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痴者の夢 ネタバレ感想

作成:2021年1月29日

サキュレントさんの18禁乙女ゲーム「痴者の夢」のネタバレ感想です。

このゲームのプレイ前の印象は「変態おじさんにいろいろ開発されてしまう女子高生」でした。これは外れていなかったけども…。いろいろな性的体験を積んでいく女子高生ののちゃんとののちゃんの性を深く広げて開発していくおじさんの話だったんですが、このゲームをやり終えての感想はおじさんとののちゃんの赦しの話、愛の話だったんだなぁと思いました。感想を書きながらいろいろなシーンとおじさんとののちゃんの気持ちを想像すると泣けてくる…。
ゲーム中、ののちゃんの気持ちはわかるのだけどおじさんの心中は一切モノローグ等で出てこない。それがまたおじさんの気持ちを想像させる余白があってプレイ後の余韻に繋がっている気がする。前向きでお互いを思ったエンディングに辿りつくまでに、ののちゃんはもちろん、おじさんもすごくしんどかったんだろうなぁと。おじさんはののちゃんにも、ゲームをしているこちら側にも自分の負の感情をあまりみせてこなかったけど、ののちゃんに隠れながら泣いていた場面でぐわっともっていかれた。ののちゃんの置かれている環境や今までの境遇を聞かないけれどもおじさんなりに感じ取っていて、おじさんの中で感じていたののちゃんへの哀れみというか、慈悲というか、迷いというかそういったものが溢れたのではないかなぁと思った。それに加えて常に倫理観や正しさとか囲みの外のものと葛藤していたのでは、と思わせるシーンがたくさんあってこれはおじさんの物語なんじゃないかと思ってしまった。タイトルが繋がった時にはぞわっとしました。ののちゃんもそうだけど、おじさんも救われたんだなぁと。おじさん、よかったね!ののちゃんと出会えて。
そしてサキュレントさんの作品は相変わらずゲーム中の台詞、文章がぐさぐさ刺さる。
「好きなことだけしたいせいで好きじゃないことに囲まれちゃってるよ」
「狭くてもそれがずっと続くなら、もう全部じゃない?」
「私にとっては世の中のあれこれというのは大きすぎる気がする」
「幸福というものに懐疑的だからだろう。ハッピーエンドとやらをいわゆる大団円を、心の底から信じることができない。喜びに身を委ねられない」
「やり始めたことを途中で投げ出してしまうとな、成果そのものではなく、放棄したという事実が忘れがたい経験として自分にこびりついてしまう」
もう、ほんと大好きな台詞、文章ばかりで…。ゲーム中、とても贅沢な時間でした。
特に「狭くてもそれがずっと続くなら、もう全部じゃない?」というののちゃんの言葉は今までの境遇を思うと辛いものに聞こえて、これからのことを思うと悪いことじゃないなと思えて、これを言ったののちゃんを思うとぐっとくるものがありました。そうだよなぁと。
プレイ後は2人の幸せを願わずにはいられないですね。でもまさか、ゲームを終えてこんなにおじさんのことを好きになるとは思わなかった…。本当にプレイして良かった作品です。ありがとうございました。次回作も楽しみだな~!

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