大学二年の春、私はダンスに明け暮れていた。だがそこにはキラキラした夢溢れる青春物語など全く持って無い。やらされていたからだ。 私が通っていた大学は所謂『芸術系』で、そこは音楽やら絵画やらを志望する若者たちが行きつく、ルール無用のディストピアである。 当時私は同期たちと学生劇団を立ち上げ、楽して名声を得ようとヤイヤイしていた。 ある日メンバーの一人が突然「一年間各々で力を溜めよう」と言い出した。どうせその週のジャンプの漫画が修行パートに突入したのだろうが、惰眠を貪り