寿司論と美食論。

はじめに

何をアホなこと言ってんだこのバカ舌がと思ったが、喧嘩しても反論でじゃあ美味い店につれてってみせろとしかならないから面倒くさいし、バカ舌がバカ舌であることを誇っていてもスルーだなと思ったんだけど

他にムカついた人がきちんと言いたいことを潜ませながらデータ並べて記事を書いていた。

この「鮨屋は何が美味しいのか」は、間にちょいちょい”俺は理解ってるやつだぜ”というネタが差し込まれるが、上のバカ舌への反論としては

・地方で釣ったその場で食うなら知らんが、料理屋で夜に食う分には地方と銀座のどちらも鮮度に差はない。

・寿司は技術が結構味に影響する。そもそもの構成やシャリ、火入れ、握り、寝かせなど。

・ウニはこの数年でアホみたいに高価になったし、マグロも高い。場所代ガーっていうが、計算すればわかるが場所代なんて原価率でいうとほぼ変わらない(コロナ前の計算基準で今は銀座の有名店も空席がまざるのだが、今は異常時だから)。

・よって、地方のほうが上だなどという戯言は正しくない(すごくふわっと"「地方の新鮮なネタが最高」というのは部分的には正しくとも、全面的に正解ではない。"と表現をして、頑張ってる店はどこもみんな違ってみんな良いみたいなまとめ方だが)

"ちなみに、ピン狙いの話をすると、たとえば1番と2番がピンだとして、一番競りを高くて見送っても、1番競りと同じところが2番手も抑えに来た場合に、どうしてもそのレベルの品が欲しい場合は2番競りが1番競りよりも高値になることさえある"

寿司論

食べログのランキングが引用されてたのでそれについて話をすると、

これは美味いランキングではない。このランキングはけっして美味い順ランキングではない。食べログの点数を稼いだランキングだ。

本当に美味い店というのは、料理を出して客がパシャパシャ色んな角度から写真を撮っていた時に、「料理ってのは秒単位で味が落ちるんだ、さっさと食え」と言う店であって「手の上に乗せて写真映えするように構えましょうか?」と言う店ではない。

食べログのランキングでは、この美味い方の店が低く評価され、手の上に乗せて構える店が高く評価される。

頑固さが素晴らしいと言いたいわけではないのだが、「自分が丹精込めた料理を、きちんと食べてもらえないと、客相手でも苦言を呈するような精神をもった職人の料理」が最も美味いのだ。これはもう魂の在り方としか言いようがない。

1人会計5万をこえてくる店でも、90点から100点(102点)まで幅がある。この中で、95点を超えられるのは、いってしまえばこのアスペ気味な、客よりも自分のエゴが出せる人間だけだった。

美食論

ただまあ、どうせ本当に美味い98点よりも、高級な食材をきれいに盛り付けて金箔でも乗せたほうが喜ぶバカ舌のほうが多数派だ。食べログ4点超えの有名店だというから行ってみたら金箔乗せの季節外れのまずいの(冷凍だろう)が出てきたときは帰りたくてたまらなかった。

そもそも、銀座の最高級の寿司は3万では食えない。食べログランキングの上位を見ればわかるが、最高級の寿司とは5万に届いてしまうものだ。それを間違ってる時点で冒頭の「地方の方が安くてうまいでちゅ」のバカ舌はろくな寿司を食ったことがない。

ネットで手に入る指標がほぼ食べログになっているのと、流行らせれば食べログ上位に行けてしまうのもあって、「当たり」の店を見つけたあとに、まだ新しい店を開拓しに行く理由がほぼ無い。

これだけたくさん美食を求めて色んな店で食えば、「美味いとはどういうものか」「100点とはどういうものか」も理解した。それが限りなく少ないことは、直感と経験の両方で感じる。

だから、美食がだいたいわかった後は、「美味しいものがわかってる」と思った店に通いつめ、仲良くなって話を聞いて勉強した。決まってそういう人達も、「この料理ならここ、あの料理ならあそこ。飯は自分が最も美味いと思う店に通うか自分で作る。」と言っていた。そうしていくつか店を教えてもらい、いって食べて吟味した。

5万の寿司ツイートがバズったとき、「5万の寿司なんて食うより、1万の寿司を5回食ったほうが明らかに合計幸福度は高い」と言ってる人が居た。5万の寿司を5回食えば良くない?と返したくもなるが、仮に「残りの人生で食えるのは5万が1回と1万が5回のどちらか」という条件でも、俺は5万の最高の寿司を1回だけ食べたい。

真剣に寿司を食うなら、どうせ週に2回が限度だ。それ以上食うと、味がぼやける。そうすると、残りの生涯で後何回寿司が食えるのか。そんな限られた回数を、どうしてつまらない味の店で浪費せねばならないのか。その確率がとても高いのに。

つくづく思うが、多くの店に通ってることを自慢するような類のグルメ気取りは、仕事でやってるんじゃなければ全員バカ舌だ。美食のかけらもわかっちゃいない。

美食なんてどうせ、骨董品の収集くらい、知識と経験と狂気が必要な趣味だ。わからないやつは食べログの上位に行ってればいい。

最高の美食は日本料理、それも寿司と天ぷらだと思う。

中華料理はあきらかに美食で見ると二流だ。旨さではなく”高価”が基準になってる。「美味い」ではなく「高い」が価値基準だ。あ、客単価5000円までの大衆食では中華はとても美味しいと思うが。

イタリアンもフレンチも惹かれない。何が三大料理だ。

美味しんぼの47巻には作者が美食について思うことが全部海原雄山に語らせてあるから、読んでみるといい。ここで否定されているのは「フカヒレ、ツバメの巣、フォアグラ、キャビア、霜降り牛肉」だ。俺もこれらは大してうまくないと思う。この前に「至高」として供される料理は、クジラの尾の身と”きちんと寝かせた鯛の刺し身”、そして「丁寧に作った最高級で普通の食事」だ。俺もこれらはとても美味しいと思う。

そう、冒頭のバカ舌は、すでに美味しんぼの47巻(25年前)に論破されていたのだ

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つづき


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