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ガイドブックやインターネットに載っていない場所で、自分が、気になることを。(移民の宴)

初めての高野秀行さんの作品。「移民の宴」を読んだ。

日本に住む外国人の食生活・コミュニティを個人個人のストーリーをベースに描いている本だった。

読んでいると、旅に出ているような気分になれた。旅に出ている気分とは、自分の当たり前、自分が当たり前だと思っている当たり前が、全然、当たり前ではないと感じることができて、肩に入っていた力が抜ける感覚だ。


日本と外国の食文化の違いについての言及も面白かった。日本では「簡単・時短」なレシピを目にすることが多いけれど、外国では準備に何時間も、何日もかけて、作った料理を何日も何カ月も楽しむスタイルがあるという。

私は、日本の料理が世界の中でも比較的手の込んだ料理だと思っていたが、どうやら、もっともっと料理に手をかける文化を持つ国がありそうだ。

確かに、以前、モンゴル出身の知人が、「美味しいモノを食べたいから、3時間くらいかけてハンバーグを作ったの。すごく美味しかった!」と話していて、私は、「えっ!3時間も…。そんなに時間かけるの、私は無理だ。よくそんなに手間をかけられるね…。と返した。すると、「たった3時間で、美味しいモノを食べられるなら、全然、長くないよ~」と言っていて、料理にかける手間に対する感覚の違いに驚いたことを思い出した。

美味しいモノは好きだけれど、かなり面倒くさがりな私の感覚を「日本人の感覚」とするのは、ちょっと、極端だけれども、3時間にしろ、半日にしろ、数日にしろ、手間をかけて料理をすることを当たり前と感じる人、そのような文化を持つ国があることを認識した。

本書で出てきた、イラン料理や台湾料理など、食べに行きたいなと思う。さらに、欲を言えば、レストランではなくて、その国出身の人と日常の料理を作って食べてみたいなと思った。


本書の著者、高野秀行さん。ポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」だそうだ。

かっこいい。

そして、楽しそうで、魅力的な生き方だなと感じた。

また、冒険、探検と言うと、エベレストに上ったり、誰も足を踏み入れたことがない土地に行ったりと、過酷で、気軽には出来ないイメージを持っていた。しかし、著者のポリシー「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」を見て、過酷でなくて、気軽に取り組める冒険、探検もあるなと感じた。

ガイドブックやインターネットに載っていない場所で、自分が、気になることをして、私も、人生、彩って行けたら素敵だなと思う。