酒しかなかった冷蔵庫

富山から東京へ行く途中、愛知のアパートに寄っている。

それは途中と言うのかという話もある。富山から北陸新幹線に乗ると東京まで2時間。名古屋は在来線の特急で4時間。富山から名古屋と東京を回って富山に帰るきっぷを買って文字通り途中下車しているから途中なのだ。細かいことは考えない。東京は母の見舞い。アパートには夏服を取りに。ついでに髪を切りたかった。担当美容師さんにはあしたの朝に予約を入れてある。栄の美容室からそのまま新幹線で東京へ行って病院に向かう。やっぱり距離感がおかしい。

愛知で借りっぱなしにしているアパートはかなり古い木造の平屋で、たぶんわたしと同じくらいの年齢なんだと思う。どうみてもボロい。大地震が来たら潰れそうなやつかもしれない。契約前に初めて見た時は物置みたいな外観に引いたけど室内はちゃんとリフォームしてあって住めそうだって思った。住んでみたらとても居心地がよかった。それは懐かしさが勝っているんだと思う。トイレにもお風呂場にも小さな丸いタイルが敷き詰めてあって、さわひろこが見たらかわいいを連呼しそうな家だと思う。

名駅のファミマで缶ビールを一本買って帰ってきたら、冷蔵庫にはビールが6本冷えていた。食べるものは、冷食パスタくらい残ってるだろうと思っていたら何もなかった。うん、見事に酒しかなかったわ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?