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第1章 : ボードゲームの中にある物語

本記事は『ボードゲームと文学展@小樽文学館_Web版』の記事のひとつですhttps://note.com/hilow_zero/m/m51eaca69998f

 ボードゲームに限らずゲームはルールと勝利条件を理解さえすれば、それだけで最低限遊ぶことが出来ます。例えば『じゃんけん』はグー・チョキ・パーの選択肢とそれらの三すくみの関係性を理解するだけで遊べます。そういう中にあって、ゲームの中に物語が組み込まれることは特殊なことではありません。これについては様々な理由が考えられます。

 商業的にしろ同人的なものにしろ、新しいゲームを世に出すにあたって、それまでのゲームとの差別化が必要になってきます。そうしたときにゲームのルールをより複雑なものにせざるを得ない。じゃんけんのように口頭で説明できるシンプルさが無くなってきます。そういった複雑なルールを理解しやすくさせるためのツールとして、物語が組み込まれることがあるでしょう。

 この章では、そういったゲームのルールを理解しやすくするための物語に着目して、その内容に沿ったゲームをいくつかのカテゴリに分類して紹介します。


○ 魔法モチーフ

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 私たちがふだん暮らしている日常的世界の物理法則とは異なる現象を「魔法のようだ」と比喩することがあります。そういった魔法的な不思議さをゲームのルールに使う場合、比喩としての魔法をそのまま物語として組み込むことで、ゲームのルールが理解しやすくなります。

・ LABYRINTH(DAS MAGISCHE)邦題:魔法のラビリンス

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 2009年度ドイツ年間キッズゲーム大賞を受賞したゲーム。魔法による見えない壁が存在する迷宮の中で、プレイヤーたちは魔法の材料を集めていくことになります。プレイヤーの駒には磁石が付いていて盤面をはさんで鉄の玉がくっ付いています。盤面の下には仕切り壁がいくつかあり、盤面の上からは見えないようになっています。これが『魔法の見えない壁』。見えない壁に当ってしまうと駒から鉄の玉が外れてしまい、それ以上移動することが出来ません。磁石を使った「魔法の演出」が素晴らしい作品です。雰囲気溢れる盤面のデザインにも注目してみてください。

・ Zauber Lehrlinge 邦題:小さな魔法使い

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 見習い魔法使いたちが魔法の素材を使って修行中。4種類の魔法の素材を自分の釜に入れて、最後に盤面中央にある火種に点火。もっとも早く火種に点火したプレイヤーが勝ちになります。プレイヤーの駒には磁石が入っていて、プレイヤーは魔法の杖を使って遠隔操作するという演出につながっています。盤面上にも磁石が仕込まれているので、そこに来ると駒が転倒してしまいます。杖による絶妙な操作が問われるアクション要素の高いゲームです。

・ Spinnengift und Krotenschleim 邦題:クモの毒とカエルの鼻水

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 魔女が魔法の釜からモンスターを生み出そうとしています。魔女の弟子であるプレイヤーたちは、その材料となる生き物(クモの毒、カエルの粘液、臭いキノコ、バイブ草、ネズミのフン、首巻き根っこ)を集めてこなければなりません。まずダイスを振り、出た生き物の絵と同じ絵柄のカードを神経衰弱の要領で引き当ててると、その生き物を入手したことになります。ただし、プレイヤーは盤面上を移動してチップを回収していくのですが、そのチップに指定された回数分同じ絵柄を合わせなければなりません。指定回数分、同じ絵柄を引き当てられれば見事チップをゲット。チップを魔女の釜に入れると、どこかのタイミングでモンスターが誕生します。このモンスターもチップを入れたプレイヤーの点数になります。生き物の中にはプレイヤーにデメリットを与える「コボルト」がいて、このカードは出来るだけ引かないようしたいところ。モンスターが生まれるギミックが楽しいゲームです。

・ LABYRINTH THE Duel

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 魔法使いどうしのお宝争奪戦。通路を動かす魔法を使って、お宝への道を作り出していきます。有名な「15パズル」に演出としての物語要素と対戦要素を加味したゲームです。正解がひとつしかない通常の15パズルに対して、こちらはめくったカードによってその都度並べ方が違います。さらに道の繋がり方も状況によって変わるので、運に左右される側面もあります。ゲーム自体はシンプルなものです。そこに通路を動かすのが魔法によるもの、そして複雑に変化する道筋が迷宮であるといったようなファンタジー物語の要素を加えることで、シンプルなゲーム性に説得力が生まれ、またプレイヤー自身の想像力も刺激されます。


○ 冒険モチーフ

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 テレビゲームの定番ジャンルのひとつであるRPGの起源はファンタジー冒険小説でした。その要素はボードゲームの中にもひとつのジャンルとして見出すことが出来ます。迷宮を探索し、謎を解き、財宝やアイテムを見つけ出す。そして冒険ファンタジーには欠かせないキャラクター「ドラゴン」も登場します。テレビゲームの同ジャンルとの違い、あるいは共通点などを比較しながら観ていただくのも面白いかもしれません。

・ Drachenritter 邦題:小さなドラゴンナイト

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 お宝を奪ったドラゴンがドラゴン岩に立てこもってしまいました。二人のドラゴンナイトがお宝を取り戻すためにドラゴン岩に向かいましたが、二人はお互いの邪魔をしてばかり。垂直に立てられた盤面(ドラゴン岩)を挟んで二人のプレイヤーが座ります。ダイスを振って出た色のアイテムをドラゴン岩に順番に組み上げていきます。もし崩れてしまったら、そこからまたやり直し。ダイスの目によっては相手プレイヤー側に落石を落とすことも可能。でもドラゴン岩に遮られて相手の状況が見えないので、勘を働かさなければいけません。落石の振動で自分の積み上げたアイテムが崩れてしまう可能性も。いちばん上まで積みあげてドラゴンナイトを配置、5秒間崩れなければそのプレイヤーの勝利となります。立体と死角を活かしたギミックが独特なゲームです。

・ SCHATZ DER DRACHEN 邦題:ドラゴンのたからもの

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 ドラゴンが隠した宝物を見つけるために洞窟を探検。クモやドラゴンに見つからず、宝物をどれだけ多く回収できるでしょうか。神経衰弱と同じ絵合わせカードゲームです。絵柄によって合わせる枚数が違うのと、一度絵が合ってもプレイヤーが望むかぎり連続して絵合わせを続けられるのが特徴。ただし絵柄が違ったり、ドラゴンやクモのカードを引き当ててしまうと手番が終了になってしまいます。カードの独特な可愛いデザインに注目してみてください。

・ kullerei mit Drachenei 邦題:ドラゴンのたまご

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 財宝を求めて冒険する騎士たち。彼らが旅をする道中にはドラゴンとドラゴンが生んだタマゴがありました。このタマゴは時々暴れ出し冒険者たちを襲います。基本はすごろくゲームですが、サイコロの目によってはドラゴンのたまごが暴れ出すという要素があります。たまごが暴れ出した場合、その発端となったプレイヤーが盤面上のたまごを弾いて相手の駒に当てることが出来ます。タマゴが当たってしまったプレイヤーはスタート地点に戻されてしまいます。しかし道中で寄り道をして宝を獲得していれば、その獲得地点に戻るだけで済みます。ドラゴンのたまごに当てられることを想定して寄り道しておくか、ひたすらゴールを目指すか。プレイヤーの判断力と駆け引きが問われるゲームです。

・ LABYRINTH(DAS VERRUCKTE) 邦題:ラビリンス

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 ファンタジーの定番である迷宮での宝探しをモチーフにしたゲーム。盤面の四つ角にそれぞれのプレイヤーのスタート地点があり、各自が持つカードに描かれた宝物をすべて入手した後、スタート地点まで戻ります。最初に目的を果たしたプレイヤーが勝利。盤面は7×7の通路パーツで構成されていて、各プレイヤーは手番時に余ったパーツを使って任意の1列をスライドさせることが出来ます。これにより毎回、迷宮の通路が変化し、プレイヤーが宝物を目指す道順が変わっていきます。自分の手番で有利な通路を作っても、直後の相手の手番でその思惑が覆されるかもしれません。シンプルな仕組みで複雑な迷宮を再現したアイデアあふれる作品です。

・ ザーガランド

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 1982年度ドイツ年間ゲーム大賞を受賞したゲーム。王様が村人たちにお触れを出しました。村と城の間にある森に隠されているという伝説の品物。
この品物を3つ持ってきた者には王女との結婚を許す。村人たちは村を出発して、森の13本の木に隠された伝説の品物を目指します。しかしどれでもよいわけではなく、王様が指定した品物を渡さなければなりません。違う品物を渡してしまった場合は村からやり直し。2つのサイコロを振って城を目指す、すごろくタイプのゲームです。しかし探索という要素が加わっているので、常にゴールを目指すわけではない変則的なゲーム内容になっています。相手プレイヤーとの駆け引き要素もあります。そして伝説の品物のモチーフになっているのは「グリム童話」の物語の数々。まさにボードゲームと文学の融合を体現したゲームと言えるでしょう。


○ おばけモチーフ

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 ドイツ製ボードゲームの特徴のひとつとして、「おばけ」を題材にしたものが多いことが挙げられます。白い布を羽織ったような定番の姿で描かれています。ゲームの中で扱われる「おばけ」はゲームルールの中で「かく乱」の意味付けを与えられることが多いようです。人間にいたずらをする、突然どこかに連れて行く、誰が誰だか分からなくするなど、ゲームに波乱を呼び起こすことで面白さを喚起させるキャラクター。そして、そういった「おばけ」の存在に説得力を持たせる物語がゲームの中に組み込まれているのです。

・ gespenster-turm 邦題:3匹のおばけ

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 時計塔に住むおばけ達が迷子になってしまいました。彼らを見つけて時計塔に帰す手助けをしていきます。盤面の周りにあるカードにはおばけが描かれています。同じ色のおばけを3回連続で引き当てると、そのおばけを部屋に戻すことが出来ます。でも3回引くまでに違う色のおばけが出てしまうと、そこで手番が終わり時計を5分進めなければなりません。時計が1時間経つまでに全てのおばけを連れ戻すことが目的。プレイヤーどうし、対戦ではなく協力していくのが特徴になっています。

・ GEISTER TREPPE 邦題:オバケだぞ~

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 2004年度ドイツ年間キッズゲーム大賞を受賞したゲーム。いたずら好きな子供たちが階段の上で眠っている老オバケをびっくりさせようとしています。しかし老オバケは子供たちのことに気付いていました。老オバケの反撃でオバケの姿になってしまう子供たち。だんだん誰が誰なのか分からなくなっていきます。サイコロを振って階段の下から上へ進んでいくすごろく型ゲーム。サイコロでオバケの目が出たら、そのプレイヤーの駒にオバケが被せられてしまいます。自分がオバケの状態のときにさらにオバケの目が出たら、他のオバケになったプレイヤーと位置を交換することも可能。自分の駒だと思っていたら相手の駒をゴールさせていたといったことも起こり得る、ユニークなゲームです。独特な構図の盤面デザインにも注目してみてください。

・ ミッドナイトパーティ

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 深夜に開かれる華やかなパーティ。しかし、そのパーティが開催されているのはオバケが出ると噂されている館。夜が更けるとオバケが館の回廊に出没、館内にいる人間を連れ去ってしまいます。オバケから逃れつつのスリリングなパーティが今日も始まります。永遠に階段を登り続ける形になっている盤面デザインはゲームデザイン上の要請から来ているものではありますが、館の奇妙さを醸し出す演出にもなっています。

・ GEISTES BLITZ 邦題:おばけキャッチ

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 白いおばけ、赤い椅子、青い本、緑のビン、灰色のネズミがそれぞれ木製の駒になっています。山札からカードをめくると2つの絵が描いてあります。カードには上記5種類の駒のうちどれか1つに合致するもの、2つ共どれにも合致しないもののいずれかが描いてあります。合致するものがあれば該当する駒を取ります。どれにも合致しなければ、絵に描かれていない色と形の駒(必ず一つあります)を取ります。各カードごとに正解の駒を最初に取ったプレイヤーが、そのお題となったカードを入手できます。最後に最も多くのカードを手に入れたプレイヤーが勝利。合致するものと合致しないものを素早く判断できるかがカギ。判断力と反射神経が同時に問われるユニークなゲームです。


○ 推理モチーフ

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 小説やテレビゲームにもジャンルとして存在する「推理もの」に該当するゲームを集めてみました。何かを捜す、何かを捕まえるというルールをゲームの中に組み込むにあたって、「何か」の部分に「犯人」を割り当てることで推理小説や刑事ドラマ、さらに枠を広げれば西部劇の保安官にまで物語の幅を広げることが出来ます。プレイヤー間の駆け引きや心理戦などはボードゲームのプレイ中に自然に生まれるものですが、こういった要素そのものが推理系の物語と親和性が高いという点も特徴のひとつと言えます。この系統のゲームは今回挙げたもの以外にも、たくさんあります。例えば「人狼」系のゲームもこのカテゴリに含まれるでしょう。

・ MORD IM AROSA 邦題:アロザ殺人事件

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 夜のアロザホテルに奇妙な音が鳴り響く。それは深夜に起こった殺人事件のものでした。容疑者は宿泊していた客の中にいる。音が発生したフロアには事件の手がかりとなる証拠が。音を頼りに殺人事件の証拠を互いになすりつけ合う対戦ゲームです。上から落とした証拠品の音を頼りにどのフロアに証拠品があるかを見つけていきます。証拠品を見事に見つければ、自分への証拠はもみ消すことが出来るし、相手のものなら相手に証拠を擦り付けることが出来ます。最終的に証拠品が多かったプレイヤーが犯人になってしまいます。すべてはあなたの「耳」にかかっている。一風変わった推理ゲームです。

・ スコットランドヤード

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 1983年度ドイツ年間ゲーム大賞を受賞したゲーム。ロンドン市街が描かれた盤面上を怪盗ミスターX役となった一人のプレイヤーが逃げ回ります。それを他の刑事役プレイヤーたちが追いかけていきます。1対多数という図式が特徴のボードゲーム。ミスターX、刑事共に地下鉄、バス、タクシーといった異なる移動手段をそれぞれのチケット枚数の分だけ使うことが出来ます。ミスターXがどこにいるかは基本的に分かりませんが、移動するたびにどのチケットを使ったかが開示されます。またミスターXは定期的に盤面上に姿を現します。それらから居場所を推定して、刑事側はミスターXを追い詰めていきます。見事ミスターXを逮捕できれば刑事側の勝利。最終ラウンドまで逃げ延びることができればミスターXの勝利となります。刑事役のプレイヤーたちはお互い相談することが可能ですが、ミスターX役のプレイヤーはそれを聞いています。そこで生じる駆け引きも、このゲームの面白いところです。

・ Larry Lasso 邦題:なげなわ名人・ラリー

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 保安官になって、どろぼうを捕まえます。「色」が描かれたサイコロを2つ振って、出た色の付いたどろぼうが捕まえる対象。2色のどろぼうは高得点、1色でも点数は低くなりますが得点が貰えます。対象となるいずれかのどろぼうを、実際になげなわを使って捕まえます。しかしなげなわで捕まえるだけではだめで、そのままどろぼうを転倒させずに自分の牢屋まで運ばなければ得点になりません。どろぼうを捕まえられなかったプレイヤーは、相手が捕まえたどろぼうになげなわをひっかけて転倒させることで邪魔することが出来ます。実際になげなわを使うという、アクション性の高いゲームです。


○ 海賊モチーフ

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 ここで挙げる「海賊もの」は、財宝を探すという意味では先ほどの『冒険』モチーフにカテゴライズしたゲームと同じと言えます。しかし同じ要素のゲームでも、海賊という別な物語を組み込むことでその印象はガラッと変わってきます。物語がゲームに多様性をもたらす一例と言っていいでしょう。「海賊もの」の特徴として財宝などのアイテムの『奪い合い』という要素を組み込みやすいことが挙げられます。海賊という要素によって奪い合いというルールに説得力を与えているわけです。

・ Der schwarze Pirat 邦題:海賊ブラック

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 2006年度ドイツ年間キッズゲーム大賞を受賞したゲーム。大海原に点在する島々に眠る財宝を探し当てるため航海に出た船乗りたち。プレイヤーはその船乗りになって船を操作しながら宝が眠る島を目指します。船を操作するのは「ふいご」(空気を生み出す器具)。島に乗り上げて座礁しないように操作しなくてはなりません。目指す島やふいごが使える回数はサイコロで決めます。しかしサイコロを振って海賊の目が出たら、そのプレイヤーは海賊役に代わります。その場合は海賊船を操作し他プレイヤーの船に当てて、相手の財宝を奪うチャンスに。大海原を進む帆船というモチーフを与えることで、空気を使うゲームにストーリーの面から説得力を与えたユニークなゲームです。

・ Der schwarze Pirat(DUELL)邦題:海賊ブラックの決闘

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 「海賊ブラック」を2人対戦に特化させたゲームです。ふいごを使って船を操作するのは同じですが、このゲームでは砲台からの砲撃にもふいごを使います。船を操作したプレイヤーの直後に、相手プレイヤーの砲撃チャンスがあります。ここで相手の船に見事当てることが出来れば自分の船の操作権を得られますが、当てられないと続けて相手が船を操作することが出来ます。こうなると、どんどん相手に自分の領地に進行されて宝箱を奪われてしまいます。相手の砲撃をかわしながら、先に宝物を奪えるか。アクション性にあふれた対戦ゲームです。

・ Piratissimo 邦題:パイレーツゲーム

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 プレイヤーは海賊に扮し、海賊船で大海原を航海しながら島々に眠る財宝を探します。サイコロを振りながら海賊船の形をした駒を進め、財宝を手に入れたら実際に船の駒に財宝を積んでいきます。しかし財宝を積むことが出来る数には限りがあるので、積み過ぎると船が転覆扱いとなってしまい、せっかく手に入れた財宝は海の底へ。さらにサイコロを振って竜巻の目が出てしまうと、竜巻型ルーレットを回すことになり、様々な災難が振りかかります。他のプレイヤーから財宝を奪われたり、逆に財宝を押し付けられて船が転覆してしまうことも。様々な困難を振り切って港に最初に10個の財宝を持ち帰ったプレイヤーの勝利となります。「積載数」を考えることが独特の面白さにつながっているユニークなゲームです。

・ Die Schatzpiraten 邦題:海賊の宝さがし

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 サイコロを振って駒を進めていくすごろくタイプのゲームです。盤面上の8ヶ所に財宝があり、そのお宝を他のプレイヤーより先に回収するのが目的。お宝は48種類あり、それぞれカードの絵柄として描かれています。48種類のカードの中から8枚を選び盤面の指定の場所に置きます。最初にカードの絵柄が公表されていますが、プレイ開始と同時にカードは伏せられます。サイコロを振ってカードがあるマスに止まったら、プレイヤーは記憶を頼りにカードの絵柄を言い当てます。正解すればお宝をゲット。またサイコロの目によっては相手プレイヤーからお宝を奪うチャンスも。


○ 動物モチーフ

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 ネズミを追いかけるネコ、いたずら好きのサルなど。動物が持つキャラクター性をルールに活かしたゲームを集めてみました。「何かの追跡をかわしながら何かを集める」というゲームのルールを理解するうえで、例えば「ネコの追跡をかわしながらネズミがチーズを集める」という物語は有効に機能するでしょう。人間の性格を動物に例えて描写する物語というのはゲームに限らず、実際の物語にも多くあります。それは日本の昔話や海外の童話などにも見られます。そう考えると昔話や童話のゲーム化というのは、そう難しいものではなさそうです。具体的なゲーム化案を考えてみるのも面白いかもしれません。

・ GARY GOUDA 邦題:ギャリーゴーダ

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 「ギャリーゴーダ」は民家に隠れ住むネズミ。家の中にちらばるチーズを食べながら、指定のゴール地点を目指します。家の中は複数の小部屋で構成されていて、壁の穴を通って部屋間を移動します。チーズを食べてない状態だとギャリーゴーダは全ての穴を通過できますが、チーズを食べるとネズミの駒の下にチーズ型の板が重なってしまいます(お腹がふくれたということ)。そうなると通過できない壁の穴が出てきてしまいます。チーズをさらに食べていくと、通れない穴の数も増えていきます。ゴールまで無事たどりつけば、それまでに食べたチーズの数がポイントになります。しかし一度でも壁の穴を通過できないと、それまで得たチーズは無効になってしまいます。ゴールをするか壁の穴につっかえた時点で、次のプレイヤーに交代。
これを盤面上にチーズが無くなるまで続けます。プレイを続けていくことで通れない穴がどれかが分かってきます。後半になると記憶力勝負という側面も。手堅くチーズを1個ずつ回収していくか、記憶力を頼りに一度で大量獲得を狙うか。プレイヤーごとの性格も垣間見えてくるゲームです。

・ Coco Razzi 邦題:ジャングルマーケット

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 ジャングルにマーケットが開催される日。プレイヤーはマーケットに商品として並べる果物を村から市場へとバスケットに載せて運びます。カードを1枚引いてそこに描かれた絵柄に対応したアクションを行なうことでゲームを進めていきます。自分のバスケットにどの果物を入れているかは他のプレイヤーには分かりません。しかし木にぶら下がりながら空中を素早く移動する猿のボンゴが運搬中の果物を奪っていきます。この猿のボンゴを利用することで他プレイヤーの果物を横取りすることも可能。また市場には並べられないココナッツは減点アイテムとなります。ココナッツを自分で運ぶことを避けつつも、うまく相手のバスケットに渡るようにすれば、おじゃまアイテムとして活用できます。そうしていくうちにどのバスケットにどの果物が載っているか分からなくなってきて・・・。猿のボンゴや減点ココナッツを利用した果物の奪い合いの面白さ、そして立体的ギミックに注目してほしいゲームです。

・ Beppo der Bock 邦題:やぎのベッポ

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 2007年度ドイツ年間キッズゲーム大賞を受賞したゲーム。子どもたちの遊び場に住む、やぎのベッポ。ふだんはおとなしいのですが、いたずらをされると猛烈な勢いで走り回ります。このベッポの動きを磁石を使って再現し、ゲームの中に組み込んだのが「やぎのベッポ」です。ベッポの駒は盤面上の磁石の上に置かれていて、そこを狙ってプレイヤーが金属の玉を打ち出します。磁石に引き寄せられて当たった鉄の玉の勢いでベッポは盤面上を弾き飛ばされます。そうしてベッポが止まった場所に該当するマスに、玉を当てたプレイヤーの駒を進めます。またベッポがプレイヤーの駒に当たり、その駒がマスからはみ出たり転がされてしまった場合、その駒はスタートに戻されてしまいます。このルールを使って相手の邪魔が出来ますが、自分の駒に当てられるリスクもあります。そんなときのためにベッポの衝突から駒の転倒を防いでくれるアイテム「クローバーの台座」があります。ベッポの突撃をうまくかわし、最初にゴールに辿り着いたプレイヤーが勝利となります。射的要素という独自性が加わったユニークなゲームです。

・ Viva Topo! 邦題:ねことねずみの大レース

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 2003年度ドイツ年間キッズゲーム大賞を受賞したゲーム。チーズの国を目指し旅立つネズミたちが主人公。プレイヤーは自分の色のネズミ(複数います)をサイコロの目に従って移動させます。ゴール地点には6点を獲得できるチーズがあり、基本的にこのチーズを目指すのが目的。道中にも点数は低くなりますがチーズを獲得できる場所があります。しかし、ここで小チーズを獲得するとそれ以上ゴールを目指すことは出来なくなります。一方、サイコロで猫の目が出てしまうと、猫が盤面上を進んできます。猫がネズミと同じマスに止まってしまうと、そのネズミの旅はそこで終わり。2周目になると猫のスピードが倍になります。チーズの点数はゴールに近づくほど高くなるので、できるだけゴールを目指したい。しかしその分、猫に捕まるリスクも高まります。プレイヤーが動かせるネズミを4~5匹いて、サイコロを振ったときにどのネズミを動かすかはプレイヤーの自由。全てのネズミを低ポイント狙いで手堅く行くか、全てのネズミで高ポイントを狙うか、複数のネズミに役割分担させるか。プレイヤーの采配の見せどころになります。



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