ソロモン見出し

ソロモン72柱の守護天魔 1~12

01 大魔王バエル/Bael/wiki

●君主として悪霊66個師団を率いる。
●悪魔の中でもっとも醜く、もっとも強大な者。老人・ヒキガエル・猫の3つの顔にクモの胴体と8本の足を持つ姿。または剣を携えた長身で黒髪の男。威厳に満ちたしわがれ声。
●どんなモノにでも変身できる・人を透明にする・戦術・奸計の才を授ける・愛の秘事・法律を得意とする。人々を堕落させることが至上の喜び。
●強さ・支配・法と正義の調和・大胆・勇気・破廉恥・復讐・決断・不穏・高慢・感受性・野心・聡明を担当。

ウガリット神話の主神・天候神バアル[baal]が起源と考えられています。モーゼが唯一神ヤハウェを誕生させた頃のヘブライ人は、まだまだ慈愛の雨と裁きの雷を降らせるバアルを崇めていたので、バアルに悪魔のレッテルを貼ってヤハウェ信仰に転向させる必要があったようです。
その日が来ればと、主は言われる。
あなたはわたしを、「わが夫」と呼び
もはや、「わが主人(バアル)」とは呼ばない。
わたしは、どのバアルの名をも
彼女の口から取り除く。
もはやその名が唱えられることはない。
 (ホセア書/02:18〜19)

また彼らはバアルのために高き所を築き、
火をもって自分の子どもたちを焼き、
燔祭としてバアルにささげた。
これはわたしの命じたことではなく、
定めたことでもなく、
また思いもしなかったことである。
 (エレミヤ書/19:5)
バアルは真名を記した「アッピンの赤い本("red book of appin")」を人間に奪われ、力の大半を失っている、というお話があります。

バアルは700年ほど前のスコットランドのアーガイル地方に出現します。バアルは紳士に変身し、少年の魂を頂戴すべく話しかけました。少年は「私は天涯孤独の身の上で、今の主人に拾ってもらい羊飼いをしています。」と言いました。バエルは「もし自分の召し使いになれば衣食住の面倒も見るし、賃金も弾むぞ」と少年を誘惑。そして、バエルは懐(ふところ)から赤表紙の本を取り出し、その本に署名するように要求しました。もし少年が本に名前を記したら、少年の魂はバエルのものになってしまいます。しかし少年は賢明なことに「今の御主人に相談してからでないと署名は出来ません。」と言い張るので、バエルは翌日の夕暮れに再び同じ場所で会うことと約束させ少年を帰しました。少年は家に帰ると主人に一部始終を報告すると、悪魔に詳しかった主人は悪魔についてアドバイスを与えてくれたのです。

(1)約束の場所に着いたら主の御名を唱えながら自分の周囲に剣先で円を描く。
(2)その中心に十字架を描き、その上に立つ。
(3)翌朝の日の出まで円から出てはならない。
(4)悪魔は円から出るよう促すだろうが「自分で署名するから本を渡せ。」と要求する。
(5)本を受け取ったら手放さないこと。円から出なければ悪魔は手出しできない。

次の日、バアルが変身した紳士が約束の場所へやってきました。しかし、少年は円の中から動こうとしません。バエルは、あの手この手で少年を円から出そうとしますが、とうとう騙されて本を少年に渡してしまいます。少年は主人に云われた通りに本を懐にしまいこみ、目を閉じ、耳を塞ぎいで円の外に出ない覚悟をします。バエルは怒り狂って大蜘蛛や巨大蛙に変身して脅しましたが、やがて夜明けが来て、すごすご引き揚げるしかありませんでした。こうして少年は本を手に入れ、主人の下へ本を持ち帰ります。

これが『アッピンの赤い本』と呼ばれるもので、バアル自身の真名(まな)やバアルに忠誠を誓った悪魔たちの名前が記され、その名前を正しく発音するだけで悪魔を使役することができるといいます。現在、この『アッピンの赤い本』は行方不明であり、江口之隆氏の「西洋魔物図鑑」によればベリアルとルシファーの権力争いはバアルがどちらの派閥に組みするかで決まり、双方この本を一刻も早く手に入れバアルを自勢力に引き込もうとしているそうです。

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