映画のキャストは有名じゃないに限る。
メランコリックという映画を見た。とても面白かった。
ストーリーが面白かった。ということは勿論なのだが、最後まで面白かった。これはストーリーが面白かった。では済まされない理由がある気がした。
映画はフリが効いている。
推理ミステリー系映画なんぞ開始三分の一ぐらいで犯人のアタリが付く。
「衝撃のラストシーン!!」
なんて前振りがあれば尚更だ。
身近にいる一番それっぽくない奴が裏ボスだ。
最初にそいつと出会った時からそいつの掌の上なのだ。
「あなたは必ず騙される!」
の前振りの場合は主人公自身が実は悪役のパターンだ。
しかし一番フリが露骨に効いているのは、紛れもなくキャストだ。
クラスの中に地味な格好をしているのに綺麗さが抑えきれてない有名女優さんがいたら、そいつは物語の重要な鍵を握っている。
なんなら恋人になる。
お色気シーンが多い映画に旬の有名女優さんが出ていたら、残念だがそいつは期待できない。事務所から止められているからね。
まだ芽が出ていない女優さんか、女優を齧り始めたグラビアアイドルの方がその担当だ。
ゾンビモノにおいて主人公の恋人役の女優さんは死なない。
ゾンビにもならない。
ゾンビになっても何故か一人だけ美しさを保ったままゆっくりとゾンビになる。
早めに死のうもんならファンからバチボコにされるし、何より高いギャラが勿体ないからだ。
アクション系俳優が出てたら地味なキャラ設定でも実はめっちゃ強いんだろうなとわかる。
加えてそいつのスタントを使わないという無駄な拘りのせいで、死に役のエキストラが俳優を怪我させないように気を遣っているのかと思い馳せ、感情移入してヒヤヒヤする。
最後は話が逸れたが、何が言いたいかというと、
映画はキャストで大体のストーリーがわかってしまうモノが多い。
それに比べ、メランコリックに知っているキャストは一人もいなかった。
いても「見たことあるかも。」という演技派のキャスト達。
加えてユーモアと怖さと愛と友情が絶妙なバランスで溶け合ったストーリーだった。
もちろん、キャストから想像できる展開は1つも無かった。
面白かった。最後の一口まで美味しかった。
映画のキャストは有名じゃないに限る。
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