

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憎みあい 罵りあい
浴び続けたハラスメントの数々
もう許さん これっきりだと
道はわかたれて 二度と会うことはない

そんな折から数年経ったある日
あいつの言葉を使っている自分に気づく
あいつの哲学を辿っている自分に気づく
歳の差は辰年と未年なみに離れていたが
ひょっとして 俺にも未年が来たのか?

なぜにもうちょっと
優しくしてあげられなかったのかと
今ならあいつの気持ち
汲んでやれるのにと

センチに浸る今の俺にも
けして許せぬやつがいる

▼ 詩せる死人の酒場『バッカナール』
http://www.21styles.com/mybbs/pandemo/

ローロー
2020/03/13:少年期:木霊
2020/03/15:中年期:パンプキンヘッド
2020/03/25:トキシックジェネレイションマルバス

himaring
2020/03/14:青年期:花仮面
2020/03/22:カリ・モノ・キョ・ウソ:フランケンシュタイン

掲示板で使えるモンスターアイコンが増えるよ。