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雑録:小説Aについて(1)

核心的なイメージとしてまず初めにあったのは、すべて奪う女神の姿です。
人々の崇め奉る思いや命を養分にして、醜く膨れ上がっていく、少々ダークなイメージです。安易なところで、アマテラスを質の悪い方へ歪めてみた感じでしょうか?

ただもちろん、このイメージだけでは話になりません。そこであれこれ思いを巡らす中で、この女神も、最初から歪んだ存在であったわけではないだろうと。そこに至るには、それなりのストーリーがあったはずだろうと、そう思い至りました。

そこで、ストーリーを傍らで見守る存在が欲しくなりました。最初にイメージされたのは一人の神官です。ただ、当たり前の神官では、すぐさま女神の餌食になってしまいます。何しろすべてを奪う女神の表現には、隠喩的に性的な関係性を導入する必要があろうからです。

そんな訳で、この神官には、性的な嗜好性が多くの男性とは少なからず異なる立ち位置をとってもらうことにしました。ですが、そうであればこの男性と女神との接点が必要です。それは女官に担ってもらうことにしました。

ただこの段階で、それでも一人の女神の変化を辿るばかりでは、やはりどの道、話の広がりを期待するは難しいのではないかと不安を覚え始めました。そうして思い至ったのが、もう一人の女神の存在です。最初の女神のイメージの下地が歪められたアマテラスであるとすれば、こちらはイザナミを下地とする女神です。

最初の女神のイメージもあり、時代設定は幕末の激動期に置くのが適当だろうと考えました。もし成功すれば、きっと、この国の様々な節目の時代を行き来することも視野に入れた上で、です。

と言うわけで、取り敢えずは、これらを有機的に、無理なく無駄なく結びつけるにはどうすれば良いものかと、時間を見つけては、あれやこれやと思案を始めているところです。