Ghost of Tsushima 90点 アメリカン侍というかっこよさ

あんまりネタバレはないけどほんのりネタバレがあるので、完全にネタバレなしでやりたい人はクリア後に読むように

結論

間違いなく日本のゲーマーなら遊んでおいていいゲーム。今まで遊んだオープンワールドの中では一番おもしろかった。

アメリカン侍とは

基本的に日本人が作ったらこうはならないだろうなというアメリカン侍である。まず、鎌倉武士なのに刀を差してるとか、江戸以後の葉隠みたいな武士道を貫くとか、色々おかしい。

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例えばこれは「農民出身で農民のために戦った伝説の勇者『吾作』の鎧。ロトの鎧みたいなもん。

日本人の感覚だと、藤吉郎が最終的に豊臣秀吉まで名前を変えたように「偉くなったら厳かな姓名を得る」みたいな感覚があるし、吾作というといかにも百姓めいてて勇者の名前じゃないんだけど、そういう感覚がないからこその『吾作』の鎧。

でも何もださくはない。吾作の鎧はかっこいい。真剣にかっこいいと思って作られたと伝わってくるからだ。多少歴史的に間違いがあろうが、別にこの時代にこの刀の差し方が発明されてないとも限らない。元寇を実体験して今生きてる人はいないんだからわからないじゃん。かっこいいんだからいいじゃんという気持ちになる「真剣なかっこよさ」に満ちている。

アメリカン侍というのは、「アメリカ人が侍を盗用した」という意味ではけっしてなく、「アメリカ人が信じて憧れる、最高にCOOLな侍」に仕上がってる、という意味だ。最高。

ゲームとしてみた評価

ストーリーは日本人の男の子なら間違いなく引き込まれる。踏みにじられる武士の誇り。圧倒的に強大で威圧的な蒙古軍。虐げられる民草。そんな非常時に一番大事にしていた「誉れ」を捨ててでも蒙古と戦うと決意した主人公。全てが素晴らしい。

キャラクタも1人1人立っていて、どれもこの時代を生きていた人たちなんだなと思えるし、誉れを捨てたわけではなく、一騎打ちには一騎打ちで剣のみで応じてきた主人公が、ラスト付近で敵の首領が誉れを捨てて一騎打ちから逃げた途端、こちらも全てのスキルが解禁されてラストバトルを戦う展開は死ぬほど燃えた。

ゲームとして評価すると、ファークライとウィッチャーを足して割ったものに、SEKIROをブレンドして、美味しくしあげられてる。

オープンワールドゲームとしては、UIもゲーム体験も良く出来ており、常にちょっと歩けば何かイベントが起こるし、地図ではなく風に背を押されて進むのは良い。「神社参りはその大変さこそが信仰心だった」とか「稲荷神社で狐は神の使い」とか、ちょっとなんか違う気もするが本質は間違えてないので何も違和感がない。狐が殺されて仇を取るクエストはかなり燃えた。俳句を詠むのもなんか違和感が少しあるが風流なので良い。

戦闘は苦無と弓が圧倒的に強すぎるが、すぐに弾切れになるので刀も楽しい。敵がどんどん強くなる一方で、終盤は雑魚として将軍級が出てきて超反応で一騎打ちしてくる点だけは腹立たしいので、最終盤の戦闘難易度だけは不満があるが概ね面白い。

日本でこれは作れないのか

結論からいうと作れないと思う。まず、ここまで愚直に、かっこいいと思う世にまだ出てないものを信じて、こんなに真剣に作れるスタジオは俺の知る限り無い。Ghost of Tsushimaはシン・ゴジラのようなゲームだ。シン・ゴジラのようなゴジラは、最初のゴジラと、シン・ゴジラ以外に無い。直近の日本作品で比較対象はFF7Rだ。SEKIROではない。俺はFF7Rはゲームとしてつまんなすぎて途中で投げた。Ghost of Tsushimaは本当に元寇を戦いぬいたようで面白かった。このゲームがこの世に出てきたことを祝いたい。

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