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ポポロクロイス物語 クリア後の感想録~熱~

この文章には PSゲーム「ポポロクロイス物語」のネタバレを含んでいます

読むのが面倒な人は下の動画で大体同じことを語っています

総評
細かなところで気になるところは多いが、良作
ここではストーリーの感想を前面に評価していきたい

お話の視点としては「ピエトロ」を見守る物語
それに尽きると思います
お城では愛されつつも、どこかバカにされているピエトロ
学校の秀才くんにはわかりやすくバカにされ、しまいにはドンとゴンに置いて行かれる

少なくともポポロクロイス城の中ではピエトロの味方と言える人物はそういなかったと言えるかもしれない
大臣あたりは意外にピエトロを尊重していた
というか知恵の王冠奪回に向けてピエトロの出立を許した大臣はガチで1章MVPなのかもしれない

そしてポポロクロイスの外で出会う人々は、ナルシアやギルダ、白騎士、ガミガミ魔王
ピエトロとともに、同じ目線で動いてくれる人たちである
ただ第1章時点では、あくまでそれぞれの目的が重なったというだけではある
そのためガミガミ魔王だけはピエトロとは当然敵対するわけですね

彼は別にポポロクロイスを征服するとかよりも「魔王のようになりたい」「発明品を完成させたい」ということが主なので
その途中にポポロクロイスを襲撃するというだけの話(むちゃくちゃである)
このあたりのガミガミ魔王の深掘りというのはイマイチされませんでしたね
彼が終盤チラチラ言っていた「自分の母親」とはどういう存在だったのでしょうか?
氷の魔王に閉じ込められたとき「母ちゃん!」と叫んでいたので、決して悪い親ではなかったのでしょうが・・・

なによりガミガミ新魔王城(ぼろっちいやつ)で彼がピエトロの話に耳を傾けたのは、間違いなく「ガミガミ魔王の母親の存在」がキーでしょう
それがあるから「ピエトロの目的」を手伝おうとしてくれたのでしょうね

それは置いといて
2章時点でついに「母を助ける」という主題が動く
そしてブリオニアに旅立つころには、それぞれの目的で動いていた仲間たちが「ピエトロの目的」を尊重し、それぞれの役割や目的を放棄し、彼を助けるため行動するようになる
(そのなかでナルシアが森の守り人としての役割を破ってまでカイに化けてピエトロを行動を共にするのはまさにその象徴である)

ピエトロに対する恋心があるから、この心境の変化が気づきづらいので、白騎士あたりでもうちょい深掘りしてくれてもよかったんやで・・・!
と少しは思うけれど、エンディングを迎えた今となっては気にすることもなかった

ブリオニアの犬顔、サボーなんかもわかりやすいですね
あれだけ自己中心的で本ばっか読んでいる引きこもり気質でしたけど、ピエトロの姿を見て3章になった瞬間「私に頼ってくれ!」みたいな感じになりますもんね
ブリオニアが落ちてしまって、そのなかで尽力してくれたピエトロに感謝の意があったのかと思っていましたけど
あれはわかりやすく「まっすぐに目的に向かうピエトロに惹かれていた」わけなんですね

ここで少し視点を変えてみると
この「ピエトロに惹かれていく仲間たち」というのは少しずつプレイヤーを巻き込み始めているんですね
プレイヤーが大人か子どもかでこれはかなり変わると思うんですけど

大人なら・・・まっすぐだけど世間知らずで少しドジなピエトロに「しょうがないなあ」みたいなかわいさを感じ始めたり、こんなに周りの人が尽力してんだからいつまでも旅行気分でいるんじゃないよ!
という感じにもなる

子どもなら・・・自分とピエトロを重ねるので、冒険している楽しさが直接的に伝わっているんです。子どもってのは周りの人間の善意を当たり前だと思ってますから(まあ大人が子どもに善意で接するのは当たり前ですけど)

それがまた現実とリンクして没入感を強くするんですね、心理的な言葉で二文字であった気がするんですけど・・・なんだっけ。キャラクターと自分を重ねるやつ、同一化・・・だったかな
とにかくそれがRPGとしてとても素晴らしい効果を生み出しているんです

RPGはRPGらしいストーリー構築をしなければいけない!というのはここです
ポポロクロイス物語、大体30時間くらいプレイしましたかね・・・
これがRPGというゲームストーリー特筆すべきところで、彼らと一緒にいる時間はとにかく長い、敵と戦うときも、町から町へ移動するときも、宿屋に泊まる時もプレイ中はずっと一緒
これは映画でもドラマでも他のどんなメディアでも作ることができない表現ですよね

子ども視点だとこれが見事に完成されているわけなんです
当時プレイした子どもたちには、深く深くこの物語が刻まれたことでしょう
ニコニコ動画上でポポロクロイス戦闘曲集、という動画のコメントを見ていましたが絶賛の嵐。冷静に聴けば、戦闘曲においては「絶対に讃辞を送るものではない」と言い切れますが
これが心に刻まれたゲームの強さであり、力だと思います

私の場合「大人の視点」+「半裸必殺縛り」ということもあり、いまいち怒りの気持ちが強かった、という自己弁護をしておくとしますかね
ちなみに私は子どものころのそういうゲームは、これまた実況で何度か語っていた「グランディア」です

さて、話を戻して
3章以降はピエトロの成長物語です
んっとね、えっとねと、自分の言いたいことが上手く伝えられなかったピエトロがはっきりと言葉を発して意思表示をするようになっていきます
そして闇の世界で、自分の失敗からサニアを連れていけず死なせてしまい(実際にはそうではないですけど、ピエトロの中ではね)かつ氷の魔王の復活の一因になってしまう
優しい仲間たちは、ピエトロを責めるようなことはなかったけれど、ダーナ様はそうじゃなかったですよね

「魔王の魂が目覚めたのはおまえたち(ナルシア、白騎士、ガミガミ)の責任ではない、ピエトロの責任だ」
「この先は、地上の人間で解決すべき問題だ」
「自分の世界が大切ならば氷の魔王と戦うことだ」

10歳の少年にはドキツイ内容で現実を突きつけてきますよね
ダーナ様は一切の悪気は無いし、全部まぎれもない事実だし

それから自分の口でサニアを助けられなかったことを、パウロ王に報告
その最中にサニアの体が消えてしまう(これ多分、ヤブー・ゾルタンがこっそり持っていったのよね)、ピエトロからしてみればサニアが生き返る望みを完全に断たれたと思ってもしゃーない
そのうえ追い詰められたピエトロは一人で外に出て、殺されそうになったところにナルシアに助けられる
だがまたもや自分の行動で、ナルシアすら失うことになってしまいそうになる

ここが一番のキーですよね
自分に嘆いて飛び出したピエトロだったけどナルシアだけは失うまいと「なんとかするから──ぼくが」と立ち上がるわけです
大幅跳びで大成長です、ちょっとやりすぎではっ?とは思いますが、まあピエトロは不完全ながら圧倒的なポテンシャルのカリスマ性と王の器を持っていますから

それからは城も城下町もピエトロに対する、讃辞ばかりになっていきます
どんどん認められていくピエトロに、世の小学生もプレイ中はさぞ鼻が高かったことでしょう

そんななか、明確なピエトロアンチであった、学校の秀才君は物語上の修正力によって消えています
彼のような立ち位置は、ピエトロの成長を描く上で邪魔になってしまいますからね
とはいえもっとやりかたはあっただろうが・・・!
と思います。例えばガミガミだってツンデレというかたちで憎めないやつとして描いたんだから、秀才君もそれでよかったんだよ
「ふん、まあ勝手にやるがいいさキミを認めてやらんでもない。だが僕はキミにできないことができるぞ、それはこの勉強によって手に入れたものだ、キミにはないものだよ」みたいなセリフでいけるっしょ

あとはまあエンディングを見てもらえばいいでしょう
ついでに「ピエトロの旅立ち」の歌詞を見てピエトロの旅路を追走するのもいいかもしれません

この物語は総じて「ピエトロの物語を見守る人たち」によって保たれていた作品であったでしょう(プレイヤー含む)
そんな本質に気づけなかったのが、PSP版のリメイクなのではないですかね
調べてみてびっくりしましたけど

以下wikiコピペ

第一章はメインテーマである「お母さんを返せ!」との関係性が薄いためかばっさりカット。
いきなりブリオニアを目指すことにした王子が単独行動を起こすため、兵士二人がついて来ない。
本来だとその後に訪れることになるカナリシアもマップごと消滅し、ヤンの家がパーセラ道中にポツンと置かれているのみ。
ガミガミ魔王がフライヤーヨットのパーツを盗むのは原作通りだが、この時点では顔すら合わせていない為プレイヤーからしてみれば「知らないうちに知らないおじさんがキーアイテムを盗んだ」程度にしか思えない。
ちなみにこの時に初めてガミガミシティに行くことになり、原作でパーツを持って逃げ込んだ新ガミガミ魔王城には闇の獅子王編で赴くこととなる。
幽霊船~流され村も、話の本筋に関係ないからかマップごと削除。
ブリオニアも塔の部分は再現されているものの地下区画が丸ごとカットされている。では章ボスであるバルの心臓は…というと、なんとコントロールルームに自分からやってくるというやっつけっぷり。
物語の最終版のムービーでの戦闘がラスボス戦に仕様変更されたため、オリジナルのラスボスが登場しない。


以上

酷いもんだよ
なぜカットしてはいけないのか、それは私が語ったとおりです
これのせいでポポロクロイスは10年停滞してシリーズがほぼ潰えたような形になるそうだ
いちおうポポロクロイス牧場物語がDSで出る
知ってる中ではソシャゲが出てからその後はないはず

氷の魔王マッチョマンはまあ、たしかに余分ではあると思うけどな!
なにあのマッチョマン!
急に身体に金塗りするし、なんだろうなあの変態マッチョマン

さてストーリーとしてはこんなもんですが
ゲームとしてはどうかといえば、まあ難易度については縛りプレイしちゃったのでわかりません
簡単な部類だけど、RPG初心者には結構難しいくらいらしいですね
FE烈火の剣エリウッドノーマルくらいって感じなのかな

戦闘のエンカウント率やテンポのだるさや、逃げるの意味の無さ
そういうのもあるので個人的にはゲームシステムとしての評価はそんなに高くはないです
まあなんでも便利になってしまうと、ストーリーで語った部分「ピエトロの自己の同一性」が薄まりかねないので、サクサク進みすぎるというのもよくないですけどね
半裸必殺縛りはするもんじゃないというのはわかった

まあなによりも音楽ですよ
曲の良し悪しではなく、その使い方が致命的に悪い
でもメインテーマの「ピエトロの旅立ち」だけはめっちゃ特別視して使われていて、すごく丁寧なんですよね
でもそれはアニメーションの部分だけですから

ゲームとしての音楽の使い方をちっともわかっちゃいない、というのは変わりません

最後の氷の魔王マッチョバトルも二段階で変身するのに、少しも音楽変えようとしないですもんね
スクウェアはGB時代のSAGA2秘宝伝説で既にやっていた演出だぞ、そんなのも知らないしわからないのか?

とも言いたくなるのは仕方がない
ヌッとマッチョが出てきて、ヌッと金ぴかマッチョになるのはもうシュールギャグなんですよ
四天王が出てくるときのテーマも使いまわして、雑魚戦にも使われる始末
四天王は雑魚と同格ですと表現することになぜ気づかないのか
かつ氷の魔王にも使っちゃうというね、くそでかため息ですよ

ダーナ様がピエトロの責任を問うた時も音楽を止めたりすれば、キツいことを言われた瞬間に胸がギューッとなる表現もできたし、頭が真っ白って表現も同時にできるし
そもそもゲームの演出というものが理解できていない
音のフェードアウトもほとんど使っていなくて、カットでブチッ!ってのもしょっちゅうだし
次のイベントまで音楽が残っているのもあるし

このポポロクロイス物語においては、BGMはほぼノイズと言っても過言じゃないほど酷いものもあったりしますしね
PSPでは丸ごと消されたとかいう幽霊船~流され島あたりはちょっと自覚あったんじゃないかと思ってしまうほどですよ

と、最後にこういう酷い言いかたしましたけど
総じてポポロクロイス物語は良いゲーム体験でした

マジで音楽まわりがきちんと整備されて、いくつか曲を統一したり、展開を増やしたりループを長くしたりしていれば
文句なしの神作品になれたでしょうに

と、いうことで
お疲れさまでした、ピエトロ、ナルシア、白騎士、ガミガミ魔王
またどっかで会えたらいいな

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