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この人の「心の可動域」は?

「心の可動域」を意識しています③

「心の可動域」の広さや広げ方はその人自身の「パーソナリティ」というより、ストレスと対峙したとき上手に可動域を広げてそのストレスを吸収できるかどうかというストレスマネジメントの「スキル」に近いものと考えています。

だからこそエクササイズによって自分で「心の可動域」を意識できるようになるのだと思っています。

最近私が「心の可動域」が広いと感じたのは水泳の池江璃花子選手です。

ご存知のように2019年の2月に「急性リンパ性白血病」という診断が下され池江選手を取り巻く世界が一変しました。

そして同年12月17日に退院するまでの10か月に及ぶ闘病生活とその後の回復の様子がTwitterに詳しく綴られています。このTwitterを読むと「レジリエンス」という観点からも20歳とは思えない強い精神力を感じますし、そして同時に何度も狭くなりそうになった「心の可動域」を広げようとするメンタルの動きも垣間見えます。

「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです。三日間以上ご飯も食べれてない日が続いています。でも負けたくない。」

これが入院直後の3月6日のツイートです。

そしてその5日後には「今日久々にベッドの上から空を見上げました。外の光でさえしんどく感じてしまうほどでしたが、夕日が沈み、空が青くてとっても綺麗です。みんなは今何をしているのかなって思います。」とツイートしています。

どんなにつらい状況にいてもそのネガティブな自分を受け入れた上で思考の幅を広げようとする強い意志が感じられました。

退院後のテレビ番組「報道ステーション」で入院当時の心境をこう語っています。

「(病気になったことで)もうオリンピックについて考えなくていいんだと思った。自分は意外とプレッシャーを感じていたんだなと。金メダルという言葉から解放されたことでほっとしてポジティブに切り替えられたのかもしれない。」

私はこのコメントを聞いて、なるほどこうやって「心の可動域」を広げるのかととても参考になりました。


もう一人「心の可動域」の広げ方がうまいなと思うのはプロゴルファーの渋野日向子選手です。

ゴルフティーグランド

こちらもご存知のように2019年8月「全英女子オープン」という世界のメジャー大会に初出場し見事初優勝を成し遂げたのです。(私も朝の3時まで起きてその偉業を見届けました。)

この大会で渋野選手には「スマイルシンデレラ」というニックネームがつきました。

その名の通り、生まれて初めての海外でのメジャートーナメントの最終日最終組という想像もできない緊張の中でも常に笑顔を絶やさずプレーしていました。

最後の最後、優勝のかかる18番ホールのセカンドショット地点でグリーンが空くのを待つ間もおやつを食べたりキャディの青木コーチと談笑したり・・・。そしてショットを打ち終わってグリーンに向かって歩いて行く時もギャラリーに手を振るなど終始リラックスしている姿に世界中のゴルフファンが驚かされました。

タラタラしてんじゃねーよ

そして外せばプレーオフという最後のパットも、手が震えている様子もなくなんなくカップイン!優勝!満面のスマイルが弾けました。

まさに「スマイルシンデレラ」誕生の瞬間でした。

でも最近のスポーツライター金明昱さんのインタビュー(Yahooニュース7/27)では「いま考えるとそんなに笑っていたっけなーと思います。自分は怒っている時も顔に出ます。」と言っています。

「失敗した自分にすごく怒ってしまうのは昔からなんです。ミスショットをするとイライラして"チッ”と舌打ちをしちゃったりします。」といつもの自分と「スマイルシンデレラ」とのギャップに触れていました。

つまりこれも「心の可動域」の広さだと思います。

先日今年の日本の女子プロゴルフツアーの初戦が無観客で行われ、渋野選手は残念ながら予選落ちでした。

その時は「オフにやってきたことが無駄だったのかな」と珍しくネガティブなコメントでしたが、次の日には「すぐに結果が出るわけでもない。だからいつ出るかわからない結果のためにこれからも頑張っていかなきゃ」と思ったそうです。

こちらも21歳とは思えない上手な「心の可動域」の広げ方ではないでしょうか。

逆に「心の可動域」が狭くなってしまって暴発してしまった事例としては「日大アメフット部反則タックル事件」のディフェンスの選手が思い起こされます。あのプレーは、監督やコーチからの強いプレッシャーを受けて、自分で他の選択肢をすべて排除してしまった結果だったのではないでしょうか。

でもその後の記者会見では見事に「心の可動域」を広げて堂々と語っていたように見えました。

また昨シーズンの女子プロゴルフトーナメントで、あるトップ選手が試合会場のバスルームにタオルがなかったことに腹を立て係の人に「頭が固い。死ね。」と口走って問題になった事がありました。

これは「怒り」をコントロールできなかった「アンガーマネジメント」の失敗でもありますが、なぜタオルがなかったのかという状況に対する疑問やちょっとした言葉の選び方といった思考と行動の選択肢を考える余裕がないくらい「心の可動域」が狭くなっていたということだと推測できます。

自分が応援していた選手だっただけに、一瞬でも「心の可動域」を広げて欲しかったと思いました。

このように「心の可動域」の広げ方は「ストレスマネジメント」の一つの「スキル」だと思います。ネガティブなニュースが続く「withコロナ時代」に、上手に「心の可動域」を広げている人を探して参考にすることを心がけています。

(ほりしん)


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