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ブラックホール

【ブラックホール】
 ブラックホールとは、光を発しない真っ黒な天体です。強力な重力によって、物質だけでなく光さえも脱出が出来ません。光を発しないため光学観測が不可能であり、直接的な観測は困難ですが、他の天体との相互作用を介して、間接的な観測は可能です。そのため、内部のことは何も分かりません。アインシュタインが、その存在を預言しました。ビックバンと同じく、ブラックホールでも一般相対性理論が通用しなくなります。

【極限の圧縮】
 物質は、重力によって集まり、収縮し中身が詰まった非常に高密度な物体となります。そこに物質が集まるのは、質量「エネルギー」を持つ全ての物質は、万有引力によってお互い引き合っているからです。太陽の10億倍程度の質量の大きな恒星が爆発した場合、残った核の重力が強すぎて極限まで圧縮され、縮んでゆき、やがてブラックホールになります。ブラックホールの圧縮された内部では、何一つ身動きがとれず、どんなものでも外に出られません。ブラックホールから脱出するには、光速を上回る速度が必要なため、光さえも外に出られなくなります。なぜなら、どんなものも光速を超えることが出来ないからです。

【時空が歪む】
 ブラックホールは、時間の経過によって、全ての質量が小さい点になり、やがて自身の重力に耐えきれず潰れます。それ以上小さくならない点が、ブラックホールの「特異点」です。巨大な重力は、時間や空間を極端に歪ませます。時空に重力による歪があれば光さえも直進しません。時空とは、時間と空間を合わせた概念です。ブラックホールの底に近づくほど、空間の歪みが大きくなり、奥底では距離がなくなるとされます。ブラックホールでは、重力場が無限大です。時空が極端に曲がり、その中心部は無限に深くなっていきます。そこでは、空間や時間の定義が出来ません。
 ブラックホールの内側には、脱出速度が光速を超えるため、光が外側に逃げることが出来ない境界があります。観測によって情報を知りうる領域とそうでない領域の境界があり、これより先の情報は知ることが出来きません。この境界が事象の地平面「シュヴァルツシルト面」です。また、ブラックホールの重力によって、ある球体面の半径から内側は何も抜け出せなくなる境界線が、シュバルツシルト半径と呼ばれています。ブラックホールとは、元の構成物質がこの半径より小さく圧縮されてしまった状態の天体のことです。

【降着円盤】
 ブラックホールの周りにあるガス、チリは、垂直に落ちるのではなく、ブラックホールの周囲を渦を巻きながら、徐々に落ちていきます。そして、円盤状に形成されたものが「降着円盤」です。物質の一部は、高温のプラズマの「ジェット」として噴出され、その速度は、光速の99.9%近くに及びます。ブラックホールは、周りの物質が吸い込みますが、大量の物質も吹き出している天体なのです。

【生命の誕生】
 恒星の中では、核融合によって小さな原子同士がくっつき、大きな元素が組み立てられす。核融合とは、原子核を融合させることです。質量の重い星は、その生涯の最後に大爆発します。爆発後に残った核が、ブラックホールです。生命の元になった元素も星の中で作られました。その生命の元が、ブラックホールの力で運ばれたとされています。それが、生命誕生につながりました。また、元素をかき混ぜむらのない宇宙を作ったのもブラックホールだとされています。


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