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エコチェンバー現象とは

【エコチェンバー現象】
 エコチェンバーとは、音が残響するように設計された音楽録音用のレコーディングスタジオなどの残響室のことです。残響室の閉じられた空間では、自分の声が四方八方から幾重に重なって返ってくる音響効果があります。インターネット用語のエコチェンバー現象は、ネットの向こう側の個人と個人の関係性です。ある意見を発した時、同じコミュニティ内では、それが反復されます。その特定の意見が、増幅し強化される現象がエコチェンバー現象です。特にこの現象は、同じ趣味嗜好の人間同士が、繋がり集まるSNSなどのコミュニティで見られます。

【閉鎖的コミュニティ】
 同じコミュニティ内では、無意識のうちに同じような情報や視点に取り囲まれるので、特定の考え方に凝り固まりがちです。また、特定の情報や見解のやりとりが繰り返されるため、それが強化されます。閉鎖的なコミュニティ内で、共有されるのは、ある特定の考え方だけです。同調的意見の人のみが、そのコミュニティに居ることを許可されるため、異なる意見を発する者は、無視され排除されます。その中で、反対意見や疑問が見られないのは、それが暗黙のうちに禁止されているからです。そこには、外部から孤立した世界が作られるため、コミュニティ内の人たちの視野は、狭くなります。

【孤立化】
 コミュニティを構成するのは、ごく少人数の結束の強い集団です。異なる集団同士では、対立しあうようになり、特に政治的分野では分断しやすいとされます。コミュニティ内部の人間にとっては、居心地が良い空間ですが、閉鎖的であるため特定の偏った思考になりがちです。閉鎖的な内部での親密なコミュニケーションを通して、漠然とした公式的な考え方が形成されます。

【偏った情報】
 たとえ外から見たら、どんなにおかしいことでも、信じられるのは、内部の公式見解です。自分たちは、正しいと思い込み、理解しない世間に対して反発します。公的機関の情報や、報道機関の記者より、優先的に信じられるのは、自分たちの属するコミュニティが提供する証拠です。しかし、それは一般常識とはかけ離れているため、世間からは疎外されます。それでも、そのコミュニティに固執するのは、自分はおかしいと悩む必要がなくなるからです。

【民主化されなかったネット社会】
 誰でも情報発信が出来るインターネットによって、一部のメディアなどに独占されていた情報が民主化されるはずでした。本来なら、オンライン上の公開な場で、様々な人の意見と触れ合い、意見交換して、世界が広がるはずです。しかし、そうはなりませんでした。その原因は、検索エンジンのアルゴリズムにあります。

【検索エンジンのアルゴリズム】
 アルゴリズムとは、問題解決の手順のことです。検索エンジンのアルゴリズムは、情報を選別し、ユーザーにとって最適なコンテンツを表示させます。インターネットに残ったプライベートな過去の閲覧履歴などを参照して、その人の興味を推測して、それに合わせた情報を選別するのが「オススメ機能」です。ユーザーの行動は予測され、各個人が必要としている特定の情報がネット上には表示されます。

【フィルターバブル】
 検索エンジンのアルゴリズムは、すべてのコンテンツは、ユーザーのためにあるというのが大原則です。ユーザーにとって役に立つコンテンツが良いコンテンツと評価され、検索順位を上位に表示させます。そのため、ネット上で目にする情報は、自分の好みにあったコンテンツです。反対に、自分と異なる意見を目にする機会はなくなります。この状態が、インターネットにおけるフィルターバブル現象です。アルゴリズムの機能によって、逆にバブル「泡」の膜のなかの狭く閉じた空間に閉じ込められてしまいました。エコチェンバー現象と似た用語ですが、フィルターバブルの場合は、個人とアルゴリズム、またはAIの関係性です。

【対策】
 自分の信じたい情報だけを信じるようになるエコチェンバー現象は、インターネット社会で問題視されています。そうならないように情報は、客観視しなくてはなりません。出来るだけ複数の情報元から、聞き取りなどの情報収集をし、情報の整合性を図ります。また、一次情報を探したり、データ、事実確認も必要です。情報が偏らないように、検索エンジンのシークレットモードを使ったり、Googleアカウントからのログアウト、広告のカスタマイズをオフにすることも対策の一つだとされます。


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