8/20 道に座って見る

最近また生活リズムが変化してきて、朝まで起きて日が昇ったらすぐに寝るというスタイルではなく、昼前くらいまではボーっと起き、朝食だか昼食だかを食べたら寝落ちする、みたいな生活をしている。

少し前までは日が昇ったら寝てしまい、更に前は日が昇ったらちょっと散歩に出かけ、帰ってきたら寝ていた。散歩には食パンを持って出かけ、近くの公園で鳩にあげていた。昔からそういう人をよく見かけていたが、しかし自分がそうなるとは思わなかった。

似たような経験が、今年に入ってからちょくちょくある。たとえば、こないだの22:00くらいだったか。歩いて家に帰る途中、どこからの帰りだったかは忘れたが途中で道の脇に座ってしまった。別に疲れ切って座り込む、というような深刻な疲労感からではなかったけれど、なんとなく座ってみたら「あ、意外とやってみれば楽だな」となって、そのまま。やっぱり町でそういう人を見ることはあったけど、自分がそうなるとは。

次のステップは地元の有名人だな。デカいリュックに変なバッジやお守りをジャラジャラつけてボロボロの自転車をいつも引いている、街の名物おじさんなんかが案外ぼくの将来だったりするのかもしれない。

そう考えつつ道に座って、変な目でこっちを見てくる通行人を、時々こちらからも見返してみた。すると、ぼくがガラの悪いやつかのような反応をされる。普通に立って歩いていれば、普通に無視されるかガン飛ばされるか鼻で笑われるか、そんな反応で終わりそうな相手すら、ぼくが「夜中に地面に座ってこっちを見ている」というだけで、興味を失うでもなく強気に出るでもなく、相手をせずに目を逸らして去っていく。ぼくはただ座っているだけなのに、人生で一番強くなってしまった。アクション映画を観終わって、劇場を出た直後のような気分。

そのうち、知った顔が前を通ってぼくは初めて目を逸らした。中学の時の同級生がぼくの知らない連れと一緒に歩いてきたのに気づいて、うつむいてジッとした。やっぱりなんか恥ずかしいからだ。その人の動向は、高校までは人伝手に聞いたりしていたけど大学に行ってからは知らない。昔はまぁ、そこそこ話していたはずだけど……その頃は当然、どちらかが目を逸らしたりするようなこともなく。

向こうもこちらへの興味をすぐに失ったようで、特にぼくに気づいた素振りもなくそのまま去っていった。アクションスター気分も消えた。
ぼくも立ち上がって家に帰ることにした。少し向こうにまださっきの二人が見えるけど、どこに行くんだろう。家は確かあっちではなかったはずだからこれから別の場所に行くのだと思うけど、その当てが一つも思いつかないほど、よく知らない相手になったんだなぁとぼんやり思う。

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