見出し画像

ボードゲームと文学展・開催にあたって

本記事は『ボードゲームと文学展@小樽文学館_Web版』の記事のひとつですhttps://note.com/hilow_zero/m/m51eaca69998f

 ボードゲームの起源は、紀元前3500年頃のものと推定されるエジプトの遺跡から発掘されています。日本でも7世紀には双六の原型とされるものが遊ばれており、その後、囲碁や将棋、麻雀など多くの人たちに親しまれるゲームが現れました。

 テレビゲームの誕生によりボードゲームが注目され実際に遊ばれる場は減少傾向にありましたが、近年ボードゲームが再注目されてきています。多様なプレイヤーが集まるゲームサークルが各地に生まれ、ボードゲーム専門店もオープンし始めました。さらには自作ボードゲームの即売会も行われています。

 本展覧会では、新たなプレイヤー人口が増えつつあるボードゲームの内部に組み込まれた「物語」に着目します。プレイヤーがゲーム内容をより理解するための演出として組み込まれた物語。そこには童話やファンタジー小説の中で紡がれる物語との親和性が垣間見えます。そしてボードゲームで遊ぶ中で、プレイヤーの感情の中で沸き起こる物語もあります。対戦中の駆け引き、協力時の対話。そういったものからは、物語が生まれる土壌のようなものが見えてきます。そこから、本として読む従来の物語に立ち返ったときに、読書というものの中にまた新しい発見があるかもしれません。

 本展覧会は、以前開催した『テレビゲームと文学展』の系譜を継ぐ展覧会でもあります。ゲームと物語の対比と関連性の考察において、新しい視点を加えることに試みます。

 また今回はゲームで遊んでいるときにはあまり注目されない盤面デザインやパッケージイラストをじっくり眺めて頂ける機会にもなっています。アート的側面や独自のユニークさを持つ盤面や駒などの小物類を、ぜひじっくりとご覧になってください。


■ Web版 追記
 現在(2020年5月)、小樽文学館をはじめ全国各地の博物館が新型コロナウイルス蔓延の影響により、休館を余儀なくされています。
 博物館・美術館・文学館といった施設は、昔から人々が日常的に触れてきた生活の足跡や文化資産に市民が気軽に触れられる場所です。できれば実際に足を運び、自身の目で見て、耳で聞いて、展示物を体感できるとよいのですが、現状ではそれが難しくなっています。
 せっかくの文化資産に触れる機会が長期に失われる状況を何とかフォローできないかという思いから、自宅にいながら展示物に間接的に触れる機会を作る試みを始めてみることにしました。
 今回は、2014年4月4日から6月8日まで、小樽市立小樽文学館にて開催された『ボードゲームと文学展』を、現存する当時の資料を使ってWeb上で閲覧できるように再現してみました。限られた資料からの再現なので100%同内容にはできませんでしたが、当時のコンセプトを大きく失わない形にはなったかと思います。最後までお楽しみいただけたら幸いです。
 内容は基本的に2014年当時のものとなっていますが、一部現在(2020年)の状況をふまえてアップデート・追記している部分があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?