こづかい万歳の家族が本当に貧しいのは計画性という知性であること

今週のこづかい万歳(11話)はコロナの定額給付金(この家族の場合で40万円)の使い道についての話で、今までで一番わかりやすくホラーだった。これはあくまでフィクションだと思いたいが、真実味を感じるのでノンフィクションかもしれない。怖い。

物語は、定額給付金がついに振り込まれた日に始まる。40万円というのはこの地域の家族にとっては大金なのだろう。コロナ下だというのに、ATMに行列が出来ているのは異様な光景だ。

ここでおさらいだが、定額給付金は「申請しないと貰えないし、予告されていたし、金額もはっきりとわかっていた」ものだ。基本的に必ずもらえるものでもある。振り込まれるまで1~2ヶ月はあったはずなので、十分に使いみちを決めておく期間はあったはずだ。

もう怖い。40万円を振り込まれたら、それを全額現金で下ろしてくるというのが怖い。あまりにもリアリティがある。そして、全く考えてなかった使いみちを、”酒を飲みながら”、中学生の雑談レベルで話し合う。怖い。

まず奥さんが、「畳の張替えとインターホンの交換」で合計12万円を提案する。必要性についてもきちんと考えているので、一応計画性のかけらのようなものはあるようだ。なら40万円が振り込まれる前に、この12万について話し合っておけばよかったのではないかと思うが、目の前に40万円が置かれないと思いつかないらしい。怖い。

この、40万円が振り込まれて全額を現金で下ろしてきた日の話し合いは、結局12万円を決めただけで終わる。40万円全額をきちんと決めきる、という考えはないらしい。怖い。

実はオーブンが壊れかけてたけど、いざパンが焼けなかったという完全に壊れるまでは給付金の使いみちとして思いつくことすらなく、新しいオーブンを選ぶこともなく1万円くらいのを適当に買う。自分たちの使用頻度や使用目的をきちんと吟味することをしない

そういえばコーヒーメーカーも壊れかけてる事をコーヒーを入れようとして思い出したから、コーヒーにどれくらいこだわってるとか、自動か手動かとか、ミル機能もついたやつにするとか、思い切ってもっと美味しいコーヒーメーカーにしようとか、そういうのを一切考慮せずに7000円くらいのを買おうかで決める

これも、なんかいい話風にしてるけど、一番頭の悪い底辺の金の使い方なんだよな。「きちんと判断できる大人が10万円を子供のために考えて使ってやる」べきで、大人になってから10万ぽっち貰うより子供の時に使ってくれるほうが人生が豊かになる。LV1の時とLv60の時、はがねのつるぎ貰って嬉しいのは?

子供の時に買ってもらった10万のパソコンは、俺の人生で最終的に6億以上稼ぎました。あの10万が貯金されてたら、今の俺はありません。

この一家が本当に貧しいのは、お金ではなくて計画性という知性であり、40万円が必ず振り込まれるとわかっていたのに何に使うかきちんと決めておかず、いざ振り込まれても尚ダラダラと小出しに思いつきで検討も適当に消費していくことだと思った。

今週のこづかい万歳を読んで、俺が怖いと思ったところに触れず、「好きにしたらええやん」と俺が思うとら屋の羊羹とかにしたり顔でコメントしてるやつ、本当にバカが小賢しいフリをするのは滑稽だなあと思って見てます。好きにしたらええやんそこは。他人の趣味嗜好を笑うな

一度だけもらって食った時にうまいと思ったとら屋の羊羹を一本かぶり食いしたいって夢は、今週のこづかい万歳で一番まともな話だと思う

この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?