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季節ごとのイワナ釣り


【解禁直後】 

  春先の解禁の頃は、まだ山に雪が残っています。この時期のイワナは、ほとんど動きません。また深みの底にいるため、その姿を見つけることは困難です。比較的水温の高い場所や岩陰などにじっと潜んでいます。この時期、活動するには水温が低すぎ、まだ体力も回復していません。そのため、餌をあまり食べないので、釣りには不向きです。餌を目の前に持っていくか、穴釣りならまだ釣れます。イワナの活性が上がるのは、天気の良い日や水温が上がる日中です。 

 【雪代期】

  4月中旬~五月中旬頃の渓流は「雪代」で増水しています。雪代とは、雪解け水のことです。雪解け水が、川に流れ込むため、水温が一気に低下します。増水により濁っている場合は、イワナの活性は下がり、なかなか口を使いません。ただし、この雪代が治まればイワナの活性は上ります。上流部の残雪量の少ない小渓流では、増水の影響をあまり受けません。そのため小渓流では比較的釣れたりします。この時期、午前中は気温が低いため、雪解けが進みません。午後になると気温が上がり、雪融けで増水します。そのため釣りをするなら午前中です。

 【初夏】

  初夏には、山の雪も消えて、イワナが活発に動き出します。渓流では、雪代の治まる5月頃がベストシーズンです。ただし、雨が降らなかったり、田んぼに水を引いたりするので、渇水している場合があります。渇水してる時は、あまり釣れません。餌となる、川虫が生育しないからです。この頃になると水温も上がり、イワナの活性が上がります。ゴールデンウィーク前は、まだイワナもスレていません。ただし、ゴールデンウィークを過ぎると、釣り人が多く来る有名河川ではスレてしまいます。 

 【梅雨】 

  梅雨は、食欲旺盛になり、大イワナが釣れることがあります。特にねらい目なのが増水の前後です。イワナは、雨が降って増水気味の方が活性が高まります。そのため日中でも食いが活発です。雨で大増水した場合、イワナは支流の沢などに緊急避難します。イワナは、遊泳力が低いので、流れが強い所はあまり好みません。普段は細い流れの支流でも、雨で増水した場合は、イワナがいることがあります。イワナは、警戒心が強い魚です。雨の増水による濁りは、釣り人の気配を消し、イワナの警戒心を緩和させます。特によく釣れるのは、雨による濁りが薄れてきた時です。水が澄んできて、笹の葉色になる状態のことを「笹濁り」と言います。 

 【夏】 

  夏のイワナは、上流の方へ上がります。冷水魚であるイワナにとっては、水温が低い上流の方が快適だからです。暑い日が続き渇水すると、イワナは餌を追わなくなります。低い水温でないと活発に動けないからです。また渇水により、水位が下がればイワナの警戒心が増します。警戒心が増すのは、水が少なくなれば、隠れる場所が減るからです。夏のイワナは、日陰や、酸素供給量の多い所に集まります。特に、植物が覆い被り直射日光が当たらない場所は、絶好の避難所です。日陰になっていれば、水温は上がりません。また餌となる昆虫も落下してきます。

 夏のイワナは、比較的活性は高めです。ただし、釣りをするなら、場所や時間帯を選ぶ必要があります。イワナの活性が高いのは、水温が上がりにくい流れのある瀬です。深い淵や岩陰などは、どちらからと言えば休憩室であり、そこではあまり餌を食いません。夏のイワナは、水温が下がる朝夕にだけ餌を追います。涼しくなってから、捕食を始めるからです。この時期のイワナは、食べられるものなら何でも食べます。特に狙っているのが、水面の陸生昆虫です。渇水した川でも、雨が降って水温が下がった時は、よく釣れます。 

 【秋】 

  イワナは、盛夏を過ぎると、産卵の準備をするため、沢を目掛けて遡上します。晩秋頃が、イワナの産卵期です。イワナは、産卵のための体力をつけるため、食欲旺盛になります。産卵前のイワナが簡単に釣れるのは、そのためです。思わぬ大物がヒットする可能性があります。特に雨の後は、大物を狙うチャンスです。ただし、サビと呼ばれる婚姻色が出たイワナは、餌をほとんど食べません。秋の冷たい雨に触発されて、イワナは産卵のために上流へ向かいます。晩秋~冬は、たいていの河川で、禁漁期間です。この禁漁期間は、各河川によって異なります。

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