その他のピックアップゲーム

本記事は『ボードゲームと文学展@小樽文学館_Web版』の記事のひとつですhttps://note.com/hilow_zero/m/m51eaca69998f

画像2

○ どうぶつしょうぎ
 子どもへの将棋の普及を目的に制作されたゲームです。元になる将棋から盤面の内容と駒の種類・動きを簡略化、駒の内容に動物を充てることで将棋の基本が理解しやすくなっています。第1章展示の「動物モチーフ」に該当するゲームとも言えるでしょう。
 女流棋士の北尾まどかさんがルールを考案、同じく藤田麻衣子さんが全体的なデザインを担当しています。盤面の大きさや駒の種類が増えたバリエーションもあります。駒の種類はひよこ(相手エリアにまで進むとにわとりに成長)、きりん、ぞう、ライオン。それぞれ動き方が異なり(どこに進めるかは駒に記されている親切設計)、動いた先に相手の駒があるとその駒を捕まえて次回から使える持ち駒にできます。相手のライオンを先に捕まえるか、自分のライオンを相手の陣地まで進めることができれば勝ちになります。

※ もりのきしょうぎ
 ふくおかご当地しょうぎ会が制作した「どうぶつしょうぎ」のバリエーションのひとつです。ふくおかご当地しょうぎ会は木育を活動目的にしている団体で、その活動の一環としてこの「もりのきしょうぎ」は作られました。盤面や駒は福岡県の山林で育った間伐材を使っています。描かれている動物はオリジナル版どうぶつしょうぎと異なりますが、ルールは同じです。

画像3

○ バックギャモン
 バックギャモンはその原典が古代エジプト文明にまで遡られるという、ひじょうに歴史の長いゲームです。日本では奈良時代に伝来し、平安時代に大流行、当時の文献にもバックギャモンと思われる記述が出てきます。
 二人対戦のゲームで、双方が持つ15個の駒をサイコロの出た目の数だけ進めていき、相手より先に15個全てをゴールさせれば1勝となります。1920年代にアメリカで導入された「ダブリングキューブ」(勝ち点の倍化宣言とそれを受けての終了宣言)というルールによってゲーム性がより深く進化しました。
 日本でのバックギャモンの普及を目的とした団体『日本バックギャモン協会』主催のゲームイベントが日本各地で定期的に開催されています。ちなみに日本バックギャモン協会の名誉会長のひとりに、すぎやまこういち氏(ドラゴンクエストシリーズの作曲者)がいます。

画像4

○ 森の影
 炎を灯したロウソクを使い、その灯りから生まれる「影」をゲーム内に取り込んだ、とても斬新なゲームです。プレイヤーは複数の小人役と一人のオニ役に分かれます。オニ役がまずロウソクを盤面に置きます。
盤面には立体物として「木」が置かれていて、そこに木の影が現れますので、ひとつの影に一人ずつ小人を配置します。このときオニ役は目を閉じるので、小人がどの影にいるのかは分かりません。
 オニ役はサイコロを振り、出た目の数だけロウソクを移動します。
その結果、影の位置も変わっていきます。影から出て灯りに照らされた小人は動けなくなってしまいます。次にサイコロを振るまで、またオニ役は目を閉じます。この間に小人たちは新しくできた影をつたって移動します。その過程で動けなくなった小人を助け出すことも可能。最終的にひとつの影に全ての小人が集まることが出来れば小人側の勝ち。逆に全ての小人をろうそくの灯りで照らし出すことが出来ればオニ役の勝ちになります。
 暗がりで灯すろうそくの灯りとそこから生じる影。その自然現象的な要素を取り入れるという稀有な斬新さを持つゲームです。

画像5

○ヒットマンガ
 文学作品以外で本という媒体で描かれる物語として、やはり「マンガ」を外すわけにはいきません。そんなマンガを題材にしたカードゲームがあります。それがこの『ヒットマンガ』です。
 吹き出しの中が空欄になっているマンガの一コマが描かれたカードが複数あります。読み手になったプレイヤーは、その中から好きなカードを1枚選び、その絵柄から連想したセリフを言います。読み手以外のプレイヤーはそのセリフに該当するカードを見つけます。正解すれば、正解のカードを選んだプレイヤーと読み手双方に点数が入ります。しかし読み手以外の誰も正解を当てられなかった場合は、読み手に「打ち切りカード」が与えられてしまいます。
 読み手役を順番に隣の人にまわしつつ、場のカードがすべて無くなるか、打ち切りカードが一定数たまってしまうとゲーム終了。終了時点で点数がいちばん高いプレイヤーの勝ちになります。
 同じ絵柄でも読み手となるプレイヤーによって、そこに当てはめるセリフが異なる。その「人との違い」、そしてそこから透けて見える「物語の多様さ」の発見も、このゲームの面白さのひとつです。

画像1

○ モノポリー
アメリカで生まれたボードゲームで、サイコロを振って盤上を周回するすごろく形式のゲームです。
 不動産取引がメイン要素となっていて、止まったマス目の土地を購入し自分の所有地となったマス目に相手プレイヤーが止まった場合、指定された金額を相手から得ることが出来ます。
 またプレイヤー間の『交渉』もこのゲームの重要な要素です。不動産の交換や現金のやり取りなどといった会話を行なうことで、相手の都合を考慮しつつ自分にとって有利な状況を見出していく必要があります。
 アメリカは元より日本でも潜在的に人気のあるゲームで、日本モノポリー大会の会長はコピーライターでマルチタレントでもある糸井重里氏です。


○フォレロッテ
 昨今ボードゲームという範疇に括られるゲームにはボードゲームの他にカードゲームがありますが、さらに「ダイスゲーム」という括りが出来るゲーム群があります。盤面があったりカードを使ったりという意味ではボードゲームやカードゲームと言えますが、通常のものよりダイス(サイコロ)を振る頻度が高いことが文字通りダイスゲームの特徴となります。今回、紹介する「フォレロッテ」もそんなダイスゲームのひとつです。
 ダイス6個を同時に振り、出た目に応じて点数が入ります。1と5は単独で点数となり、これら以外の数字は3個同じ目になると点数になります。点数となる組み合わせが出た時点で自分の手番を終えればそのまま点数が入りますが、点数になる組み合わせとなったダイスを省いた状態でさらにダイスを振り続けることも可能です。その場合、さらに点数が入る組み合わせが出れば先ほど出た点数に加算できますが、何も出なければ先ほど得た点数が無効になり獲得ポイントが0点ということになってしまいます。6個のダイス全てが点数となる組み合わせになることを「フォレロッテ」と呼びます。
 また、ダイスを振る前に必ずカードを引くことになります。カードによってはさらなる追加ボーナス点を得るチャンスや通常のものとは別な組み合わせ方(その分、高ポイント)を要求される場合もあります。さらにはいきなり手番終了となるカードもあり、ゲーム内においてかなり波乱を含む要素になっています。累計点数が最初に6000点となったプレイヤーが勝利となります。


■ Web版 追記
○パンデミック

画像6

画像7

画像8

 2009年、アメリカのゲームデザイナーであるマット・リーコック氏が制作した協力型ボードゲーム。2~4人のプレイヤーが遊べます。
 世界中で蔓延し始めた4種類の病原体の感染拡大を食い止めるため、独自の技能を持つエキスパート達が協力していきます。各プレイヤーどうしの対話が重要になるため、協力型というこのゲームが持つ独自性がより楽しめる構成となっています。
 このゲームの内容がリアルに感じる今(2020年5月)だからこそ、病原体の感染拡大と、それを食い止めるために何が必要か、その基本の一部をプレイしながら理解することが可能と言えるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?