【散文】嘘つき

虐げるより、虐げられる人間でありたい。痛みを知らない人間より、痛みを知って他人に寄り添える人間でありたい。
 自分の犯した罪を認め、それの一生消えない不可逆性に苛まれ、私の嫌悪してやまない奴らに踏みにじられたい。
 それでも尚笑顔を崩さず、他人を貶す事でしか楽しみを見出せない悲しい彼らを、今度は私が許してやるのです。
 私の考える隣人愛とはこういう事なのです。優しい人とは慈しみを持った対等な関係を。下卑た奴らには、彼らをも許せる永遠の心の海を。
 大魚の余裕を持つのです。
 その為なら私はマゾの血を引いたって良い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?