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ツキノワグマの「繁殖」


【冬眠】
 ツキノワグマは、飢餓への適応ため、冬は冬眠します。その越冬期間は、北国ほど長めです。初雪を合図に、ツキノワグマたちは、いつもの越冬場所に向かいます。冬眠中も、ずっと巣穴で寝ているわけではありません。暖かい日には、覚醒していることもあるからです。ツキノワグマのメスは、冬眠中に「出産」と「子育て」をします。出産は、3年に1度くらいしかしません。
 ツキノワグマのメスは、特殊な繁殖生理を持っています。交尾をするのは、梅雨の時期ですが、実際に妊娠するのは11月頃だからです。この頃の栄養状態で、妊娠するかどうかが決まります。その餌となるのは、主にドングリなどの堅果類です。長い冬を乗り切るためには、たくさん食べ、脂肪を蓄える必要があります。そのため、晩秋のツキノワグマは、食欲旺盛です。

【出産】
 ツキノワグマは、ドングリが不作の時は、仕方なく集落に出没します。この時期に、集落での人身事故が多いのはそのためです。摘果されてない、民家の柿や栗は、採った方がよいとされています。それを目当てにツキノワグマが来てしまうからです。ツキノワグマのメスは、秋にあまり食べることが出来ないと、出産数が減ります。冬眠中に出産するのは、通常二頭の子熊です。ツキノワグマの子供は、かなり小さく産まれますが、すぐに大きく育ちます。
 冬眠が明けるのは、だいたい4月上旬くらいです。ただし、雪深い地域では、もう少し後になります。子連れの母熊は、子供を守るために神経質です。冬眠明けのメスは、子連れで民家の近くをうろつくことがあります。そこで、ばったり会ってしまうと危険です。通常、ツキノワグマは、積極的に人間を襲いません。ただし、自分の身を守るために攻撃してくることがあります。


【繁殖期】
 ツキノワグマの繁殖期は、梅雨です。梅雨の時期、ツキノワグマは、タケノコばかり食べるので、同一地域に集まってきます。そのタケノコが生えている所が、オスとメスの出会いの場です。オスは、メスを求めて精神が高揚し、気が立っています。そのため、この時期が人身事故のピークです。一説では、オスが人間に異常な興味を示し、メスと間違えて抱きついてくるとされています。タケノコ取りは、わざわざツキノワグマがいる場所に行くようなものです。また、梅雨の時期は、雨の音がうるさく、茂る草木で、見通しも悪くなっています。そのため、お互いの接近に気付かず、出会ってしまうかもしれません。
 繁殖期のオスの成獣にとって、母熊と一緒にいる子熊は邪魔です。そのため、追い払おうとします。その子熊は、自分の子供ではないからです。時には、オスに食べられてしまうこともあります。その場合、食べられるのはオスの子熊です。これは、自分の遺伝子を残そうとする行動だとされています。子熊が母熊と別れるのは、だいたい一歳半くらいです。その時期がちょうど子別れの時期になっています。


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