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宇宙、ダークマター


【正体不明の物質】 

  ダークマター「暗黒物質」は、銀河系内に遍く存在しています。暗黒と呼ばれるのは、光を発しないからです。ダークマターという物質は、質量を持つ素粒子から出来ています。物質とは、粒子の種類や結合の仕方で性質が決まり、任意に変化させることが出来ないものです。全ての物質は、何らかの粒子から出来ています。ダークマターは、具体的に何で構成されている分からない正体不明の物質です。しかも、ほとんど通常の物質とは、相互作用しません。 

 【宇宙におけるダークマターの占める割合】 

  ダークマターは、宇宙全体の構成要素「質量、エネルギー」のうち 27%を占めています。質量とは、物質そのものが持つ固有の量であり、動かしにくさの度合いのことです。その量は、地球でも宇宙空間でも同じになります。質量は、エネルギーと等価であり、質量そのものがエネルギーです。質量の存在は、重力を生じさせる原因となります。ダークマターは、宇宙に存在する物質の85%を構成し、宇宙のほとんどの物質を充しています。それは、普通の物質の5倍の量です。普通の物質とは、陽子、中性子など目に見える物質のことであり、それは物質全体の約5%にすぎません。 

 【光学的に観測不可能】

  ダークマターは、質量を持っていますが、通常の観測手段「光学的観測」では、検出出来きません。ダークマターを光学的に観測しようとしても、電磁相互作用しないため、光「電磁波」ではとらえられないからです。これまで、銀河の運動などの観測事実から、間接的にその存在が示唆されてきました。ダークマターとは、天文学的現象を説明するために考え出された物質なのです。 

 【質量を持っている】 

  ダークマターは、目には見えませんが、重さ、質量は確認されてます。重力相互作用を及ぼしますが、それ以外の相互作用はほとんどしません。光は、ダークマターの質量によって曲げられるとされています。直進する光が曲がるのは、強い重力があった場合に、空間が歪められるからです。この重力によって光が曲げられる現象を「重力レンズ効果」と言います。遠方の天体が発した光が、何らかの大きな質量によって、その向きが曲げらているのが観測されたため、ダークマターの存在が示唆されました。 

 【宇宙を安定させる】

  恒星が存在するには、通常の物質以外に大きな質量を持つ何かの存在が不可欠です。観測から、何か目に見えない物質が銀河をつなぎ止めていると推測されていました。その候補がダークマターです。ダークマターの重力が、銀河を一つにまとめ、引き留めているとされています。重力不足では、銀河の星々は散り散りになってしまうので、それをつなぎ止めるためには強い重力必要です。重力のあるダークマターの存在によって、今の宇宙の形状が安定的に保たれています。

 星や銀河の主成分は、水素やヘリウムです。ダークマターには、通常の物質である星の主成分をまとめる役割があります。星や銀河が安定して存在出来るのは、宇宙にダークマターがあるからです。


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