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宇宙、反物質


【物質とは何か?】 

  物質とは、エネルギーの一形態です。粒子の種類や結合の仕方で、物質の性質は異なります。物質の性質は、任意に変化させることが出来ません。宇宙のすべての物質は、原子から構成されています。その原子の構成要素は、電子、陽子、中性子です。また、陽子と中性子は、素粒子から出来ています。この素粒子が物質の最小単位です。

  物質は、空間の一部を占め、有限の質量を持ちます。物質が質量を持つのは、ヒッグス粒子と相互作用するからです。ヒッグス粒子という素粒子は、他の素粒子に質量「重さ」を与えます。質量とは、物質が持つ固有の量であり、動きにくさの度合です。この質量が高いと、大きな重力が発見します。

 【反物質とは?】

  全ての粒子には、対になる反粒子が存在します。反粒子からなる反物質は、性質が物質とは正反対です。反物質は、反陽子と陽電子で構成された原子から出来ています。物質と反物質は、構成する素粒子の電荷の性質が正反対です。例えば、電子の電荷は、マイナスですが、反電子である陽電子はプラスの電荷を持ちます。電荷とは、電気現象のもとになる実体です。中性子は、クォークから、反中性子は、反クォークから構成されています。性質が正反対なだけで、物質も反物質も基本的な構造は同じです。反物質は、物質と同様の安定性と性質を持ちます。 

 【反物質の存在】 

  反物質は、宇宙からやって来る粒子を調べても、マクロ規模で存在することも確認されていません。しかし、実験的に存在は確認されています。加速器を使って人工的にわずかな量は作ることには成功しました。加速器とは、粒子を光の速度まで加速して高いエネルギー状態を作り出すものです。 

 【対消滅】 

  物質と反物質が出会うと、光などのエネルギーに転化して両方とも消えてなくなります。質量に相当するエネルギーが光となるからです。反対にエネルギーがあれば、何もないところから、物質と反物質がペアで生まれてきます。現在の宇宙で、物質と反物質が、対生成できないのは、ビックバンの時の対消滅のエネルギーが、宇宙の膨張で薄まったからです。ビッグバン理論では、宇宙が始まった時、素粒子も反粒子も同じ数だけ作られました。しかし、現在の宇宙は、ほとんど物質のみから構成されています。 

 【CPの破れ】 

  本来なら、物質と反物質は同数あるはずです。しかし、その対称性が破れたために反物質の世界は消滅してしまいました。この粒子と反粒子のわずかな違いを「CPの破れ」といいます。「破れ」とは、対称でなくなることです。物質と反物質に不均衡が生じた結果、物質だけが残りました。 対消滅して、光「光子」になった光子の粒が10億個であるのに対して、残った物質の割合は1個です。その1個が今の宇宙を形成しています。


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