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7/20 碇シンジは男性不信だと思う。

今日のエッセイでは性暴力にまつわる描写、および性自認や性的指向について言及する箇所が登場します。また、当該箇所は男女二元論的な価値観に拠って書かれています。

また、今年4月から取り沙汰されている、ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏による性加害報道についても言及しています。

手前に差し掛かり次第再度注を入れますので、読み進めるか否かのご判断をお願いします。




1.シンジくんは男性不信

多分そう、根拠はない。エヴァを観ていてなんかそう思った。もちろんこれは親父・碇ゲンドウのせい。親父がよくわからない謎の存在だったせいで、シンジくんにとって男性全般がよくわからない謎の存在になってしまい、彼は男性不信になってしまった。すなわち『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、最後に親父とお話しすることで男性不信を完治させるエンドだったのだ!少なくとも自分はそう観た。

95年のテレビシリーズ、第20話「心のかたち、ひとのかたち」において描かれるシンジくんの心象風景で、ミサト、レイ、アスカという女性陣のみが「私たちのひとつにならな〜い?」とかなんとか言ってくるのもきっとそのせい(男性不信)だ。

ミサト「それはとても気持ちの良いことなのよ」

シンジくんは「他者が怖い。しかし他者と触れ合いたい」というジレンマを抱えているわけだけど、「触れ合いたい」他者の中に男性は入っていない。男性不信だから。旧劇のラスト、アスカが男だったらそのまま首絞めて殺してます。

もちろんシンジくんも男性だ。しかし、彼は自分の男性性にも不信感を抱いてる。有名な「最低だ、俺って……」のシーンは、寝ているアスカを前に自慰行為をしたことそのものへの罪悪感から発されたというより、自分の男性性に対する否定的感情だったのだ!なぜなら男性不信だから。「俺ってやっぱり最高に男だなぁ……キショ!」と思っていたに違いない。カヲルくんにブチギレていたのも、ようやく信頼できる「男性」が現れたと思っていたところにアレだったからです。アレ。僕を裏切ったなぁぁぁぁ!!

繰り返すけども、この碇シンジ男性不信説は何か根拠があって書いているわけではない。考察とかでもないし、ましてや「男性不信」をキーワードにしたジェンダー批評でもない。単なる思いつきだ。しいていえば、シンジくんが男性不信なのであれば、自分はもっとシンジくんに感情移入してエヴァを視聴することができる。

 自分もまた、自分自身のことを「父親がよくわからない存在だったことを理由(の一つ)に、男性不信になっているやつ」と捉えているからだ。

2.「父さんと、話がしたい」

ただし、わかって欲しいのは「男性不信」というのは「男性嫌悪」とも「男性恐怖」とも違うということだ。実際、自分は男性の友人や知人、先輩や後輩がいるし、彼らのことはとても好きだ。ただし、基本的に男性不信の傾向がある。たとえば性に関しては顕著だ。男性については、友人や恋人としての人格的な信頼があったとしても、そこに性的なものが介在する場合信頼すべきではないと思っている。そこは分けて考えるべきだ、と。

これは単に「男は性的な欲求が抑えられないから危ない!!!」みたいな話をしているわけではなく、男性的な文化には「男が性的に旺盛なのは良いこと」「性的関係は空気やノリを作って、上手く持ち込むもの」といった規範が根強く存在する……というのを実感していることの方が大きい。(もちろん、俺が男性である以上これは他人事ではない。染みついているのが実感としてわかる)。

「恋愛の話」とかは普通に好きなのだが、中学生くらいからその近接ジャンルとして「AVの話」とかが出てきたので、これはノリたくないなぁと思っていた。

ちなみに、男性不信だが女性はめっちゃ信用できる!というわけでもない。そもそも人間不信なのか?俺は人間を信じたい。関係があるのかはわからないが、自分は小説や脚本を書くとき、男性キャラクターの内面が描けない。具体的には、思いを吐露するシーンなどが上手くいかない。

脱線した話を元に戻す。碇シンジと自分が男性不信になった根本的な原因はやはり、父親のことがよくわからなかったからだと思う。しかし、自分の父はカルト結社の長ではない。食品会社に勤める温厚なサラリーマンだ。趣味はヨガとダイビング。実に穏やか。

しかし、俺との会話はぎこちない。なんとなく気を使って会話をしている。もちろん向こうもこの他人行儀な空気は感じているはずだ。問題は、根本的な原因がまったくわからないことだ。なにか猛烈に怒られたとか、しばらく別居していたということもない。が、とにかく父親のことがよくわからない。母親に比べて、わからなすぎる。

繰り返すが、父親は問題のある親でも、問題のある人間でもない。

しかし、自分は子供の頃から父親について妙な心配ばかりしていた。たとえば、ニュースで未だ犯人不明の事件が報道されていたら常に「お父さんがやったんじゃないか?」と気になった。家族で何かのショーを観に行ったとき、出演者に綺麗な女性がいたので父が不倫し家庭が崩壊するのではないかと不安になって、早く帰ろうとせがんだ。親はなんだこいつと思っていたろうが、理由をいうわけにもいかない。父親も当惑するだろう。

原因は全くわからないが、自分は昔から父親に対して根拠のない疑念を抱いており、おそらくそれが自分の男性不信を基礎になっている。無論、これは自分にも向けられる。自分は、己の男性的な部分を意識すると、同時に自身への信頼を失ってしまう。

以下、性加害についての描写があります。目次に戻り、「4. 俺はメイクを始めた」から読み直すことができます。

3.考えすぎなのかもしれないが、考えすぎるにこしたことはないと考えていること

たとえば、自分は大学でジェンダーの授業を受けている。そこで「男性から女性への性加害」について語られる。その話を聞いて「ありえない、許せない」とか思うわけだが、しかし同時に「自分って本当にそう思っているのか?」と疑わしく思う。

結論からいえば、「自分が憤ってるのって、加害者に嫉妬してるからじゃないの?」とわりとマジで思ってしまうのだ。

つまり、自分が男性→女性の性加害に抱く不快感や苛立ち、腹立たしさは実際のところ、加害者の身勝手さや無責任さ、想像力や共感性の欠如、他者に対する尊重の欠落に対してではなく、加害者への嫉妬からくるものなんじゃないのか!?と感じるのだ。これもまた俺の男性不信がなせる技、誰にも真似できない───。

それを示すように、自分は同性の性被害について異性のそれについてほど考えることはない。ただ、これはこれでおかしい。自分は男性だし、そもそも同性の性被害についていえば軽い被害者だからだ。時は、今年の1月にさかのぼる。

そいつと初めて会ったのは家の最寄り駅だった。その日はめちゃくちゃ雨が降っていて、傘を持っていなかったので折り畳みを貸してあげた。それが縁で連絡先を交換し、何度か家に遊びにいった。そいつはマジで料理が上手いうえに超洒落た家に住んでいる。ステーキ、めちゃ美味かったです。学校の先生で、空手も教えている。家にシアタールームがあり、デカいテレビで映画が見放題だ。

シアタールームinクソデカ仏像フェイス

 その家にいくと、一緒に映画を観るのが常だった。何度目だったか忘れたが、いつものようにそいつの作る超美味い飯を食ったあと、映画を見始めた。シアタールームのソファーには、足元が跳ね上がり両足を伸ばしてリラックスできる機構がついている。せっかくなので足を放り出していたら、そいつが俺の足をマッサージしだした。

別に痛いわけでもないし良いか……と思っていたら、最終的にそのマッサージの手は足の付け根まで達しており、当然その辺りを触られてしまった。当然下着は突破されている。さすがにそれとなく抵抗したが、相手は空手とか教えてるしなぁとか思ってあまり強くは出なかった。性被害は知人や友人間で行われるとは聞くけど、マジなのだなぁとつくづく思った。男の性欲はカスや。

(だから自分は男性の性被害を批判する側に立つ資格がある、と主張したいわけではない。確認するまでもないが、これは女性の性被害と比較すれば、人生の中で起きた「イレギュラーな」出来事だからだ。)

とにかく、自分は同性の性被害にあまり関心をもつことができない。先日から紛糾しているジャニーズの件にしてもそうだ。というか、ジャニーさんの手口にもマッサージするうちに……みたいなのあったよね。え!?これって常套手段なの!?と思ってビビった。

それはともかく、軽いとはいえ性加害的な出来事に遭ってなお、自分は被害者が女性でないと性加害の問題に関心を抱けない。つまり、切実な問題として感じるのが「男性から女性への性被害」>「男性から男性への性被害」なのだ。であれば、それは加害者に当事者性を感じている可能性がある。自分は女性ではないからだ。

4.俺はメイクをはじめた。

ところで、自分は最近メイクを始めた。最近はメイクをする男性も珍しくはない。まぁ珍しくはあるが、ちょくちょくいる。友人にも何人かいる。ただ、自分の場合はちょっと動機が違う。

どうも自分は「男性らしさ」を自分から削るためにメイクをしている節がある。ただ、これは「自分の男性性を否定したい」わけではない。むしろ強く意識しなければいけないと思っている。当然「女性になりたい/近づきたい」わけでもない。それは責任の放棄だと考える(が、これは半ばトランスヘイト的言説に足を突っ込んでいる)。

自分は単に男性不信の男だ。ただ、男性不信の男が「やっぱり、男を信じてはいけないねぇ〜」と言いながら顔になんか塗っている。といっても、まだアイメイクしかわかっていない。メイク前と後の画像をあげるので確認していただきたいが、目しかメイクをしていないのでマスクをさせていただく。



人間の顔が出るので、苦手な方はスクロールして欲しい。




これはすごい!!!!可愛いは、作れる。生気のない目、ボサボサの髪、職質間違いなしの右に比べて、左は可愛らしい。双子の妹がいたらこんなかもしれない。涙袋をしっかり描き、そのあとにマスカラベース、マスカラを使ってまつ毛を濃くしている。メンズメイクの広告に使って良いですよ。
ちなみに髪を伸ばしているのは性云々とあまり関係がない。男は髪が長いほうが良いと思っている。キムタクとか。

「すみません、キムタクだからカッコいいんじゃないでしょうか」「たしかに」



5.俺をNERVで雇って欲しい。

 以上の話を友達にしたら「ふーん。じゃ、去勢すれば?」と言われた。ちゃんと聞いてたのか!?そういうことじゃないだろ!!しかし、女装コンカフェとかで働いても良いのかもしれない。そんなの若いうちしかできないし、俺は就職先が見つかってないからね。就活のために自己分析をしてたけど、過保護な母親に適応して育つと一長一短あることしかわからなかった。ところで、良かったらシンジ君も一緒に女装コンカフェに行こうよ。

もう女装してたっぽい。似合うね。まぁシンジくんは14歳だし、ママに激似だからね。

でも、シンエヴァのラストに出てきた大人シンジくんは流石に14歳の面影を残しすぎだったね。CVも神木隆之介だし、17歳かと思ったよ。もっとゲンドウ遺伝子がメキメキでも良かったんじゃない?CVも山田孝之とかにしてくれよ。山田孝之、デビュー当時は中性的な美少年だったしね。山田孝之がマチアプで昔の写真使っちゃダメだろうね。同一人物ではあるしカッコいいけど、需要が全然違うだろうからさ。

自分もマッチングアプリでも始めるか?初めてどうするんだ?始めないぞ~。きっと疲れて憂鬱になっちゃうよ。早く楽になりたい。しかし、こんなことばかり考えてくねくねしていたらあっという間に十月を迎え、俺は23歳になってしまう。九月卒業と誕生日を迎え、23歳と無職になってしまう。23歳、無職、資格なし。

ミサトさん!そんな僕じゃ、エヴァンゲリオン初号機パイロットになれませんか?

………。

ダメっぽいです。

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