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ピオフィオーレの晩鐘1926 楊 BURLONE編ネタバレ感想

⚠ネタバレしまくっていますのであしからず。

Vita版のピオフィ無印をプレイして2年半…。ついに楊の過去を知ることが出来ました。そして、楊とリリアーナの恋の在り方というか着地点を確かめることができました。感無量です。素晴らしかったです。最後まで楊は楊でした。最後まで楊は楊なりの愛し方でリリィを想っていました。これを書きながら、何度も楊、楊の物語に思いを馳せてしまって感極まっています。手が止まってしまう…。

無印で楊を攻略できたわけですが、実のところ、2人の関係性を日常に落とし込んだ時に、いつまで続けられるのだろうか?楊は早々に飽きる、もしくは、ふと我に返って何の予兆もなくリリィを手放して(殺して)しまうのではないか?と想像せずにはいられなかったんですよね。いや、1926を終えた時点でもこの考えは私の中で残っています。けれど、早々にということはないのではないか、少なくともリリィにとってそこまで寂しくない、悲しくない終着点になるのではないか、と思えました。楊なりのリリィにとって最良の最後を選んでくれるんだろうな、と1926を終えて思えています。

作中、楊は幾度となく「おまえの命の価値は俺が決める。」「命の捨て場を選ぶ権利など与えはしない。」とリリィに言います。怪我をした場面での気遣いというか、リリィの行動に釘をさしたというのか…。何度も繰り返し発せられたこの言葉ですが、終盤の重要なシーンでも使われています。因縁の相手である袁との死闘の前に、楊自体は全く信仰していない教会で、リリィは楊に関係性の答えを求めます。そこでも「おまえを生かすも殺すも全ての権利は俺にある。」と。
未来の約束はしないかわりに「飽きた、と思う日が来る前に。欲しいと想い続けている間に―——この手で殺してやる。」と伝えます。この台詞で感極まってしまいました。無印から何度も「殺す」と言い続け、実際に何度も殺されかけ、無印の終着点は「飽きない限りは生かしてやる」「お前が離れたくなった時は存在ごと消してやる(殺す)」でした。それが、1926では殺すという終着点は変わらないものの、楊の中で最上級にリリィを想って最後を選択すると伝えたのです。結果は変わりませんが、心のありようが全く違います。楊のやり方で、誠実にリリィと向き合っています。
無印の感想で楊とリリィはベストエンド後でも幸せになれないのではないか、と書きました。一般的なハッピーエンドは迎えられないかもしれません。けれど、楊の事を好きというリリィにとってこの形は一種のハッピーエンドなのだと感じました。楊と共に迎える最上級のハッピーエンドなんですね。
楊ルートのリリィは善悪に葛藤しながらも楊に惹かれ、その後も自問自答しながら、けれども決して揺らぐことなくまっすぐに楊だけを選びます。恋に愛に生きています。聖女ではありません。そんな楊ルートのリリィが本当に好きです。けれども楊に盲目的ではなく楊の言う未来の話は信じず、リリィを最優先する台詞にはモノローグで「白々しい」「嘘くさい」と言い、あくまでも2人の関係性は楊がそう選択したからあるものだと言うリリィ。聡いですね。大好きです。聡いのに選ぶのは楊なんです。大好きです。

睿もよかったですね。序盤でリリィに辛辣な言動をしますが、またこれが良かったです。
「今着ている服やら毎日の食事はどこから湧いてでてくるんでしょうね?」と老鼠のしていることと上手く向き合えないリリィに対して、犯罪の上に成り立つ生活を遠慮なく指摘する睿。「この期に及んで自分だけは綺麗なままだとでも思っているんですか?」と。
楊ルートをプレイする上で物語の中で私がほしかった答えが大きく2つありまして。1つ目は先ほど述べた「2人の関係性の着地点」もう1つは「倫理観が破綻した楊と共にいることへの気持ちの落としどころ」です。
教会で育ったリリィにとって楊のしていることは神の教えに背く行為です。作中でも何度も自分の倫理観とは相反する楊、老鼠の仕事に対して、気持ちの折り合いがつかず濁す場面が出てきます。この問題には楊の生死がかかった場面で、理屈ではなく感情でリリィは自分なりの答えをだしましたね。“倫理観は変えられない。何度も問答を繰り返す。けれども何よりも楊がいないのは耐えられない”という至極単純で、そして、何とも勝手なものでした。倫理観や理性では到底抑えられないほどの楊への想いでこれからのリリアーナの人生は続いていくのだ、と感じさせられる答えでした。この答えが聞けたからこそ2人の関係性をより強固なものに感じることができたのかもしれません。
そんなリリィを見続けるうちに睿の気持ちも変化し、そして、打ち解けていく2人は見ていて微笑ましかったですね。

そして、1926をプレイして意外と楊は誠実で理性的なんだと思い直しました。いや、快楽主義で狂気的、倫理観は破綻していて、相手に対して一切の妥協はせず、情けはかけず、悪びれることもなく人を騙す人なのは変わりないんですが。楊の考えに基づいた誠実さを持ち合わせていて、それは平等に渋ることなく与えられているのだと思える場面がいくつもありました。ここを外さないから、無茶苦茶で圧倒的恐怖でしかない楊に服従したくなるようなカリスマ性を皆が感じるのかな、と少し関心してしまいました。


本当にとても楊らしい物語でした。素晴らしかったです。これから大団円後の楊ルート、そして7月発売のドラマCD、特典の冊子等、まだ楊とリリィの物語は続くのですが、ひとまず主となる楊の物語は終わりました。とても良かったです。過去を含め、2人の生き様を見届けることができて感無量です。そして同時にとてもとても寂しいですね。一息ついたら虚無感に襲われそうで怖いです笑
楊の物語を終わらせたくない…。
まだまだ、悶々といろいろ考えてしまうのですが、楊とリリアーナこんなにも上質で濃厚で素晴らしい物語を堪能できて本当に良かったです。リリィにとって幸せな物語の終着になりますように…!それを願って感想は終わりです!


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