見出し画像

Sexy Zone「Cream」と星野源「アイデア」MVに見える「振り返り」と「締めくくり」

Sexy Zoneの23枚目のシングル表題曲「Cream」。
テレビ東京・Paraviで放送されている「隣の男はよく食べる」の挿入歌としても使われています。

楽曲は、作詞作曲がiri作曲編曲がYaffleという豪華な布陣。ポップだけどどっしりした安定感もあるサウンドです。
先日、Music Videoも公開されました。監督はなんと関和亮氏
個人的に星野源のファンということもあって、源さんの楽曲のMVをたくさん撮ってこられた監督がSexy Zoneとこの楽曲を素材にどんな映像を撮られるのか、とっても楽しみにしてました。

そのMVがこちら。

楽曲自体のポップさを活かした可愛らしい雰囲気もありつつ、どこかファンタジーっぽい二次元感も併せ持つ、不思議なバランスの世界観。
どことなく、関さんがこれまでに監督された源さんのMVを思い起こさせる要素もあちこちに見られます。

クルクル回る円形テーブルやカラフルな家具、ベッドに横たわる演出は「」のMVを思い出したり

全体に漂うポップな雰囲気は「SUN」っぽいなぁと思ったり(あと謎に宙に浮くところも共通してる?)

関監督の作品にそこまで詳しくない私でも、それっぽい!って感じる要素がさまざまありました。

星野源「アイデア」のMV

その中でも、一番強く感じたのが、「アイデア」との共通性。

源さん自身がこのMVについて「これまでの自分の作品を一度供養して、新しい作品を作っていくという決意」といった内容をラジオで語っていたのを覚えています(記憶ベースなので正確ではないですが)。

「アイデア」のMVについては、この記事で詳しく解説されています。

マリンバの映像から次に星野の姿が映されると、バックには2015年発売の星野のアルバム『YELLOW DANCER』のカラーである赤色が。そのあと、移動しながら『恋』の黄、『Family Song』のピンク、『ドラえもん』の青、とリリースした順番に背景の色が変わっていく。

"星野源が“アイデア”のMVで伝えたかったこと――『ANN』で語られた秘密" (2018/09/10)
 https://rockinon.com/news/detail/179955

上に抜粋した部分に書かれているように、このMVでは星野源の過去の楽曲のMVで使われていたさまざまな要素や象徴する色が取り入れられています。
楽曲自体も、1番は朝ドラの主題歌にふさわしい爽やかさ。パブリックイメージの「星野源」らしい楽曲。ところが、2番ではガラッと雰囲気を変えて、自分の中のダークな部分を歌い、間奏のダンスパートからギター弾き語りを経て、最後は全部まるっとひっくるめて大団円に向かう。
振り返り、締めくくり、そして次のステージに向かう、そういった意味づけのある作りだと言えると思います。

「第二章」へ向かうSexy Zone

翻って、Sexy Zoneにとっての「Cream」。
これまで活動休止していたメンバーが昨年末に正式に卒業してから初めてリリースするシングル。とはいえ、東京ドームでの5人のパフォーマンスが特典映像として収録されていたり、その中で披露された一曲が新曲として収録されていたり、年末からの緩やかな「卒業セレモニー」の流れでもあると感じられます。
6月には「Chapter II」というタイトルのアルバムのリリースが控えていることもあり、このシングルがいわば「Sexy Zone第一章の締めくくり」とも位置付けられるのかなと思っています。

そんなCreamのMV。
星野源の「アイデア」と同様、過去に発表した曲のMVのオマージュが随所に見つけられます。
例えば、無機質で不思議なセットや、サビの前(1:32あたり)でテーブルに倒れ込む動きは「NOT FOUND」を思い出すし、

勝利くんのソロの場面(0:43〜)で雨が降るのは「夏のハイドレンジア」かな?と思うし、

サビの部分(1:33〜)でキラキラ輝くステージで踊る雰囲気は「Forever Gold」のサビの雰囲気を思い出すし、

テーブルに並んだ食事、4人の円座のカットは「Trust Me, Trust You.」っぽい。

(2023.04.24追記:写真立ての中で4人でわちゃわちゃするシーンは「Let's Music」と重なる! あと、ベッドのある部屋というセットは「Sleepless」と共通でもありますね。)

YouTubeに公開されたシーンからわたしが読み取れたのはこれだけだけど、偶然とは思えない多さ。
「アイデア」で過去のMVのオマージュを用いて描かれたのと同様に、「振り返り」「締めくくり」の意図を持って作られた作品なのではと想像しています。
これまでの活動に「第一章」という区切りをつけたうえで、地続きの「第二章」に向かっていく。そんなタイミングである現在のSexy Zoneへの餞にも感じるような映像。

現在YouTubeで公開されているMVはShort ver.なので(フルは初回限定盤Aの特典映像として収録)、公開されてない2番やラスサビではどんな光景が広がるのか、それも楽しみだな。
さすがに「アイデア」のように曲調が変わることはないと思うけど(笑)、1番がこれまでの振り返りとしたら、2番はこれからに向かう要素が出てくるのかなぁと想像してみたり。
1番の中でも、金魚鉢の中に花火があがったりとか、椅子が勝手に動いたりとか、メンバーが宙に浮かんだりとか、まだまだ読み解けない要素もいっぱいあるので、ぜひ本人たちまたはクリエイティブ側の方からのお話を聞きたいところです。

余談: なぜこのnoteを書こうと思ったか

星野源・Sexy Zoneどちらものファンとして、彼らのあり方には近いものがあると常々感じてます。
弱さを知っているからこそのしなやかな強さ、他者の痛みに寄り添える感受性の豊かさ、多様性への視点、誰も置いていかないことの難しさをわかっていながらそうしたいと願い全力を尽くす姿勢。
彼らが語る言葉や歌詞の中に出てくるのは、「わかるよ」じゃなくて「完全にはわかりあえないけどそばにいるよ」、「頑張れ」じゃなくて「頑張れない時もあるよね」、「切り替えて新たなスタート」じゃなくて「過去の痛みも寂しさもそのまま抱えて進んでいこう」といった言葉。
でっかいことを言うと、彼らは今の日本に必要な「優しさ」を歌っているような気がする(もっとうまい言葉で言いたいけど言えないのがもどかしい)。

関和亮監督のMVという切り口から見つけた共通点を言語化してみたい、っていう出発点ではあったけど、源さんがすきな人たちにSexy Zoneを、Sexy Zoneがすきな人たちに星野源を、このnoteをきっかけにそれぞれ知ってもらう機会に少しでもなればいいなぁと思ってます。
あと、Creamの初回限定盤Aに収録されている「Naturally」の聴いてて心地よいサウンドは、どことなく源さんっぽいなぁと思ったりしてます。
(下のリンクからちょっとだけ視聴できます)

結びに

「メンバーの卒業」という大きな出来事を契機としながら第一章を美しく締めくくり、「国民的アイドルになる」と宣言して第二章へ向かうSexy Zone。

彼らの音楽が、素敵な人間性が、一人でも多くの人たちに届きますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?