メルカリで15万円失った話する?
自分はメルカリをそこそこ利用していて、60数点の取引をしてきた。
これまで個人間の取引、オークションのサービスを出品側で使ったことなかったが、メルカリを通じてこの手のサービスへの抵抗がなくなった。
手数料はやや気になるものの、近所のコンビニから手書きで伝票を書くこともなく発送できるというのは非常に楽。梱包もしっかりすることにこしたことはないが、ダンボールや紙袋の再利用でも問題がないことがわかると「発送の手間」というハードルはかなり下がった。
ということでメルカリはよく利用するサービスのひとつだ。
だが、そんなメルカリユーザーの自分に悲劇が訪れる。
使わなくなったミラーレスカメラ
犬を飼い始めてから犬の写真を撮ることが多く、走り回る犬をいい感じを撮るにはちゃんとしたカメラが必要だとおもった。
そこで購入したのがソニーのα6500。カメラについては素人なので、カメラに詳しい友人や店員に話を聞いて、おすすめされたのがこのカメラだった。
素人ながらも期待通り走り回っていても捉えられるし、なんというかいい感じに撮れる。
しかし撮影すること自体は楽しいものの、なかなか頻度高く使うことができなかった。
フルサイズよりは全然小さいとはいえ、ちょっと遠出のまさにカメラを使いたいときほど手荷物も多かったりするし、撮影後にInstagramなどに投稿するまでのフローをあまり簡素化できなくて、結局iPhoneでの撮影がメインとなってしまった。この頃にiPhone 8plusに変更したのもあってなおさらだ。
購入してさほど経ってないが、このまま眠らせてももったいないので、カメラを売ってしまうことにした。
メルカリへの出品
カメラの買い取りに関しては専門店などもあるので、各店の相場や見積もりをとった。元値は付属品など諸々つけて20万前後。大体の買取価格の相場をみると、本体とレンズで大体12~15万くらいはいけそうだな、という感じだった。
ならばここでひとまずメルカリで、買取価格よりは高く、正規に新品で購入するよりは安くということで出品することにした。
同機種をメルカリ内で検索して、メルカリでの相場を確認する。大体17万前後なので、それを元に最初はとりあえず17万くらいで出品。
するとウォッチ的な機能である「いいね」がぼちぼちつくが、そんなには伸びないし、値段交渉のコメントなどもさほどつかなかった。
数日様子見てから、価格をひと段階さげることにした。15,16万くらいを目安に。
このとき、ただの気まぐれで価格は「166,666円」にしてみようとおもった。メルカリの手数料が10%なので、それを差っ引いて15万という計算だ。さっそく変更して出品。
するとまもなく購入された。
すぐに発送の手配へ
メルカリ相場よりは少し安いとはいえ、こんなに早く取引できるとは思ってなかった。
「購入させていただきました、よろしくおねがいします」
という購入者のコメントと、メルカリからの発送手続きの案内を確認し、さっそく発送手配することにした。C2Cの取引だと迅速な発送というのは評価にもなるので、基本的には即時に発送手配をおこなうようにしている。
住んでいるマンションの1Fにローソンがあるので、すぐに発送ができる。ローソンの場合は「ゆうゆうメルカリ便」というサービスが利用できる。発送にかかる費用などはもっと安く住む方法がありそうだが、利便性をとっていつもゆうゆうメルカリ便を利用している。
「ご購入ありがとうございます、到着までしばらくお待ちください」
取引はこれでほぼ完了だ。
発送後に異変に気づく
発送してから購入者の受取完了、そして互いの評価をするまでがメルカリの取引。受け取ってもらえるまでは時間があくので、基本的にそれまでトラブルがない限りは何もすることはない。
今回は高値の取引だったということもあったので「売れてよかったなぁ」という気持ちで、何気なく取引画面をみる。なにげなく。
ん?
んんん?
「16,666円」
やばい、これはやばい。まじでやばい。
ここからは僕の本業あるいはこれまでの経験による、トラブル対応のスキルを全開放することになる。
取引のキャンセルクエスト
とりあえずここは冷静に配送状況などを確認する。
発送手続き翌日だったので、発送した地域近くの郵便局に荷物があることを確認する。
もしここで止められるのであれば、購入者の元に荷物が届くことがないので、さっそく色々調べる。
申し込みをした後にキャンセルすることはできますか?
https://www.post.japanpost.jp/service/web/faq/151.html
どうやら配達前だと「取戻し請求」ということができるらしい。とりあえず集配した郵便局に問い合わせてみた。
結論、これは出来なかった。
通常の郵送取引であれば可能なことはあるかもしれないが、ゆうゆうメルカリ便の場合は、メルカリ側の判断がないと止められない、ということだった。なるほど。
とりあえずこの時点で強制的に取引を止めることができなくなったので、購入者の方にひとまず懇願する。
「金額を一桁間違えて出品してしまいました。大変申し訳ないのですが、受取前であれば受取拒否、あるいは返送をおねがいできませんか?」
というような旨のメッセージをとりあえず送った。すぐに返事は来ないだろうとおもったので、とりあえず様子見。次はメルカリ側への問い合わせだ。
メルカリに問い合わせるまでの道のりは遠い。基本的にQ&A形式にたどって解決させるか、あるいはユーザーフォーラムに誘導し、そこで解決をさせる。ちなみにユーザーのフォーラムで同様のトラブルに関する回答などを探ったが、基本的には「あきらめてください」だった。世間は厳しい。
今回の件は事務局に何かしら対応してもらわないとどうにもならないと思い、どうにかフリーテキストが入力できるフォームにたどり着く。ここで過去に僕自身がカスタマーサポートも兼務していた経験を思い出す。
完全に個人の経験上の話ではあるが、やたらと文面に「緊急!!!」とかそういう文字がはいってる場合の問い合わせは、あまりその緊急具合を気にかけることはない。
こういってはなんだが、実際にはさほど緊急ではないことも多い。というか直接の問い合わせの場合はみんな緊急なのだ。むしろ逆にややこしいトラブル案件としてマークされて後手にまわされてもかなわない。
次にカスタマーサポートがつかっているシステムのことを想像する。大体は何かしら問い合わせを受けて、それを管理、担当者をアサインするような仕組みのものをつかっているはず。
膨大な問い合わせがきっと毎日来るだろうから、問い合わせ一覧のようなものは問い合わせ内容の一部しか把握できないようになっているかもしれない。そうすると、冒頭の数行の文章というのは非常に重要だ。
とにかくコンパクトに、冒頭の1行で内容がわかるようにしたい。
高額なデジカメ商品なのですが、金額の桁数を間違えて出品、
また今朝の午前に発送までおこなってしまいました。
至急こちらの配送の取り戻し手続き、およびキャンセル手続きをおこないたいです。
※郵便局に問い合わせたところ、メルカリの場合はメルカリでしか取り戻しができないとのことですので、至急の確認おねがいします。
今思えば、もうちょっと熱高めで問い合わせればよかったとも思うが、たぶん優先度は変わらないだろう。
しかしこのメルカリへの問い合わせはなかなか返信が来ない。
以前にも若干のトラブルでキャンセルに関する問い合わせをしたが、基本的には返信には1日ほど待たないといけない。
半日ほど返信を待っても来ないからといって、追加での問い合わせは我慢した。ここでも想像というかほぼ妄想だが、問い合わせへの返信待ちの行列が進んでいるのに、再問い合わせによってそのキューが後ろに戻るようなことがあるかもしれない、そう思い我慢をした。
翌日、メルカリからの返信がきた。
簡潔にいうと「購入者の合意がないとダメ」とのこと。いやまぁそれはそうなんだけど、という気持ちで、明らかに間違った金額での出品なのでどうにかしたい、と再問い合わせ。返事はきっとまた一日後だか、何もしないよりはという気持ち送信。
ちなみにこの時点で購入者からの返事もない。先のメルカリ事務局からの返信をうけて、購入者側に取引キャンセルの合意をしてほしいと懇願する。
それから数時間たってもやはり返事はなし。
このときに購入者のプロフィールなどを確認したが、数百の取引経験のあるプロなメルカリユーザーなことはわかった。販売しているものも私物というよりは、大量の在庫をもっていてそれを売りさばいている感じ。
もし仮にメルカリに不慣れなユーザーであれば、10数万円のデジカメが2万くらいででていれば、逆に不安に感じて購入見送るかコメントでもつけそうなものだが、そこはプロユーザー、そんなコミュニケーションは無い。
ようやく購入者からの返事がくる
どんどんと購入者の元に荷物が進んでいく発送状況をみながら、ほぼ諦めかけていたところ、購入者からようやく返事がきた。
期待を胸にメッセージを開いたが、非常に残念な内容だった。
「桁を間違えたかどうかは関係ありません、その価格で購入したんでキャンセルできません」
ですよね、うんうん、わかるよ。
「それを承知で申し訳ないのですが、どうにかなりませんか?」
すると、
「この土日に使う予定があるので、困ります」
ん〜?
C2Cでいつ届くかわからない商品を使う予定とか立てます〜?
とか言いたくなるが、たぶんもうこれはダメだと諦めた。
何かしらの法的な手続きとかを一瞬考えたが、どうみても明らかにこちらの手違いなので、購入者を訴えるわけにもいかない。かといってメルカリに返金を泣きつくわけにもいかないし、高すぎる勉強代だと思うことにした。いや思うしかなかった。
そして最後のメルカリ事務局の返信はこうあった。
「発送前であればキャンセルできますが、発送後は双方合意なしでは取引キャンセルできません」
ですよね。
取引の最後は、出品者・購入者互いの評価で終わる。
「良い・普通・悪い」の評価だ。
僕は購入者に対して「普通」をつけた。
最後の抵抗だった。
抵抗もなにも、購入者は悪くない、出品者の僕が悪いのだが「良い」とはつけられなかった。
購入者からの評価は「良い」だった。
この過ちは避けられなかったのだろうか
ここで本業の観点から、メルカリのUIを見直してみることにした。
まず「金額の変更」のUIを見直してみた。
金額の変更は、次のようなステップになる。
1. 現在の金額のフィールドを選択する
2. 現在の金額の値をバックスペースなどを用いて削除する
3. 新しい金額を入力する
その操作の動画(GIF)もつけておこう。
変更の際に入力した金額のフィールドの下には、販売手数料とそれを引いた利益が表示されている。
うん、ほぼ問題ない。自分が悪い。
しいていえば、次のようにしてはどうだろうか。
変更のUIは現在の金額を上書きする形になるので「入力フィールドの上に現在の金額を記載」していればどうだっただろうか。
まぁ悪くない気もする。
しかし今回の問題の重要なことは、
「間違えた本人は間違えたことに気づいていない」
ところにある。
まさか自分が桁を間違えるとは思ってはいないし、これまでの自分の数十件取引ではそんなミスをしていなかったので、この確認は完全に怠っていた。ユーザーである自分の責任といえばそれまでだが、これを防ぐ手段はないだろうか。
例えば「現在の金額と桁違いの変更のときに確認メッセージを出す」とどうだろうか。
しかし、桁の違いでバリデートすると「100,000円」を「99,999円」にしても桁の違いになるので、ある程度の値の差分も考慮したほうがいい。
と、まぁ提案してみるものの、こういう事故が多発してる&その解決コストが問題となっていない限りは、ここまでの機能が実装されることはきっと無いだろう。
こんなことはあったものの、今後もメルカリは使うことでしょう。
みなさんもお気をつけて!目視確認大事!
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この記事を読んで、いい話だな、って思った人はnoteで投げ銭でもください...。
追記: 2019年9月4日
ありがたいごとにnoteでサポートいただくことがあり、大変感謝しております...。
一方的にいただくのもアレなので、2019年9月現在開催している「すすメルペイ」で1,000ptをお互いに獲得するのもご検討ください。