始めるよりも、終わらせるのが難しい【読書録】千々和泰明『戦争はいかに終結したか―二度の大戦からベトナム、イラクまで―』(中公新書)
タイトルの通り、戦争の終わり方について論考した本。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってすでに1年あまり。未だ終わりの見えない今だからこそ、気になって手に取りました。
この本のポイントは、戦争終結の形態を、大きく「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」だと考えているところ。またその際の判断材料として、「将来の危機」と「現在の犠牲」を挙げている点です。単なる戦力の優劣だけでなく、「将来の危機」と「現在の犠牲」を天秤にかけることで、終結への意志が固められるだと。
なるほど、と素直に頷きつつも、今一つのファクターとして頭を過ったものがありました。それは、体制の中枢に身を置く者(たち)の保身です。あるいはもう少し俗な言葉に言い換えれば面子の問題。これもまた、決して小さな要素ではないのでは、と。
いずれにしても、戦争は始めるよりも、終わらせる方が難しいもの(行きはよいよい帰りは怖い?)なのだと、改めて考えさせられた次第でした。