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スズメバチの社会性

【スズメバチ】
 スズメバチは、左右二対、計四枚の羽を持ち、時速40kmで飛ぶことが出来ます。狭い場所でも動けるように、小回りがきくように進化してきました。ただし、羽が薄いので、雨には強くありません。脚には、吸盤のような器官があり、垂直な壁でもくっつくことが出来ます。スズメバチの毒針は、産卵管が変化したものです。そのため、オスにはありません。スズメバチの針には、返しがないので、何度でも刺すことが出来ます。ミツバチのようなハチは、針に返しが付いているので、一度しか刺すことが出来ません。また、スズメバチは、毒を噴射することも可能す。それを目に浴びてしまうと失明してしまう危険があります。
 ズズメバチは、餌を捕まえる時に、毒針は使いません。使うのは、発達した大顎です。大顎は、樹木を齧る時や、獲物を噛み砕いて肉団子にする時に用いられます。スズメバチの触覚は、匂いを感じる器官です。また、大きさを測る器官でもあり、巣作りのさいに活用されます。目は、額に3個の単眼と、左右に一対の複眼があります。単眼は、明るさや色をみるためのもので、複眼は、形や動きを見るためのものです。スズメバチは、動体視力が高く、人間の7倍だとされています。

【社会性昆虫】
 スズメバチは、社会性昆虫です。それぞれに役割があり、分業体制をとって、共同で巣の防衛や、幼虫の養育などにあたっています。同種間のコミュニケーション(相互作用)に、大きな働きをしているのが、フェロモンという情報化学物質です。スズメバチは、フェロモンによって、お互いに情報を伝達し合い会話をしています。
 スズメバチが、成虫になってからの寿命は17日間です。成虫になってからは、甘い果実などの炭水化物を好みます。それに対して、幼虫のエサは、タンパク質です。動けない幼虫のために、成虫が肉団子にして食べさせてくれます。しかし、成虫もただ幼虫にエサを与えているわけではありません。幼虫に餌を与えるかわりに、その唾液からタンパク質を摂取しているからです。こうして、相互に栄養交換が行われ、ギブアンドテイクの関係にあります。

【女王バチ】
 女王バチは、働きバチより大きな体をしています。その寿命は、一年です。女王バチは、他の仕事はせず、産卵に専念しています。お腹には、精子を貯めておける袋があり、長期間の産卵が可能です。女王バチは、フェロモンを分泌し、働きバチの産卵を抑制しています。同じ巣の働きバチは、女王の娘たちなので、全てがメスです。産卵をせずに、女王のために働き続けるようにコントロールされています。ただし、それが長く続くわけではありません。老齢で繁殖能力が衰えた女王は、働きバチによって巣の外に捨てられるからです。働きバチは、一つの生命体のように、連携して働きます。その目的は、次の世代の世話をすることです。そのため、自分の命を犠牲にしてでも、群全体を生かそうとします。

【新女王】
 次の世代に、遺伝子を伝えられるのは、新女王だけです。タンパク質が豊富で、栄養価の高いエサをたくさん貰えた幼虫が、次の女王になります。その交尾の相手は、他の巣のオスです。時期が来たら、外に出て交尾の相手を探します。次の世代を育てるために、越冬するのは受精した新女王だけです。オスは、無精卵から生まれます。その割合は、巣全体の5〜10%です。特定の時期に、交尾をするためだけに生まれます。特に、それ以外の仕事はしません。交尾をすませると、すぐに死んでしまいます。その寿命は、約二ヶ月くらいです。


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